「かまどベンチ」を知っていますか?
普段は公園のベンチとして使われ、災害時には中のブロックを外すと“かまど(炊き出し用の火床)”に早変わりする、多機能防災設備です。
近年、自治体や学校、公園での設置が増えており、地域力を高める“命のインフラ”として注目されています。
ここでは防災士として、災害時のかまどベンチの役割と家庭・地域の備えとして活用するポイントを解説します。
■① かまどベンチとは?普段はベンチ、非常時は“命の火”に
かまどベンチは、
- 平常時:普通のベンチ
- 災害時:炊き出し用の「かまど」へ変形
する二面性を持つ防災設備。
内部に収納されたブロックを外すだけで、鍋・釜を置けるかまどになり、避難所での炊き出しや暖を取る際に使えます。
■② かまどベンチが災害時に役立つ理由
大災害時、最初に必要になるのが“お湯”と“温かい食事”。
- カップ麺・レトルト食品
- 粉ミルク
- お茶・白湯
- 被災者向け炊き出し
これらは「火」がなければ提供できません。
電気・ガスが止まっても、かまどベンチがあれば 地域で温かい食事を確保できるため、非常に重要です。
■③ 学校・公園に設置される理由
多くの自治体が導入する背景には、
- 避難場所になる学校・公園で活用しやすい
- 平常時はベンチとして無駄にならない
- メンテナンスが少ない
- 大人数に対応しやすい
というメリットがあります。
特に“普段から人が集まる場所に置ける”ことが大きなポイントです。
■④ かまどベンチの使い方(災害時)
災害発生時、実際の運用は以下の通り。
- ベンチの座面を外す
- 中に収納されたブロックを取り出し、底に並べる
- かまどの形に組み立てる
- 薪や炭を使い、鍋・釜を置いて加熱
- 炊き出し開始
シンプルな構造なので、誰でも運用できるのが強みです。
■⑤ かまどベンチでできること(具体例)
災害時に役立つ内容は多岐にわたります。
- 大鍋での炊き出し(カレー・味噌汁・雑炊など)
- お湯沸かし(粉ミルク・レトルト温め)
- 簡易暖房
- 緊急時の照明(火を見ることで落ち着く効果)
災害直後の“温かい食事”は心のケアにも大きく影響します。
■⑥ 自治体が導入するメリット
自治体にとっては、費用対効果の高い防災設備です。
- 避難所機能の強化
- 炊き出し設備の標準化
- 地域の防災訓練に活用
- 公園の価値向上
特に、住民参加の訓練で「実際に火をつけてみる」体験は非常に効果的です。
■⑦ かまどベンチの課題と注意点
便利な一方、課題もあります。
- 燃料(薪・炭)がないと使えない
- 雨天時は使用しにくい
- 高齢者や子どもが近づくと危険
- 年に1〜2回は訓練が必要
実際に使える状態にしておくためには、地域での点検・訓練が欠かせません。
■⑧ 家庭が知っておくべきポイント
家庭の防災としても、かまどベンチの存在を知っておくのは重要です。
- 最寄りの公園に設置されているか確認
- 避難ルートとセットで把握
- 実際の使い方を防災訓練で学ぶ
「家のキッチンが使えないとき、どこで安全に火が確保できるか」
この情報は災害時に命を左右します。
■防災士としての意見|かまどベンチは“地域防災の心臓部”になる
災害では、電気・ガスが止まることが多く、火を扱える場所が限られます。
その中でかまどベンチは、“地域で命を守るための最後の砦” と言える存在です。
しかし、設置されているだけでは意味がありません。
大切なのは、
- どこにあるか知っておく
- どう使うか学んでおく
- 地域で役割を共有しておく
という「実践的な備え」。
かまどベンチは、地域のつながりづくりにも役立つ“最高の防災ツール”。
あなたの地域にもあるなら、ぜひ一度確認し、防災訓練で実際に触れてみてください。

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