大規模災害が起きると、消防・警察・自衛隊が注目されますが、
実は 「保健所」こそ住民の命を継続的に守る“縁の下の力持ち” です。
災害時の避難所運営・感染症対策・衛生管理・医療調整など
一般の人が知らない“命の守り方”を担っています。
ここでは、防災士の視点から
災害時に保健所が果たす重要な役割をわかりやすく整理します。
■① 保健所は“災害医療・衛生管理”の司令塔
保健所は平常時は地域の公衆衛生を支えていますが、
災害発生時は一気に 防災モードの医療指揮機関 に変わります。
主な役割は…
✔ 避難所の衛生状態の監視
✔ 感染症の発生状況の把握
✔ 医療機関の被災状況の調整
✔ 食中毒・感染症の初期対応
✔ 被災地の保健活動全体の統括
悪条件下で“公衆衛生の崩壊”を防ぐ、極めて重要な仕事です。
■② 避難所の衛生・健康被害を食い止める
避難所は、災害時に最も健康被害が出やすい場所です。
● 密集・密接・密閉
● ストレス増
● トイレ・水不足
● 体調悪化の連鎖
そのため保健所は避難所を巡回し、以下をチェックします。
✔ トイレの衛生
✔ 生活スペースの温度・湿度
✔ 食事・配給の衛生
✔ 睡眠環境
✔ 高齢者や持病のある人の健康状態
“避難所クラスター”や“衛生崩壊”を防ぐ最後の砦です。
■③ 感染症対策の専門部隊
災害時は免疫が下がり病気が広がりやすい環境になります。
保健所は次のような感染症リスクに対応します。
✔ ノロウイルス
✔ インフルエンザ
✔ 新型感染症
✔ 食中毒
✔ 風邪・発熱の集団発生
避難所で“おう吐”が1件でも発生したら即介入し、
感染拡大を防ぐための指導・調査を行います。
これができるのは 専門資格を持つ保健師・医師がいる保健所だけ。
■④ 薬・医療機器・医師との調整窓口
災害時は、病院も医薬品も不足します。
保健所は…
✔ 医師・看護師の派遣調整
✔ 医薬品や医療資材の配布
✔ 要支援者の優先度判断
✔ DMAT（災害派遣医療チーム）との調整
といった 災害医療の交通整理 を担います。
避難所で薬が必要な人の命をつなぐ、大切な役割です。
■⑤ 高齢者・妊婦・障がい者など“要配慮者支援”
災害時に最も弱いのは、サポートが必要な人たちです。
・高齢者
・障がい者
・妊婦
・乳幼児
・持病のある人
こうした人の健康状態を把握し、
必要な医療・介護・支援物資を届けるのも保健所の仕事。
特に 脱水・低体温症・薬切れ は命に直結するため、
保健所による巡回・調整は欠かせません。
■⑥ 衛生災害（断水・ゴミ・害虫）のリスク管理
災害時に放置すると大問題になるのが 衛生環境の悪化。
保健所は以下を調査・指導します。
✔ 断水時のトイレ管理
✔ ゴミ処理の指導
✔ 給食センター・炊き出しの衛生指導
✔ カビ・害虫の対策
✔ 死亡者の取り扱いに関する公衆衛生指導
「見えない部分」で住民の健康を守ります。
■⑦ メンタルケア（こころの防災）
見過ごされがちですが、災害時は心の被害も大きい。
保健所は…
✔ 心理職・保健師による相談
✔ PTSD・不安症への対応
✔ 避難者のストレス状況の把握
など、「心の健康」を守る役割もあります。
■⑧ 災害後の地域全体の健康管理
災害が落ち着いてからも、
住民の健康リスクは続きます。
✔ 水質の安全確認
✔ 食中毒の予防
✔ 感染症の流行監視
✔ 廃棄物管理
✔ 高齢者の孤立防止
保健所は“災害後の数ヶ月〜数年”に渡って、
地域の健康を守り続ける存在です。
■まとめ｜保健所は「災害時の命のインフラ」
✔ 避難所の健康・衛生を守る
✔ 感染症・食中毒を防ぐ専門機関
✔ 医療人材・資材の調整役
✔ 弱者支援を行う最重要組織
✔ 災害後の心と体の健康を守る
結論：
保健所は災害時の“静かなヒーロー”。 現場を知る防災士として、最も信頼すべき行政機関の一つです。
住民の命を支えるのは、
最前線だけでなく“見えない所で働く専門家”であることを、
ぜひ覚えておいてください。
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