冬の外出でベビーカーを使うとき、
「いつも通り押せば大丈夫」と思いがちですが、
防災士としてお伝えしたいのは、
冬のベビーカー移動は、気づきにくい危険が一気に増える ということです。
凍結路・段差・風寒・視界不良など、
赤ちゃん・保護者どちらにもリスクが高まります。
ここでは、冬にベビーカーが危険になる理由と、
安全に移動するための防災視点のポイントをまとめます。
■① 凍結路でベビーカーのタイヤが滑る
冬の最大のリスクが 路面凍結。
- タイヤが空回りして進まない
- 横滑りして倒れかける
- 段差で一気に滑り落ちる
- 見えない氷(ブラックアイスバーン)が特に危険
ベビーカーのタイヤは小さく柔らかいため、
凍結路との相性が悪くバランスを崩しやすいのが特徴です。
■② 雪で押しにくく、体力消耗が大きい
雪道ではタイヤが埋まり、押し進めるだけで一苦労です。
- 腕・背中に負荷がかかる
- コントロールが効かなくなる
- 雪の轍(わだち)にタイヤが取られる
足元も滑りやすいので、保護者ごと転倒するケースもあります。
■③ 強い北風が赤ちゃんの体温を奪う
冬の外出は 風寒(ウインドチル) が大敵です。
- 気温以上に体温が奪われる
- 長時間の外気は低体温リスク
- ベビーカーは地面に近く、特に寒さが強い
冷え切ったベビーカーは赤ちゃんにとって過酷な環境になります。
■④ 段差・スロープでの転倒リスクが増える
冬は段差・斜面が凍っていることが多く、
- スロープで後ろに滑る
- 段差で前輪が凍結に乗ってツルッ
- バランスを崩して転倒
日陰のスロープや、建物入り口のタイルは特に滑りやすく危険です。
■⑤ 夕方の急な気温低下・視界不良
冬は日の入りが早く、急に気温が下がります。
- 暗くなる → 凍結が増える
- 車から見えにくい → 接触リスク
- ベビーカーの中の赤ちゃんが冷えやすい
夕方の外出は慎重に判断が必要です。
■⑥ ベビーカー内の赤ちゃんの防寒も重要
外気より地面に近い分、ベビーカー内はさらに寒くなります。
効果的な防寒は以下のとおりです。
- フットマフ(防風・防寒性の高いもの)
- ブランケット+風よけカバー
- ベビー用防寒スーツ
- ヒートパッドは低温やけどに注意
- 帽子・手袋で末端の冷えを防ぐ
「顔色」「手足の冷え」はこまめに確認しましょう。
■⑦ ベビーカーを使わず“抱っこひも”が安全な場合も
雪道・凍結道は 抱っこひも(密着タイプ) の方が安全なケースがあります。
- 段差が多い
- 凍結がひどい
- ベビーカーが押しにくい細い道
- 雪が深い場所
ただし、抱っこひもは転倒すると赤ちゃんに直接衝撃が伝わるため、
転倒しない歩行ルートの確保が前提です。
■⑧ 冬の外出は“移動ルートの変更”が最も安全
防災的に最も効果があるのは、ルート選択です。
- 日陰を避ける
- 凍結する橋・坂道を避ける
- 車の多い道路は避ける
- スロープより階段の方が安全な場合もある
危険な場合は 外出自体を見直す判断 も必要です。
■まとめ|冬のベビーカー移動は「慎重が当たり前」
冬のベビーカー利用は、
いつも通りの感覚で押してしまうと危険が大きくなります。
- タイヤが滑る
- 押しにくい
- 強風で冷える
- 路面が危険
- 夕方の急変に弱い
結論:
「冬のベビーカー移動は、凍結・強風を避け、最も安全なルートと服装で行うことが命を守る」
私は防災士として、冬の外出で苦労される保護者の声を多く聞いてきました。
危険を知り、無理をしない判断が、赤ちゃんと家族を守る最も確実な防災行動になります。
どうか、安心できるルートと時間帯を選んで安全に移動してください。

コメント