高潮は押し寄せる瞬間だけでなく、
水が引いた“あと”が本当に危険です。
家の片付け・電気復旧・衛生管理・生活再建……
対応の順番を間違えると、ケガや健康被害につながり、
復旧が大幅に遅れることもあります。
防災士としての経験から、高潮後に必要な行動を
ステップ形式でわかりやすく解説します。
■① まずは「家の安全確認」|危険が残っていないかチェック
高潮後は、見えない危険が多数残っています。
チェック項目:
- 道路の陥没・穴
- 倒木・電線の断線
- ガス臭がしないか
- 家の傾きの有無
- 床下水の残り
これらを確認し、
危険がある場合は 絶対に家に入らない ことが大切です。
■② 感電防止のため“ブレーカーを落とす”
浸水した家で最も多い事故は 感電 です。
- 濡れたコンセント
- 家電内部の海水
- 漏電した壁内部
これらがあるため、
復旧作業前に ブレーカーは必ずOFF にします。
復電は電力会社または電気工事士が
安全確認した後に行います。
■③ 床下・壁の乾燥が最優先|海水が残ると家が痛む
高潮の海水は、淡水よりも家を痛める力が強いです。
優先して行うべき作業:
- 床下の排水
- 送風機・扇風機で乾燥
- 壁内部の湿気除去
- カビの早期対策
- 消毒(次亜塩素酸ナトリウム)
乾燥を怠ると、
“数ヶ月後に家が腐る” という深刻な被害になることがあります。
■④ 泥・ごみの片付けは“防護具”が必須
高潮の泥は、
- 下水
- 海水
- 有害物質
- ガラス片
が混ざっているため非常に危険です。
片付けの際は、
- マスク
- ゴーグル
- ゴム手袋
- 長靴
- 厚手の衣類
を着用し、
怪我・感染症を防ぐことが大切です。
■⑤ 家具・家電は“乾かせば使える”と考えない
高潮の浸水は 海水+泥+下水 が混ざるため、
多くの家具・家電は使用できません。
目安:
- 木製家具:腐敗・変形しやすく危険
- 家電:内部腐食・ショートの恐れ
- 布製品:カビ・悪臭が残りやすい
無理に使うと火災や感電の原因になります。
■⑥ 車は“水深と浸水位置”で全損かが決まる
高潮で車が浸水した場合、
修理できるかどうかは水の高さで決まります。
- タイヤ1/3以下 → 修理の可能性あり
- シート下まで浸水 → 電装系の損傷大
- ハンドル上まで浸水 → ほぼ全損
いずれにしても 絶対に自分でエンジンをかけない こと。
保険会社・整備工場に相談するのが安全です。
■⑦ 家族の健康管理|高潮後は“隠れ脱水・カビ・ストレス”に注意
高潮被害後は、見えない健康リスクが増えます。
注意点:
- 熱中症(片付け作業で多発)
- カビによるアレルギー
- 片付け疲れによるストレス
- 子どもの不安
- 高齢者の体調悪化
こまめな水分補給と休憩、
避難所の支援を活用することが大切です。
■⑧ まとめ|高潮後の復旧は“安全確認→乾燥→衛生→生活再建”の順番で進める
高潮の後は、浸水そのものより
復旧作業での事故や健康被害が多く発生します。
- 家の安全確認
- 感電防止(ブレーカーOFF)
- 床下・壁の乾燥
- 泥・ごみの安全な片付け
- 家具・家電は無理に使わない
- 車の安全確認
- 家族の健康管理
防災士としての結論:
高潮後は「焦らず、順番を守ること」が事故を防ぎ、生活再建を早める最も確実な方法。
今日、復旧ステップを紙に書いて冷蔵庫に貼るだけでも
高潮災害への備えが大きく前進します。

コメント