【防災士が解説】河川水位情報の見方|“水位を読める人”は逃げ遅れない

大雨・台風・線状降水帯――。
水害で最も多い被害が「逃げ遅れ」。
その原因の多くが 河川水位情報の読み誤り です。

ここでは、防災士として
河川水位の正しい見方と、危険の読み取り方
をわかりやすくまとめます。


■① 河川水位情報とは何か

自治体や国土交通省が監視している
川の水位・流量・氾濫の危険度 を示す情報です。

代表的な公式サイトは以下。

  • 川の防災情報(国交省)
  • 国土地理院の浸水ナビ
  • 気象庁の洪水情報

信頼度が高い公式情報から確認する習慣が大切です。


■② 水位の「4つの基準」を絶対に理解する

河川には、次の4つの危険水位があります。

●① 水防団待機水位

→ 川が増水し始め、警戒を強める段階

●② 氾濫注意水位

→ 氾濫の可能性が高まり、市や消防が警戒強化

●③ 氾濫危険水位

避難が必要になるレベル(レベル4相当)
→ 低い土地は冠水し始める可能性

●④ 氾濫発生水位

→ 川が溢れた、もしくは溢れる寸前

特に③④の水位は「動かなければ命に関わる」レベルです。


■③ 水位は“すでに遅れて表示される”と知っておく

水位情報はリアルタイムに近いものの、
実際の現場より数分〜十数分遅れて変化が反映される ことがあります。

  • 上流の豪雨が一気に流れてくる
  • 夜間は視認できず危険に気づかない
  • 水位センサーの反映にタイムラグ

だからこそ、水位が上がってから動くのは危険です。


■④ どの川を見ればいいかを“事前に決めておく”

自宅や職場の近くにある川を必ず確認し、
「この川の水位を見れば良い」
という基準を持っておくと非常に強いです。

  • 自宅付近の中小河川
  • 避難所へ向かう途中の川
  • 職場近くの河川

水害の7割は中小河川で発生しており、
大河川より“身近な川”の方が危険です。


■⑤ 水位グラフの「上昇スピード」を絶対に見る

水位情報で最も重要なのは、
今の水位よりも、上昇スピード

  • 1時間で1m上昇 → 危険
  • 午後から角度が急に立ち上がる → 氾濫前兆
  • 上流の雨雲が強い → さらに増水確定

“角度が急な水位上昇”は、避難の決定サインです。


■⑥ 夜間の水位上昇は「危険度が倍」

夜は周囲が見えないため、

  • 冠水
  • 押し流され
  • 転倒
  • 車の水没

といった事故が急増します。

水害の避難は 必ず明るい時間に完了する のが鉄則です。


■⑦ 水位と「雨雲レーダー」をセットで見ると精度UP

水位情報だけでは判断が不十分。
以下を組み合わせることで危険度が正確に読めます。

  • 上流の雨雲
  • 発達した積乱雲
  • 雨量のピーク時間
  • 山間部の斜面崩壊の可能性

上流の雨が強いほど、
“自宅の水位が上がるスピード”は加速します。


■⑧ 家族で水位情報を共有するだけで避難が早くなる

LINEなどで

  • 水位グラフ
  • 雨雲レーダー
  • 避難情報

を共有しておくと、家族全員が早い段階で危険に気づきます。

特に高齢の家族がいる家庭では、
「気づかないうちに危険が迫っていた」
という事態を防げます。


■まとめ|水位を読める人は“逃げ遅れない”

水害は、
「水位が上がってから避難する」では遅すぎます。
水位の基準、上昇スピード、上流の雨をセットで読むことが重要です。

結論:
河川水位の読み方を知っている人は、避難が確実に早くなる。命を守れる行動力が身につく。

防災士として現場に立ってきましたが、
水害ではほとんどが「逃げ遅れ」による被害でした。
水位情報を正しく読み、迷った時は早期避難を最優先にしてください。

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