【防災士が解説】冬の“雪かき事故対策”|毎年100人以上が命を落とす作業を安全にするために

実は、日本では雪そのものではなく
「雪かき中の事故」 で亡くなる方が毎年100人以上います。

原因の多くは、
・転落
・転倒
・除雪機の巻き込まれ
・雪に埋もれる事故
・疲労・体調悪化
といった“防げる事故”です。

雪かきは冬の生活に欠かせませんが、
正しい方法を知らずに行うと非常に危険です。

ここでは、冬の雪かきで命を守るための具体的な対策をまとめます。


■① 屋根の雪下ろしは“絶対に1人でやらない”

雪かき事故の最大要因が 屋根からの転落 です。

特に危険なのは:

  • はしごのズレ
  • 足場の凍結
  • 屋根面の傾斜
  • 雪の下の氷

必ず
2人以上で作業、命綱をつける、はしごを固定する
これが基本です。
1人作業は命に直結するため絶対NG。


■② 雪庇(せっぴ)・屋根の張り出し部分に近づかない

積雪が続くと、屋根の端に雪が突き出す“雪庇”ができます。

これが突然落ちると、

  • 直撃
  • 埋没
  • 下にいる人の頭部を強打
  • 車や窓ガラスの破損

前日に必ず屋根の状態を確認し、
雪庇のある場所の下を通らないよう動線を変えてください。


■③ 除雪機の巻き込み事故を防ぐために“触らない”

重大事故が多いのが除雪機。

よくある事故は:

  • 詰まった雪を素手で取る
  • ブレードに手を入れる
  • 動作中に近づく

絶対に
エンジンを止める → カギを抜く → 手を入れない
これが命を守る鉄則です。


■④ スリップ・転倒防止のため“滑らない靴を履く”

冬の雪かきで最も多いケガが 転倒による骨折

予防策として:

  • スノーブーツ
  • スパイク付き長靴
  • 靴底の深い溝があるもの

これを選ぶだけで事故リスクを大幅に減らせます。


■⑤ 体調の悪い日は作業をしない

雪かきは“重労働”。
心筋梗塞や脳卒中のリスクが跳ね上がります。

特に危険なのは:

  • 朝イチの冷えた時間帯
  • 睡眠不足の日
  • 食事を抜いた状態

無理して作業せず、
体調が悪い日は休むか、時間をずらす
ことが最も安全です。


■⑥ 水分・食事・休憩をしっかり取る

意外ですが、雪かき中の事故は「脱水」が原因で起こることが多いです。

  • 冬でも汗をかく
  • 呼吸で水分を失う
  • 厚着で体力消耗が激しい

20〜30分ごとに必ず休憩を取り、
温かい飲み物や軽食をとってください。


■⑦ 服装は“濡れない・冷えない・動きやすい”を徹底

雪かきの服装で重要なのは:

  • 手袋(防水)
  • 帽子
  • マフラー
  • 防水の上着
  • 動きやすいズボン
  • スノーブーツ

寒さで筋肉が硬くなると、転倒・負傷につながります。


■⑧ 夕方以降は“凍結”で事故が倍増するため避ける

夕方〜夜は路面の凍結が一気に進みます。

  • 転倒
  • スリップ
  • 足を取られる
  • 雪が氷に変わる

そのため雪かきは
昼前後〜午後早めが最も安全な時間帯 です。


■⑨ 車の周りの除雪は“マフラー周り”が最重要

大雪のあと、車内で暖房をつけたまま待機し
一酸化炭素中毒 になる事故が毎年起こります。

対策は:

  • まず“マフラー周りの雪”を取り除く
  • 風が通るよう周囲の雪をどける
  • アイドリング中は絶対に雪で囲まない

これだけで命が守れます。


■⑩ 無理をしない。“完璧にしない”のが正解

雪かきは「全部きれいにしよう」とすると危険。

  • 少し残っていてもOK
  • 高い場所はやらない
  • 疲れたら即中止
  • 他の家の前まで無理にやらない

自分と家族を守るために、
“できる範囲で安全に”が冬の防災の基本 です。


■まとめ|雪かきは命に関わる作業。準備と判断がすべて

雪かき事故は、
「知識があれば防げる事故」がほとんどです。

  • 屋根には上がらない
  • 除雪機には手を入れない
  • 滑らない靴を使う
  • 無理をしない
  • 水分補給と休憩を忘れない

これらが実践できるだけで、雪かき中の事故は大幅に減ります。

結論:
雪かきは防災行動そのもの。“命を守る作業”という前提で安全対策を徹底することが大切。

防災士として、あなたの家庭や地域が安全に冬を過ごせるよう、
雪かきの事故対策は必ず覚えておいてほしいと思います。

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