【防災士が解説】インドネシアの“大雨災害”から学ぶ|日本でも起こり得る水害リスクと備え方

インドネシアは、モンスーン(雨季)による集中豪雨・鉄砲水・河川氾濫・土砂災害が頻発する国です。
近年は都市化・気候変動の影響もあり、ジャカルタなどでは毎年のように深刻な浸水被害が発生しています。

日本と気候は違うものの、同じ「大雨災害大国」として非常に学べる点が多い国です。
ここでは、防災士として“インドネシア大雨の特徴”と“私たちが取るべき備え”を整理します。


■① インドネシアの豪雨は“短時間で一気に降る”

インドネシアの雨季は、
1~2時間で日本の1日分に相当する雨量が降ることもあるほど猛烈です。

特徴は:

  • 局地的なスコール
  • 数十分で道路が冠水
  • 雨雲の発達が早い
  • 晴れていても急に大雨

日本のゲリラ豪雨と似ていますが、規模がさらに大きいことも。


■② 都市型水害(内水氾濫)が多発する

ジャカルタをはじめ、インドネシア都市部では舗装が増え、
排水能力が大雨に追いつかず内水氾濫が常態化しています。

  • 道路が川のようになる
  • 車が水没
  • 住宅の1階が浸水
  • 電気系統の故障
  • 感電事故のリスク増加

これは日本の都市部(水はけの悪い地域)と非常に近い課題です。


■③ 河川氾濫・鉄砲水の被害が大きい

山間部や農村では、
鉄砲水・山崩れ(地すべり)の発生が多いのが特徴。

特に:

  • 森林伐採
  • 急激な宅地開発
  • 河川管理の限界

こうした条件が重なり、短時間に水位が一気に上昇します。

日本の中山間地域でも同様のリスクがあり、決して他人事ではありません。


■④ スラム地域での被害が深刻化しやすい

インドネシアでは、居住地によってインフラ格差が大きく、

  • 排水設備が弱い
  • 高床式でない住宅が多い
  • 避難路の整備不足
  • 情報伝達が届きにくい

そのため、弱い立場の人ほど被害を受けやすいという状況があります。

これは日本の「災害弱者」への対応と重なります。


■⑤ 首都ジャカルタの“大洪水問題”は世界的に有名

ジャカルタでは毎年のように洪水被害が起き、
都市機能が麻痺することすらあります。

問題の背景は:

  • 地盤沈下(年間数cm)
  • 海抜0m地帯が多い
  • 大河川が市内を流れる
  • 下水インフラの老朽化

日本の東京湾・大阪湾のゼロメートル地帯と類似しており、強い警鐘になります。


■⑥ インドネシア政府は“雨季前から備える文化”を強化中

インドネシアでは、雨季がはじまる前に:

  • 排水溝の清掃
  • 防災キャンペーン
  • 避難所と物資の事前準備
  • 早期警戒アプリの普及
  • 災害教育の強化

といった対策が行われています。

これは日本の梅雨前の準備にそのまま応用できます。


■⑦ 日本が学べるポイント

インドネシアの水害から得られる教訓は多くあります。

  • “短時間大雨”を侮らない
  • 内水氾濫は都市部でも起きる
  • 災害弱者の支援は必須
  • 気候変動で豪雨は確実に増える
  • 国・地域ぐるみの事前対策が重要

特に「都市型水害」は日本も他人事ではありません。


■⑧ 家庭レベルでできる日本の備え

インドネシアの水害を参考に、日本でできる対策は以下。

  • 排水溝の掃除(家庭・地域)
  • 土のう・水のうの準備
  • 車の水没を避ける駐車位置の確認
  • アウトドアライト・ランタン常備
  • 早めの避難判断
  • 大雨の日は“外出しない”という選択を持つ

大雨災害に強い家庭は、最終的に命を守ります。


■まとめ:インドネシアの豪雨は、日本の未来を映す“予告編”のような存在

インドネシアの大雨は決して遠い国の出来事ではありません。
日本も同じく豪雨が増え、排水能力を超える都市型水害が増えています。

防災士として伝えたいことは一つ。

「気候変動の時代、大雨災害は“世界的な共通課題”であり、日本も確実に影響を受けている」という事実を直視すること。

災害は国境を越えて私たちに警告を出しています。
今できる備えを、今日から一つずつ進めていきましょう。

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