【防災士が解説】防災×冬×停電④|“低体温症を防ぐための暖房なしサバイバル術”

冬の停電で最も危険なのは 「暖房が使えないこと」 です。
部屋の温度が10℃を下回ると、体温は確実に奪われ、
そのまま 低体温症 → 意識低下 → 命の危険 に直結します。

ここでは、防災士として“暖房がゼロの状況でも体を守る方法”を徹底解説します。


■① まずは“熱が逃げるポイント”をふさぐ

体温の約50%は「頭・首・手足」から逃げます。

▼ 最優先で守る部位

✔ 首(マフラー・タオル)
✔ 頭(帽子・フード)
✔ 手(手袋)
✔ 足(厚手靴下+レッグウォーマー)

服を増やすより、首と頭を守るほうが体温低下を防げます。


■② 家の中で“一番暖かい場所”へ移動する

広い部屋は冷えやすいため、暖房なしでは危険。

▼ 暖房なしで安全な部屋の条件

✔ 4〜6畳の狭い部屋
✔ 窓が少ない
✔ 風が通らない(扉の隙間をタオルで塞ぐ)
✔ カーテンを閉めて断熱

逆に
❌ 玄関・脱衣所・大きいリビング
は最も冷えます。


■③ 毛布・布団の“サンドイッチ構造”で温度+7℃

避難現場でも使われる、暖房なしで最も効果的な技です。

▼ 正しい重ね方

1️⃣ タオルケット
2️⃣ 毛布
3️⃣ 自分
4️⃣ 毛布
5️⃣ 掛け布団

これで 「繭(コクーン)構造」 が生まれ、
体温だけで小さな暖房空間ができます。


■④ ダンボールで作る“簡易断熱シェルター”

ホームレス支援でも使われるほど効果の高い方法です。

▼ 作り方

✔ ダンボールを床に敷いて底冷え防止
✔ できれば囲いを作って小部屋化
✔ 上から毛布をかけると熱がこもる

床の冷えは体温を一瞬で奪います。 敷物を増やすだけで低体温を大幅に防げます。


■⑤ 「呼気で温める」最強アイテム:寝袋

特に冬山救助でも活用される必須装備。

▼ 家で活かすポイント

✔ 寝袋+毛布で熱が逃げない
✔ 設計上、呼吸熱で内部が温まりやすい
✔ 家族は1か所にまとめて“集団保温”

避難所でも実際に“寝袋の有無”で明らかに体温低下が違います。


■⑥ カイロの使い方で体温回復スピードが変わる

間違った貼り方をすると効果が激減します。

▼ 冬の停電で一番効く貼り方

✔ みぞおち(内臓を温める)
✔ 背中(肩甲骨の間)
✔ おへそ周り
✔ 太ももつけ根

※ 手足の先に貼っても温まりません
(血流が悪いため)


■⑦ 食べ物・飲み物で内側から温める

暖房がなくても体温を作る方法があります。

▼ 体温を上げる食料

✔ チョコレート
✔ ナッツ
✔ カロリーメイト
✔ ホット飲料(電気がなければ湯たんぽのお湯)

カロリーを取ると体が“代謝熱”を作り、中心体温が上がります。


■⑧ 低体温症の“危険サイン”を見逃さない

冬の停電で最も危険なのは、本人が気づかないまま進行すること。

▼ この症状が出たら要注意

✔ 震えが止まらない
✔ 手がうまく動かない
✔ 返事が遅い
✔ 顔面蒼白
✔ 眠たがる

1つでも当てはまれば、すぐ保温+避難へ。


■まとめ|暖房なしの冬は“家の中でも命の危険”

✔ 体温が逃げる場所を最優先で守る
✔ 暖かい部屋に移動
✔ 毛布のサンドイッチ構造で保温
✔ ダンボールで底冷え防止
✔ 寝袋は最強の保温装備
✔ カイロは「体の中心」へ
✔ 低体温症のサインは絶対に見逃さない

結論:
暖房が使えない冬の停電は「住居内の遭難」です。 防災士として、多くの現場を見てきましたが、 “家が安全”という思い込みが命を危険にさらします。 体温を守る工夫こそ、最大の防災です。

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