アンダーパス(道路が立体交差で低く潜り込む構造)は、
普段は便利ですが 大雨・台風・線状降水帯では“命を奪う場所”に変わります。
実際、日本では毎年のように
「アンダーパスで車が水没し、ドライバーが死亡」
という事故が発生しています。
ここでは、防災士の視点で
アンダーパスの危険性と、生き残るための行動をまとめます。
■① アンダーパスは「水がたまる構造」になっている
アンダーパスは地形的に“最も水が集まる場所”。
✔ 道路が窪地状
✔ 排水ポンプの能力を超えると一気に冠水
✔ 上からの雨水・側道の雨水が集中
✔ 数分で急激に水位が上がる
わずか10分で車が水没するケースもあります。
■② 車は50cm浸水で動かなくなる
車は水に強いように思われがちですが、実際は非常に弱い。
✔ 30cm:ハンドルが効かない
✔ 50cm:エンジン停止
✔ 1m:完全水没、ドアが開かない
アンダーパスは一瞬でこの深さに達します。
“止まった瞬間に逃げられなくなる”と理解すべきです。
■③ 冠水アンダーパスに入るべきでない理由
大雨警報・大雨特別警報・線状降水帯の発生時は特に危険。
✔ 水深が見えない(実は2m以上)
✔ 走れると思っても途中で急に深くなる
✔ 夜間は水面が黒く見え分からない
✔ 入ったらバックも転回もできない
救助も困難で、消防でもアンダーパス救助は
“最も危険な救助現場”のひとつ。
■④ アンダーパス手前にある“警告サイン”
多くのアンダーパスには以下が設置されています。
✔ 水位計(棒のメモリ)
✔ 通行止めゲート
✔ 冠水センサーの警告灯
✔ 非常停止ボタン
しかし、これらが“壊れている・不作動”のケースもあり、
自分の判断力が命を守ると考えるべきです。
■⑤ 冠水アンダーパスで車が止まった場合の行動
最悪の事態でも命を守る方法があります。
🔻行動手順
- 迷わず窓から脱出する(電動でも水に浸かると動く)
- ドアは水圧で開かないため「窓」からが基本
- 窓が開かない場合は「ヘッドレスト」でガラスを割る
- 車はすぐ沈むので、迷わず脱出する
- 高い場所へ避難する
※水没は数分以内。迷う時間はありません。
■⑥ 歩行者も絶対に近づかない
アンダーパスは歩行者にも危険。
✔ 水深が深い
✔ 側溝のフタが外れている
✔ 吸い込まれる
✔ 車が流れてくる危険
歩き・自転車も絶対に入らない。
■⑦ 大雨の日の移動ルールを決めておく
家族で「大雨時の移動ルール」を作ると安全度が上がります。
✔ アンダーパスを通らないルートに変更
✔ 危険な時間帯は車を使わない
✔ 雨が強い時は外出を控える
✔ スマホで雨雲レーダー+警報を確認
“無理をしない”ことが最大の防災です。
■⑧ 「データでわかる」アンダーパスは命を奪いやすい
国土交通省の統計では、
毎年の水害死者のうち「車中死」が非常に多く、
その多くが冠水道路・アンダーパスで発生しています。
✔ 逃げ遅れる
✔ 水圧でドアが開かない
✔ 一瞬で視界がなくなる
✔ 夜は水が見えない
現場でも、アンダーパス事故は
“助けたいのに助けられない典型例”です。
■まとめ|アンダーパスは雨の日に最も危険な場所
✔ 大雨時、アンダーパスは数分で冠水
✔ 車は50cmで動かなくなる
✔ 入った瞬間に「生きて帰れない」リスク
✔ 警告サインがない場所も多い
✔ 窓からの脱出が唯一の命綱
✔ 雨が強い日は通行しないルート選択が最善
結論:
アンダーパスは“危険を予測して避ける場所”。 入らないという判断こそ、最大の防災になる。
防災士として現場を見てきた実感として、
アンダーパスは「危険が分かっていても多くの人が油断する場所」です。
だからこそ、あなたと家族は“絶対に入らない”というルールを
今日から徹底してほしいと強く思います。

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