デパ地下は、食料品が揃い便利な場所ですが、
同時に 「人が密集しやすい」「避難しにくい」「災害の影響を受けやすい」 という特徴があります。
地震・火災・停電・混雑による事故など、
実は“都市型災害のリスクが高い場所”のひとつです。
ここでは、防災士の視点で
デパ地下で災害が起きたときの行動ポイントを整理します。
■① デパ地下は「災害に弱い構造」だと理解する
デパ地下は通常、安全な商業空間のイメージがありますが、災害時は環境が一変します。
✔ 地下で出口が少ない
✔ 人が密集しやすい
✔ 転倒・圧迫事故が起きやすい
✔ 火災時は煙が充満しやすい
✔ 停電すると暗闇+非常灯だけ
✔ 携帯がつながりにくい
“逃げにくい”“見えにくい”“混乱しやすい”
この3つが重なるのがデパ地下の危険性です。
■② 地震発生時は「とにかく頭を守る」
地下は落下物が少ないように見えますが、実際は…
✔ ガラスショーケース
✔ 商品棚
✔ 照明器具
✔ サインボード
などが落下・倒壊します。
🔻行動ポイント
- まずしゃがむ
- 頭を守る(バッグ・腕・買い物カゴ)
- 揺れが収まるまで無理に動かない
- 焦って出口へ走らない(転倒・将棋倒しの危険)
「避難は揺れが収まってから」 が原則です。
■③ 火災時は“煙”が最大の脅威
地下空間は煙が充満しやすく、上に逃げる階段も限られています。
✔ 火は見えなくても煙が来たら即危険
✔ 感知器が作動すると避難音が流れる
✔ 消防設備はあるが、パニックが広がりやすい
🔻火災時の行動
- 低い姿勢で移動
- 口と鼻をハンカチなどで覆う
- 非常口へ最短ルートで向かう
- エレベーターは絶対に使わない
- 店員・警備員の誘導に従う
煙は10秒で視界を奪い、1分で命を奪います。
“煙から逃げる”が最優先です。
■④ 停電時は「暗闇+混雑」で二次災害が起きやすい
地下の停電は危険が倍増します。
✔ 瞬間的に真っ暗になる
✔ 非常灯だけでは足元が見えない
✔ 人が一斉に動いてパニックに
✔ トイレ・エレベーターが停止
🔻対策
・スマホのライトで足元を照らす
・人の流れに逆らわない
・落下物に注意しながら壁沿いに歩く
・非常口の方向を事前に把握しておく
■⑤ 混雑時(年末・セール)は「圧迫事故」に注意
デパ地下は特に…
・年末年始
・クリスマス
・土日の夕方
・セール日
に人が密集しやすく、「圧迫事故」が起こりやすい場所です。
🔻行動ポイント
✔ 人が多いレジ・店舗の前には近づかない
✔ 子どもは手を離さない
✔ ベビーカーは密集地帯に入れない
✔ 狭い通路に無理に進まない
混雑は“災害が起きた瞬間に最も危険になる要因”です。
■⑥ 非常口の位置を「買い物の前に確認」しておく
デパ地下に限らず商業施設では…
「どこから逃げる?」を知っているだけで生存率が上がる」
エスカレーター・階段・非常口の位置は
入り口に入ってすぐ確認しましょう。
特に
✔ 地下は出口が限られる
✔ フロア形状が複雑
✔ 方向感覚を失いやすい
ため、事前確認が重要です。
■⑦ 家族と一緒の時のルール
災害時はあっという間にバラバラになります。
✔ すぐしゃがんで頭を守る
✔ 無理に探しに行かない
✔ “先に階段の方へ移動する”ルールを決めておく
✔ 子どもは抱き寄せて低い姿勢に
避難時に最も危険なのは
「お互いを探して走り回ること」 です。
■⑧ 店舗スタッフ・警備員の指示は“最優先”
デパ地下は災害対応の訓練が頻繁に行われています。
消防計画も法的に整備されており、
スタッフは訓練で避難誘導を学んでいます。
迷ったら…
✔ スタッフの誘導に従う
✔ 手を挙げて助けを求める
✔ 人の波に巻き込まれない位置に移動
専門教育を受けた人の判断が命を救います。
■まとめ|デパ地下は便利だが“災害に弱い空間”
✔ 地下は出口が少なく煙がこもる
✔ 混雑は危険を倍増させる
✔ 地震時は頭を守る
✔ 火災時は低姿勢で煙から逃げる
✔ 停電時は二次災害が起きやすい
✔ 非常口の位置を覚えるだけで安全度が上がる
結論:
デパ地下は「日常の買い物」であっても、災害時は一気に危険空間になる。 だからこそ“事前の意識と行動”が命を守る鍵になる。
防災士として現場を見てきた経験から言うと、
“安全な場所ほど油断が命取りになる”ことが多くあります。
デパ地下はその代表例です。
1分の確認が、あなたと家族の命を守ります。

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