火災のニュースや消防の訓練映像で見かける
天井付近に“炎がゆらゆらと走る”現象——
これが ロールオーバー（Roll Over） です。
一般の方には馴染みがありませんが、
これは フラッシュオーバー直前の危険サイン。
元消防職員としての経験を交えながら、
命を守るために絶対知っておくべきポイントをまとめます。
■① ロールオーバーとは？
ロールオーバーとは…
🔥 天井付近に溜まった可燃性ガス（煙）が発火し、炎が走る現象のこと。
天井下で炎が帯状に流れるように見えます。
これは部屋全体が一気に燃え上がる フラッシュオーバーの前兆 です。
■② なぜ“煙”が燃えるのか？
火災の煙には…
・可燃性ガス
・微小な可燃物（スス）
・熱気
が大量に含まれます。
火災が進むと、天井付近には 数百℃の高温ガスの層（煙層） ができ、
そこに少しでも炎が触れると…
🔥 ガスが引火して炎が一気に走る
これがロールオーバーです。
■③ ロールオーバーは“フラッシュオーバーの直前”
火災の流れはこう進みます。
- 初期火災
- 煙が天井に溜まる
- 温度が急上昇
- ロールオーバー発生 ←危険サイン
- フラッシュオーバー発生（室内全体が一斉発火）
つまり、ロールオーバーを見た時点で
🔥「あと数秒で部屋全体が火の玉になる」
という意味です。
■④ 見た目の特徴（一般の人でも分かるサイン）
ロールオーバーの特徴は以下の通りです。
✔ 天井付近に炎が帯のように走る
✔ 炎がゆらゆら蛇のように動く
✔ 部屋の奥から手前へ炎が伸びる
✔ 煙が異常に高温で明るく見える
この時点でその部屋は 絶対に危険 です。
■⑤ 家庭火災でも起きるの？
起きます。
しかも 一般住宅の方が天井が低く、発生しやすい 傾向があります。
木造家屋、アパート、マンションでも…
・放置したコンロ火災
・寝室火災
・リビング火災
でロールオーバーが起き、
住民が逃げ遅れる原因 となっています。
■⑥ 元消防職員が実際の火災現場で感じたこと
私が経験した現場でも、
ロールオーバー発生後に一気に温度が跳ね上がり、
顔面シールドが曇って前が見えなくなった瞬間があります。
部屋の入口にいても熱気が襲いかかり、
数秒の判断が生死を分ける という感覚でした。
ロールオーバーは“炎の美しさ”ではなく
「死のカウントダウン」 です。
■⑦ 一般の人が取るべき行動
ロールオーバーを見た時、またはその兆候を感じたら…
✔ 近づかない
✔ 初期消火を諦めて即避難
✔ ドアを閉めて延焼を遅らせる
✔ 119番通報を最優先
炎が見えなくても、
天井付近の煙が熱くなったら 即退避 が正解です。
■⑧ ロールオーバーを見たら絶対にやってはいけないこと
以下は命を落とす危険行動です。
✖ 部屋に入る
✖ 消火器で戦おうとする
✖ 窓を開けて換気する
✖ 物を取りに戻る
数秒後にフラッシュオーバーが起きれば
逃げ道は消えます。
■まとめ｜ロールオーバー＝“火災が死に至る段階に入った合図”
✔ ロールオーバー＝天井を走る炎
✔ 可燃ガスが溜まり、引火すると発生
✔ フラッシュオーバー直前の危険サイン
✔ 家庭火災でも十分起こる
✔ 初期消火より避難を最優先
✔ 数秒の判断が命を救う
結論：
ロールオーバーは「あと数秒で部屋が火の海になる」危険信号。元消防職員として、一般の方は絶対に近づかず即避難を強く勧めます。
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