冬の寒波が来ると、給水トラブルの中で最も危険なのが
「蛇口破裂(凍結破損)」 です。
蛇口が凍結すると、内部の金属・プラスチックが膨張し、
解凍した瞬間に “勢いよく水が噴き出す” という事故が多発します。
この破裂は、
・床の浸水
・壁内の水漏れ
・高額修理
・数日間の断水生活
に直結するため、冬の防災として最優先で対策すべき項目です。
ここでは、防災士として冬の「蛇口破裂」を防ぐ方法を徹底解説します。
■① 蛇口破裂の原因は“凍結後の膨張”
水は凍ると体積が約9%膨張します。
蛇口内部で水が凍る
→ 圧力に耐えられず金属内部がひび割れ
→ 解けた瞬間に破裂・水漏れ
という流れで事故が起きます。
特に危険なのは、
- 外にある蛇口
- 北側・日陰の蛇口
- 風が吹き付ける蛇口
- ベランダ蛇口
- 使用頻度が低い蛇口
冬の寒波時はたった一晩で破裂することもあります。
■② 蛇口破裂は“家全体が被害を受ける”
蛇口が壊れると、その場だけでなく以下のトラブルを引き起こします。
- 床・畳が水浸し
- 壁の内部に水が回り、カビ・腐敗
- 給水管全体が使えない
- 修理に数万円〜十数万円
- 寒波で業者が捕まらず数日断水
住宅被害としてはかなり重い部類です。
■③ 蛇口破裂を防ぐ“基本の凍結対策”
冬前〜寒波前に行うだけで、ほとんどの破裂を防げます。
- 蛇口にタオル・保温材を巻く
- 外配管にスポンジカバーをつける
- ベランダ蛇口には専用カバー
- 吐水口キャップを保温する
- 家の北側の蛇口は重点的に保護
とにかく「冷気を遮断する」ことが最優先。
■④ 寒い夜の“水を出し続ける”対策が超有効
外が氷点下になる夜は、
蛇口から水を細く流し続ける(ポタポタでもOK)
だけで凍結をほぼ防げます。
理由:
動いている水は凍りにくいから。
注意点:
- 外の蛇口だけでも流しておく
- 就寝前に設定して朝までキープ
- 流しすぎなくて良い
水道料金は数円〜数十円で済み、破裂防止効果は絶大です。
■⑤ ベランダ蛇口は“最凶の凍結ポイント”
マンションなどのベランダ蛇口は外気に晒されるうえ、
使用頻度が低いため非常に凍りやすいです。
対策は必須:
- 専用保温カバー
- タオル+ビニール袋で防風
- 夜間は蛇口根元を新聞紙などで覆う
これだけで破裂リスクが大きく下がります。
■⑥ 凍結してしまった時の正しい解凍方法
蛇口が凍った状態で無理にひねると 破裂の引き金 になります。
正しい手順:
- 蛇口をひねらず、そのまま
- タオルを蛇口に巻く
- ぬるま湯をゆっくりかける
- 氷が溶けるまで待つ
- 少量の水を流して様子を見る
※熱湯は絶対にNG。金属が急激に膨張し破裂します。
■⑦ 給湯器とセットで対策することが大切
蛇口の破裂と同時に多いのが、
給湯器配管の凍結・破裂。
セットで対策しましょう。
- 給湯器周りの配管にも保温材
- 雪で埋まらないように除雪
- 電源は常時ON(凍結防止運転が働く)
蛇口だけ守っても、給湯器側が破裂すると結果は同じです。
■⑧ 蛇口破裂は“保険”で対応できる場合もある
住宅総合保険・火災保険の中には、
水回り破損(凍結による破裂)
を補償できるものがあります。
家の保険を一度チェックしておくと安心です。
■⑨ 冬の防災として最も重要なのは“事前の5分対策”
寒波予報が出たら、5分でできる以下の行動が効果的:
- 蛇口にタオルを巻く
- 外配管に新聞紙+ビニール袋
- 水をポタポタ出しておく
- ベランダ・外の蛇口を重点ケア
- 給湯器周りを確認
この5分が、破裂事故をほぼゼロにします。
■まとめ|蛇口破裂は“防げる災害”だからこそ準備が必要
蛇口破裂は突然起きますが、
原因はほぼ“凍結”という1つの理由 です。
対策すれば、ほぼ100%防げる災害です。
防災士として強く伝えたいのは、
「冬の蛇口対策は、数分の行動で家と生活を守れる最強の防災」
ということ。
家の外の蛇口・北側の蛇口・ベランダ蛇口——
この3か所だけでも今日チェックしておくと、冬の安心度が大きく変わります。
寒波は必ず毎年来ます。
だからこそ、今から万全の準備をしていきましょう。

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