【防災士が解説】防災×冬×スリップ防止剤|冬の事故を最小化する「路面安全の備え」

冬の道路は、見た目が同じでも 滑る場所と滑らない場所が極端に違うのが特徴です。
特に、寒波・積雪・凍結・ブラックアイスバーンが発生すると、

✔ ほんの数メートルで車が横滑り
✔ 歩行者が転倒して骨折
✔ 自転車が転んで大けが
✔ 坂道で車が動けなくなる

という事故が一気に増えます。

この“冬特有の事故”を防ぐために非常に効果的なのが スリップ防止剤
今回は、防災士の目線で
「家庭で使えるスリップ防止剤」「道路で使われている種類」
「使い方・注意点・災害時の役割」まで解説します。


■① スリップ防止剤とは?効果と役割

スリップ防止剤とは、
凍結した路面や雪道で滑りにくくするための薬剤・資材のこと。

主な目的は2つ。

① すべり止め(摩擦力アップ)
② 氷を溶かす or 凍らせにくくする

冬の転倒事故・車のスリップ事故を減らすための、
「最前線の安全対策」といえます。


■② 種類①:融雪剤(塩化カルシウム/塩化ナトリウム)

最も一般的なのが「融雪剤」。

✔ 塩化カルシウム(最強クラス)

・氷を溶かす力が非常に強い
・−20℃付近でも働く
・道路・高速道路で大量に使用

✔ 塩化ナトリウム(食塩タイプ)

・駐車場や歩道で使われる
・効果はやや弱いが扱いやすい

メリット
・氷が解けて滑りが大きく減る
・即効性あり

デメリット
・金属(車・フェンス)を錆びさせる
・植物に影響することがある


■③ 種類②:すべり止め砂(滑走防止砂)

凍った路面に“砂を撒く”タイプ。

✔ 特徴

・氷の上に砂が乗り、摩擦力が大幅にアップ
・融けないため −30℃ の場所でも効果
・北海道・東北の坂道でよく使われる

メリット
・低温でも確実に効く
・環境に比較的やさしい

デメリット
・雪解け後に砂が残る
・強風で飛ぶことがある


■④ 種類③:粒状・固形タイプ(家庭向け)

ホームセンター・100円ショップでも売られているタイプ。

例:
✔ 凍結防止粒
✔ 雪道すべり止めチップ
✔ カルシウムペレット

使うだけで玄関・駐車場の安全性が一気に上がります。


■⑤ スリップ防止剤が役立つ場所

冬災害でケガが多い場所は決まっています。

✔ 玄関前

濡れた靴 → そのまま氷で即転倒。

✔ 階段・段差

最も骨折が多いエリア。

✔ 駐車場・車の出入り口

車が滑る → 壁や他車に衝突のリスク。

✔ 通勤路の歩道

凍結して“透明な氷”ができやすい。

✔ 坂道・橋

特にスリップ事故が多い。


■⑥ 正しい使い方のポイント

スリップ防止剤は“撒けばいい”わけではありません。

✔ ポイント1:前夜に撒く

凍結予防に最も効果的。

✔ ポイント2:温度が下がり切る前に撒く

0〜−2℃のタイミングがベスト。

✔ ポイント3:広げすぎない

必要な場所に均等に薄く撒く。

✔ ポイント4:車の下に撒きすぎない

腐食(サビ)の原因になる。


■⑦ 注意点(やりがちな失敗)

❌ 車のボディに付着したまま放置する
→ サビの原因。必ず洗い流す。

❌ 室内に靴で踏み込む
→ 床材が痛むため玄関マット必須。

❌ 融雪剤を植物近くに撒く
→ 枯れる恐れあり。

❌ 雨の日に大量に撒く
→ 効果が薄れる。


■⑧ 冬の災害(大雪・停電)での役割

スリップ防止剤は、災害の初動でとても重要です。

✔ 停電・大雪時の“外での転倒事故”を防ぐ

医療体制が逼迫している日に骨折は命取り。

✔ 車による避難・移動が安全になる

病院・避難所・職場への移動が確保される。

✔ 救急・消防車両の通行確保

実際に消防では、周辺住民が砂を撒いたことで出動がスムーズになった例もあります。


■まとめ|スリップ防止剤は冬の最強の「転倒・事故予防装備」

✔ 融雪剤・砂・粒状など種類で効果が違う
✔ 玄関・駐車場・坂道に使うと事故が激減
✔ 前日の撒布で凍結予防できる
✔ 撒きすぎはサビ・環境負荷に注意
✔ 大雪・停電時は命を守る装備になる

結論:
冬の防災では、スリップ防止剤は「家庭の初期安全」を守る最優先アイテム。

防災士として、冬の事故の多くは「ちょっとした凍結」で起きます。
早めの準備で、家族の転倒・車の衝突・通勤時のケガを確実に減らせます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました