全国でインフルエンザが猛烈な勢いで拡大しています。
今季は 定点当たり30人(警報レベル)を過去10年で最も早く突破。
宮城・福島・岩手では定点当たり80人超という、極めて深刻な状況です。
防災という観点からも、
感染拡大=学校・職場の混乱、医療逼迫、地域機能の低下につながる重大リスク。
今回は、専門家の見解を踏まえ、何が起きているのか、どう備えるべきかをまとめます。
■① 流行拡大の背景①|ウイルスの“変異”によるワクチン効果の低下
今季流行しているのは A型H3N2(A香港型)「サブクレードK」。
この系統は変異を重ねており、
ワクチン作成時に予測した株と性質がズレている可能性 が指摘されています。
- 抗原の違いにより、免疫効果が一部低下
- 感染しやすくなる
- 流行が加速する
ワクチンの効力が“完全に落ちた”わけではありませんが、
予防効果がやや弱まっている状況は否めません。
■② 流行拡大の背景②|ワクチン接種前に流行が始まった
今季は流行の立ち上がりが異常に早く、
- ワクチン接種前
- 意識が高まる前
- 学校行事が多い時期
このタイミングで感染が爆発したことが、大流行の要因の一つです。
■③ 流行拡大の背景③|人の動き・感染対策の緩み
- 海外との往来増加
- マスク着用の減少
- 換気不足
- 「コロナ禍ほど警戒しない」という空気
これらが重なり、感染しやすい環境が整ってしまいました。
防災の視点でも、“人の移動増加は感染症リスクを高める”ことは非常に重要です。
■④ 今後の見通し|B型流行も十分あり得る
いまはA型が中心ですが…
- シーズン後半にB型が大流行する可能性 が高い
- ピークが早くても収束が早いとは限らない
- 高齢者の重症化と死亡数増加の傾向がある
1月の流行期には1カ月で4000人以上が亡くなっている現実も無視できません。
■⑤ 地域差の理由|寒冷地は感染が拡大しやすい
宮城・福島・岩手で感染が突出して多い理由として、
- 低温・乾燥 → ウイルスが生き残りやすい
- 暖房による換気不足
- 幼稚園〜中学校で集団感染が起きやすい
これらが複合的に影響していると考えられます。
特に「暖房の使い方と換気不足」は冬の大きな盲点です。
■⑥ 有効な対策①|ワクチンは“重症化予防”の効果が大きい
変異で感染予防効果が一部落ちても、
- 重症化防止効果はしっかり残る
- A型・B型ともに対応する4価ワクチン
という点は重要です。
特に高齢者・妊婦・基礎疾患のある方は、
接種が命を守る行動になります。
■⑦ 有効な対策②|学校・職場での対策が鍵
呼吸器感染症は小さな飛沫が空気中に漂い感染します。
- マスク着用(流行期のみでOK)
- こまめな換気
- 手洗い・アルコール消毒
- 教室・職場の加湿
特に今季は子どもたちの感染爆発が目立っています。
■⑧ 有効な対策③|少しでも異変を感じたら受診を
高齢者・妊婦・基礎疾患のある方は
- 熱
- 倦怠感
- 呼吸が苦しい
- 食欲低下
少しでも異常を感じたら、受診を迷わないことが重要です。
救急医療が逼迫している今、早期受診が重症化防止につながります。
■まとめ|インフルエンザは“冬の災害”として向き合うべき
今季の大流行は偶然ではなく、
変異×気候×人の行動変化 という複合要因によるものです。
防災の観点でも、感染症は“社会機能を止める災害”の一つ。
学校・職場・家庭が連鎖的に影響を受けます。
結論:
ワクチン・換気・マスク・手洗いという基本対策が、最も確実で効果的な「命を守る行動」です。
防災士として感じるのは、
感染症こそ「備えていれば防げる災害」だということ。
冬の感染症対策は、家族と地域を守るための防災行動です。

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