冬になると、スキー場は多くの人で賑わいます。
しかしその裏で、毎年必ず発生しているのが 「スキー遭難」 です。
・ゲレンデ外へ迷い込み帰れなくなる
・吹雪で視界ゼロ、方向感覚を喪失
・深雪で動けなくなる(スタック)
・低体温症で意識低下
・スマホ充電切れで連絡できない
スキーは楽しいスポーツですが、
冬山の危険と隣り合わせだという現実があります。
防災士として、スキー遭難を防ぐための最重要ポイントをまとめます。
■① スキー遭難の“典型パターン”を知る
多くの遭難は、特別なケースではなく
「よくある行動の積み重ね」で起こります。
✔ パーク外・立ち入り禁止エリアに入る
有名な“バックカントリー死亡事故”の多くがこれです。
✔ 吹雪で視界ゼロになりコースを外れる
たった5mズレただけで、深い樹林帯へ迷い込みます。
✔ 深雪にはまり動けなくなる
重い装備+ラッセルで体力を消耗し、体温が急低下。
✔ スマホが圏外・バッテリー切れ
救助要請が遅れ、夜間に低体温症を起こすケースが多発。
✔ 子どもが滑っているうちに迷子になる
スピードのあるスポーツゆえ、1分で見失います。
■② スキー場外は“冬山”と同じ。危険レベルが桁違い
ゲレンデ内は管理されていますが、
一歩外は 自然の雪山(=完全無防備) です。
✔ 雪崩発生ゾーン
✔ 隠れクレパス
✔ 岩・倒木・急斜面
✔ 誰もいない谷筋
✔ GPSが狂うエリア
「ちょっと寄り道」「写真撮りたい」
その軽い気持ちが、命取りになります。
■③ スキー遭難の8割は“油断”
雪山事故を分析すると、
事故の原因の多くが 人の行動・判断のミス にあります。
✔ 地図を見ない
✔ 仲間とはぐれる
✔ 天候の急変を軽視
✔ 「まだ大丈夫」の過信
✔ 装備不足
スキーはスピードが出るため、
たった数十秒の判断ミスが致命的な事故につながります。
■④ 最も重要なスキー遭難対策
① 立ち入り禁止エリアには絶対に入らない
禁止の理由は「危険だから」です。
雪崩・崖・深雪・滑落の宝庫です。
② 天候急変を甘く見ない
冬山の吹雪は10分で別世界になります。
✔ 風速10m → 体感温度マイナス10℃
✔ ホワイトアウト → コースが消える
天気が怪しければ即ロッジに戻りましょう。
③ 一人では滑らない
単独行動は遭難リスクが急上昇。
仲間とは“視界内キープ”が基本。
④ 子どもは必ず大人が目を離さない
スキー場の迷子は、遭難に直結します。
追いかけるより「横で並んで滑る」が安全。
⑤ スマホの電池は必ず満充電
低温では急激に電池が減るため、
ポケットより体温で温められる内ポケットへ。
■⑤ 遭難しやすい“危険サイン”
次の兆候が出たら、すぐ撤退を検討してください。
✔ コース外のトレース(足跡)が不自然に続く
✔ 樹林帯に入ってしまった
✔ 地形が谷っぽくなる
✔ 視界が白くぼやけてくる
✔ 風が急に強くなる
✔ 仲間の姿が見えなくなる
どれか1つでも当てはまれば「かなり危険」です。
■⑥ 万が一遭難した場合の行動
遭難したら、まずは生き残る行動を取ること。
✔ むやみに動かない(体力・体温を失う)
✔ 木の根元・岩陰など風を避ける
✔ 防寒着・カイロで冷えを防ぐ
✔ 現在地をスマホで記録
✔ 救助要請(110・119)
✔ 周囲に見えるものを写真で送る
低体温症は判断力を奪うため、
“安全確保 → 通報”の順番が最優先です。
■⑦ スキー場は“ルールを守れば安全な場所”
スキーは本来、とても安全に楽しめるスポーツです。
危険の多くは 「ルール違反」 から生まれています。
✔ フェンスを越えない
✔ 立ち入り禁止を守る
✔ 天候悪化時は撤退
✔ 単独行動しない
✔ 子どもは常に視界内
これだけで遭難リスクは大幅に下がります。
■まとめ|冬のスキーは「安全第一」で楽しむのが最強の防災
✔ スキー遭難は毎年発生している
✔ ゲレンデ外は“命の危険地帯”
✔ 吹雪・深雪・道迷いが最大の事故要因
✔ 立ち入り禁止エリアに入らない
✔ 子ども・初心者は大人が必ず見守る
✔ スマホの電池管理は命を守る手段
✔ 遭難したら動かず、まず安全確保
冬のスキーは「防災」を知っているだけで、 安全性が大きく変わります。
ルールを守り、家族みんなが安心して楽しめる冬にしていきましょう。

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