冬の災害が起きると、
「寒さ」「緊張」「寝不足」「ストレス」「環境変化」
が一気に押し寄せ、食欲が落ちる人が急増します。
避難所や車中泊では、
✔ 冷たい食事しかない
✔ トイレが不便
✔ 人疲れ
✔ 体が冷え続ける
といった要因が重なり、普段より食べにくい状況が生まれます。
しかし、冬の食欲低下は命に関わるサイン。
防災士の視点で、その危険性と対策をわかりやすく解説します。
■① 冬の災害時は「体温維持」に大量のエネルギーが必要
冬はただでさえカロリー消費が増える季節です。
- 体温を維持するため
- 震え(シバリング)で熱を生み出す
- 厚着や移動で体力を使う
つまり “食べない=体温が下がる”。
低体温症のリスクが一気に上がります。
特に避難所・車中泊では暖房が不十分で、
食欲低下はそのまま「低体温症の引き金」になります。
■② ストレス・緊張で自律神経が乱れ、食べられなくなる
災害時の精神状態は普段とはまったく違います。
- 不安
- 心配
- 大きな音・混乱
- 家族との離れ離れ
- プライバシーゼロ
このストレスにより、
自律神経が“緊張モード(交感神経)”に固定。
その結果…
✔ 胃腸の動きが弱る
✔ 食べても消化ができない
✔ 胃が重い
✔ 吐き気・ムカムカが出る
という症状が多発します。
■③ 冬の“冷たい食事”がさらに食欲を奪う
災害時に配られる食事は、ほとんどが冷たく、味も薄い。
- 冷たいおにぎり
- 常温のパン
- クッキー
- 水だけ
冬にこれを食べ続けると、
胃腸が冷えてさらに食べられなくなります。
冷えた胃腸は食欲を奪う最大の原因の一つ。
■④ 食べられないことで起きる危険サイン
防災士として実際に現場で見てきた症状は以下。
- 体温が上がらない
- めまい
- 倦怠感
- 思考力低下
- 手足の冷え
- 震えが止まらない
- 動けなくなる
これらは“栄養とエネルギーが不足”したサインです。
放置すると、
低体温症 → 意識障害 → 命の危険
につながります。
■⑤ 冬の災害で「食べやすい物」から回復させる
食べられないときは、無理に食事を詰め込むのは逆効果。
まずは “負担の少ない食べ物”からスタートします。
▶ 食欲低下時に最適な食品
- 温かいスープ(粉末味噌汁・コーンスープ)
- ゼリー飲料
- おかゆ(レトルト)
- 飲むヨーグルト
- 果物ゼリー
- 野菜ジュース
- ビタミンドリンク
温かい・液体・柔らかいものが胃腸に優しい。
■⑥ 少量を“回数で食べる”のが冬の正解
一度に食べられない場合は、
✔ 1時間ごとにひと口
✔ 暖かい飲み物とセット
✔ 甘い物は少量だけ
というように「分割食」が効果的。
冬は“こまめに食べて体温を維持する”ことが大切です。
■⑦ 食欲低下を防ぐための冬の備蓄リスト
冬に向けたおすすめ備蓄はこれ👇
- 粉末味噌汁
- コーンスープ
- レトルトおかゆ
- 栄養ゼリー
- 温め不要カレー
- シリアルバー
- 乾燥スープ
- 温めず飲めるスープ缶
- 生姜湯・はちみつ湯
- カロリーメイト
- ホットドリンク用の水筒
特に “温かい飲み物を作れる環境”が栄養確保の鍵。
■⑧ 体温を上げると食欲も回復しやすい
食べられないときほど、まず体を温めることが重要。
- カイロ(胸・首・お腹)
- ブランケット
- 靴下を二重
- 体を丸めて熱を逃がさない
- 温かい飲み物をひと口
体温が上がると
→ 胃腸の動きが戻る
→ 食欲が少しずつ戻る
という順番で回復します。
■まとめ|冬の“食欲低下”は軽く見てはいけない
✔ 冬は体温維持のカロリー消費が増える
✔ ストレスと冷えで食べられなくなる
✔ 食べないと低体温症のリスクが急上昇
✔ 温かい・柔らかい・飲める食品が最適
✔ 少量をこまめに食べることが重要
✔ 備蓄は「冬向け・胃に優しい食品」を
結論:
冬災害での“食欲低下”は命に関わる。温かい飲み物+少量栄養補給で体温を維持することが最大の防災。
防災士として、
「食べられない時に食べられる物」を備えておくことを
最優先でおすすめします。

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