冬の災害時は、寒さ・ストレス・睡眠不足・食事の乱れなどが重なり、
体調を崩しやすい季節 です。
特に避難生活では、
・冷え
・胃腸トラブル
・体力低下
・メンタル不調
が一気に悪化しやすく、これらを弱点にすると長期避難が非常に厳しくなります。
そこで注目されているのが “漢方”の防災活用。
ここでは、防災士として冬の備えに漢方を取り入れるポイントを解説します。
■① 冬の災害で起こりやすい“冷え”に漢方が強い
避難所や自宅の停電時は、とにかく下半身が冷えます。
漢方では、
「気・血の巡り」が悪くなる → 冷え → 不調
という仕組みで考えます。
特に役立つのは以下の代表的な漢方です。
- 葛根湯(かっこんとう)
初期の冷えによる体調不良、風邪のひき始めに。 - 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
末端の冷えがきつい人に。 - 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
体力が弱い高齢者の冷えに。
漢方は体質に合わせて使うと効果が大きいです。
■② 胃腸の弱りにも漢方は効果的
冬は食事の偏り・ストレスで胃が弱りがち。
- 五苓散(ごれいさん)
水分バランスの乱れで起きる頭痛・むくみ・吐き気に。 - 六君子湯(りっくんしとう)
胃が弱く「食べられない」「疲れやすい」人に最適。
避難生活で温かい食事が取れないと、胃腸が冷えて動かなくなりやすいので備えておくと安心です。
■③ ストレス・不眠にも漢方が役立つ
冬の災害では睡眠環境が悪く、精神的なストレスも増えます。
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
不安・緊張・喉のつかえに。 - 抑肝散(よくかんさん)
イライラしやすい、高齢者や子どもにも使われる。 - 加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスとホルモンバランスが崩れやすい女性に。
避難環境は音・寒さ・硬い床などストレス要因が多いため、心のケア用漢方は有効。
■④ 子ども・高齢者にも使える種類が多い
漢方の魅力は、
体力のある人・弱い人どちらにも調整しやすい ところ。
- 子ども → 少量調整しやすい
- 高齢者 → 西洋薬より負担が少ない場合が多い
- 持病があっても選択肢が広い
防災備蓄として、家族構成に合わせた漢方を1〜2種類置いておく家庭も増えています。
■⑤ 災害時の“冷え・不調の悪循環”を断つ
冬の災害では、
冷え → 血流低下 → 胃腸不良 → 体力低下 → 免疫低下
と悪循環に入りやすく、体調を崩すと復旧作業にも影響します。
漢方の良いところは、
- 体の巡りを整える
- 根本から冷えを改善する
- 少量でも持続的に効く
- 飲み切れるサイズが多い
つまり、避難生活の“基礎体力の維持”に強いのです。
■⑥ 防災備蓄として漢方を持つ際のポイント
漢方を備える場合は以下がおすすめです。
- 個包装タイプを選ぶ(湿気に強い)
- 家族の体質に合うものを1〜3種類
- 冬は「冷え」「風邪」「胃腸」を軸にする
- 賞味期限のチェック
- 普段から一度飲んでみて相性を確認
いきなり避難時に使うより、普段から慣らしておく方が安心です。
■まとめ|冬の防災に漢方は“静かに効く強い味方”
冬は、災害が起きると 寒さ+体調不良のコンボ が一気に襲いかかってきます。
漢方はそんな時に、
・冷え
・胃腸不良
・ストレス
・不眠
といった「避難生活の弱点」を補ってくれる存在です。
防災士として感じるのは、
“災害時の体調管理こそ、最大の防災行動” ということ。
食料やライトも大事ですが、
体が弱れば動けず、考えられず、助かるチャンスも減ってしまいます。
漢方は、そんな“人の弱さ”を静かに支えるアイテム。
冬の備蓄として、ぜひ一度見直してみてください。

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