【防災士が解説】防災×冬×車が“雪に埋まる”前に知るべき命を守る対策

冬の大雪・吹雪で最も危険なのが 「車が雪に埋まる」現象
わずか30分の吹雪で車が見えなくなり、
“車内で低体温症・一酸化炭素中毒”に至る事故が毎年発生しています。

防災士として雪害対応に携わってきた経験から、
車が雪に埋まらないための予防策、埋まった時の生存行動を解説します。


■① 車が雪に埋まるのは「吹雪」と「立ち往生」がセットで起きる

車は、積雪よりも 吹雪(地吹雪)の方が危険

● 風で雪が横方向に積もる
● 進行方向が見えなくなる
● 車の排気口が数分で塞がる
● 車線や道路端がわからなくなる

特に以下の状況は“埋まる危険度MAX”です。

✔ ホワイトアウト
✔ 風速10m以上
✔ 橋の上・峠・川沿い
✔ 夕方〜夜
✔ 大型車の立ち往生が出た時


■② 車が埋まる前に“絶対やるべき回避行動”

大雪の日の行動で、危険度が激変します。

✔ 1|外出前に「通行止め」「気象警報」を確認

吹雪予測が出ている日は原則“運転しない”。

✔ 2|目的地までの“逃げ場”を準備

・コンビニ
・道の駅
・大型店
・立体駐車場

吹雪が近づいたら どこに避難するか事前に決める

✔ 3|橋・峠・海沿いは通らない

強風で最も埋まりやすい危険ルート。

✔ 4|停車位置を絶対に誤らない

❌ 路肩
❌ 除雪されていない駐車場
❌ 坂の途中

→ 数時間で完全に埋まって脱出不能に。


■③ 車が埋まり始めた時の“初動が命を救う”

埋まる時は、次の状態が同時に起きます。

● 外に出られない
● 排気口が埋まる
● 車が冷えきる
● ドアが凍りつく

その前に以下を必ず実行。

✔ 排気口を最優先で確保

車の後ろの雪を50cm以上あける。
塞がる → CO中毒で数分で危険

✔ エンジンは「10〜15分に1回」だけ

長時間の連続運転は CO中毒のリスクUP

✔ 窓を少し開けて換気

外気が入るだけでCO濃度が下がる。

✔ 雪を削る道具を車内に

スコップ(折りたたみ)
軍手
スノーブラシ

→ 車外に出れなくても“手を伸ばせる位置”に。


■④ 埋まった状態で最も危険なのは「低体温症」

車内は暖かいようで、
エンジンOFF後は30分で外気温に近づく

低体温症の初期症状は…

● 歯のガチガチ
● 手の震え
● 思考が鈍る
● 眠くなる ← 非常に危険

✔ セルフ防寒が命をつなぐ

・毛布・ひざ掛け
・寝袋
・カイロ
・レインコート(風をシャットアウト)
・新聞紙(体に巻くと保温性◎)


■⑤ “車を捨てて歩く”は絶対にNG

毎年、遭難死の原因になる最悪の行動です。

理由は…

● 吹雪は10m先が見えない
● 方向感覚を失う
● 数分で体温を奪われる
● 近くの家にも辿り着かない

✔ 原則は「車内待機」

車は 最大のシェルター


■⑥ もしスマホの電池が残り少なければ

埋まり始めてからのバッテリー管理が重要。

✔ 画面の明るさを最小
✔ 機内モード
✔ 位置情報はオン(GPSは単体で動く)
✔ 家族へ現在地共有
✔ エンジン始動時にだけ充電


■⑦ 車が埋まった時の“生存アイテム”

冬の車は、これがあるだけで助かる確率が跳ね上がる。

✔ スコップ
✔ 牽引ロープ
✔ モバイルバッテリー
✔ 毛布・寝袋
✔ カイロ
✔ 水・非常食
✔ 小型ランタン
✔ 充電ケーブル
✔ 防水バッグ

「冬用車中避難セット」は全車に積んでほしいレベルです。


■⑧ 車が埋まりやすい道路の特徴

✔ 田んぼ・畑の横
✔ 川沿い
✔ 国道の風が抜ける地点
✔ 橋・高架
✔ 海沿い

“風の通り道=雪が積もる場所”
これは災害現場で何度も確認された法則です。


■まとめ|車が雪に埋まるのは予防で99%防げる

✔ 吹雪の日は運転しない
✔ 逃げ場を確保する
✔ 橋・海沿いは避ける
✔ 排気口の確保が最優先
✔ エンジンは断続運転
✔ 車内防寒を徹底
✔ 車中避難は「車から出ない」が鉄則

結論:
車が埋まる災害は、正しい判断で“生き残れる災害”である。

防災士として冬の雪害支援に入った際、
「車を離れなければ助かっていた命」が多くありました。
冬の運転は“命の判断”であり、今日から備えを万全にしてください。

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