【防災士が解説】冬の“学校の雪対策”は子どもの安全を守る要|通学・校庭・施設管理まで総点検する冬の防災

冬の学校は、雪・凍結・低温が重なることで
子どもの安全に直接関わるリスク が一気に増えます。

特に学校は「多くの子どもが同時に行動する場所」のため、
・転倒事故
・雪による見通し不良
・通学路の危険増加
・凍結による滑落
・校舎設備の凍結トラブル
など、多様な危険が生じます。

ここでは、防災士として“学校が冬に備えるべき雪対策”をまとめて解説します。


■① 通学路の安全確保が最優先

学校の雪対策で最も重要なのは、
子どもが安全に学校へたどり着けること です。

特に点検すべき場所は以下。

  • 階段・スロープの凍結
  • 橋や横断歩道の凍結
  • 車の往来が多い通学路
  • 見通しの悪い交差点
  • 歩道が狭くなる積雪エリア

地域によっては、
「登校時間を遅らせる」など柔軟な対応が必要な場合もあります。


■② 校門・昇降口の“転倒事故”を防ぐ

学校で最も転倒が多いのが、

  • 校門前
  • 下駄箱周辺
  • 学校入口のスロープ

特に朝は結露や雪が凍りつき、
スケートリンクのように滑る ことがあります。

対策:

  • 早朝の融雪作業
  • 凍結防止剤の散布
  • マットの設置
  • 立入禁止テープで危険箇所を封鎖

職員・保護者ボランティアと連携すると効果が大きいです。


■③ 校庭・遊具の利用制限を徹底

雪や凍結で校庭は危険度が跳ね上がります。

注意すべき点:

  • 雪が薄い場合 → 下に固い地面や凍結がある
  • 遊具の手すりが凍結して滑りやすい
  • 雪山・除雪後の雪置き場が危険
  • 水たまりが凍り、転倒事故が増加

特に雪山での遊びは禁止が原則です。


■④ 雪による“屋根落雪”は命に関わる

学校の屋根は面積が大きく、
落雪に巻き込まれる事故 が毎年発生しています。

注意ポイント:

  • 校舎の北側・体育館の屋根
  • ひさしの下
  • 雪庇(せっぴ)のできやすい場所
  • 落雪ポイントの立入禁止区域の設定

雪が固まった落雪は非常に重く、
子どもでは避けられません。


■⑤ 暖房設備・水回りの凍結対策

学校では暖房が止まると授業ができません。

チェック項目:

  • 教室暖房の事前点検
  • ボイラー・エアコンの凍結防止
  • 水道管の保温
  • 給湯室・トイレの凍結防止
  • 体育館トイレの水回り点検

凍結すると学校全体が機能不全になります。


■⑥ 送迎バス・部活動の移動安全

雪の日は送迎バスや部活の移動も危険です。

  • バスのチェーン装着
  • 道路状況の共有
  • 保護者への送迎自粛依頼
  • 部活動の遠征中止
  • 夕方の帰宅時間の前倒し

事故を未然に防ぐ判断が重要です。


■⑦ 保護者への“情報伝達”の強化

雪の日はトラブルが多く、
学校・家庭の連携が事故防止の鍵 になります。

  • メール・LINE等で登校可否を配信
  • 下校時刻の調整
  • 通学路の危険箇所の共有
  • 雪の中での服装指示
  • 防水手袋・長靴の着用通知

情報の早い共有が安全管理に直結します。


■⑧ 子ども自身への“冬の安全教育”

安全教育は事故の8割を防ぐ力があります。

伝えるべきポイント:

  • 凍った地面は歩幅を小さく
  • 雪山に絶対登らない
  • 側溝・川沿いに近づかない
  • 手袋の上からでも遊具は滑る
  • 見通しが悪い時の道路横断はしない

子どもの行動特性を踏まえた分かりやすい指導が重要です。


■まとめ|学校の雪対策は“子どもの命を守る防災”

冬の学校は、雪と凍結で普段より危険が増えます。

・通学路の凍結
・校庭の事故
・屋根の落雪
・水道凍結
・部活の移動事故

どれも「事前の対策」でほとんど防げます。

防災士として強く感じるのは、
“学校全体での冬対策は、命を守る教育そのもの”
だということ。

安全を基盤にしてこそ、学びが成り立ちます。

先生・保護者・地域が連携しながら、
子どもたちが安心して冬を過ごせる環境を整えていきましょう。

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