【防災士が解説】高潮⑩|高潮後の“生活再建ステップ”完全ガイド|安全確認から家の復旧まで

高潮は押し寄せる瞬間だけでなく、
水が引いた“あと”が本当に危険です。

家の片付け・電気復旧・衛生管理・生活再建……
対応の順番を間違えると、ケガや健康被害につながり、
復旧が大幅に遅れることもあります。

防災士としての経験から、高潮後に必要な行動を
ステップ形式でわかりやすく解説します。


■① まずは「家の安全確認」|危険が残っていないかチェック

高潮後は、見えない危険が多数残っています。

チェック項目:

  • 道路の陥没・穴
  • 倒木・電線の断線
  • ガス臭がしないか
  • 家の傾きの有無
  • 床下水の残り

これらを確認し、
危険がある場合は 絶対に家に入らない ことが大切です。


■② 感電防止のため“ブレーカーを落とす”

浸水した家で最も多い事故は 感電 です。

  • 濡れたコンセント
  • 家電内部の海水
  • 漏電した壁内部

これらがあるため、
復旧作業前に ブレーカーは必ずOFF にします。

復電は電力会社または電気工事士が
安全確認した後に行います。


■③ 床下・壁の乾燥が最優先|海水が残ると家が痛む

高潮の海水は、淡水よりも家を痛める力が強いです。

優先して行うべき作業:

  • 床下の排水
  • 送風機・扇風機で乾燥
  • 壁内部の湿気除去
  • カビの早期対策
  • 消毒(次亜塩素酸ナトリウム)

乾燥を怠ると、
“数ヶ月後に家が腐る” という深刻な被害になることがあります。


■④ 泥・ごみの片付けは“防護具”が必須

高潮の泥は、

  • 下水
  • 海水
  • 有害物質
  • ガラス片

が混ざっているため非常に危険です。

片付けの際は、

  • マスク
  • ゴーグル
  • ゴム手袋
  • 長靴
  • 厚手の衣類

を着用し、
怪我・感染症を防ぐことが大切です。


■⑤ 家具・家電は“乾かせば使える”と考えない

高潮の浸水は 海水+泥+下水 が混ざるため、
多くの家具・家電は使用できません。

目安:

  • 木製家具:腐敗・変形しやすく危険
  • 家電:内部腐食・ショートの恐れ
  • 布製品:カビ・悪臭が残りやすい

無理に使うと火災や感電の原因になります。


■⑥ 車は“水深と浸水位置”で全損かが決まる

高潮で車が浸水した場合、
修理できるかどうかは水の高さで決まります。

  • タイヤ1/3以下 → 修理の可能性あり
  • シート下まで浸水 → 電装系の損傷大
  • ハンドル上まで浸水 → ほぼ全損

いずれにしても 絶対に自分でエンジンをかけない こと。
保険会社・整備工場に相談するのが安全です。


■⑦ 家族の健康管理|高潮後は“隠れ脱水・カビ・ストレス”に注意

高潮被害後は、見えない健康リスクが増えます。

注意点:

  • 熱中症(片付け作業で多発)
  • カビによるアレルギー
  • 片付け疲れによるストレス
  • 子どもの不安
  • 高齢者の体調悪化

こまめな水分補給と休憩、
避難所の支援を活用することが大切です。


■⑧ まとめ|高潮後の復旧は“安全確認→乾燥→衛生→生活再建”の順番で進める

高潮の後は、浸水そのものより
復旧作業での事故や健康被害が多く発生します。

  • 家の安全確認
  • 感電防止(ブレーカーOFF)
  • 床下・壁の乾燥
  • 泥・ごみの安全な片付け
  • 家具・家電は無理に使わない
  • 車の安全確認
  • 家族の健康管理

防災士としての結論:

高潮後は「焦らず、順番を守ること」が事故を防ぎ、生活再建を早める最も確実な方法。

今日、復旧ステップを紙に書いて冷蔵庫に貼るだけでも
高潮災害への備えが大きく前進します。

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