冬は、介護が必要な家族がいる家庭にとって
一年で最も災害リスクが高まる季節です。
✔ 気温低下
✔ 停電による暖房停止
✔ 水道凍結
✔ 感染症流行
✔ 雪・凍結で移動困難
これらが重なると、要介護者の命が脅かされます。
防災士として、冬の介護家庭がまず整えるべきポイントをまとめます。
■① 冬の災害で介護家庭が直面する最大の危険
冬の災害は“命に直結するスピード”が夏より早い傾向があります。
要介護者が抱えやすい危険:
- 低体温症
- 脱水(冬でも多い)
- 血圧の急上昇・急下降
- トイレ問題
- 移動困難による避難遅れ
- ベッドからの転落・転倒
- 持病の悪化(心疾患・呼吸器疾患)
とくに 停電で暖房が止まるケースは最悪。
要介護者は自力で体温調整ができにくいため、
周囲の環境悪化がそのまま体調悪化につながります。
■② 冬の介護家庭が整える“命を守る室内環境”
災害時に「部屋が寒すぎて危険」とならないよう
次の防寒対策が最優先です。
- 暖房機器の複数準備(電気+ガス)
- 二重窓・断熱シート
- ドア隙間テープ
- 厚手カーテン
- ひざ掛け・ブランケット複数
- 湯たんぽ(電気不要)
- カイロ(貼らないタイプ)
- ポータブル電源(可能なら)
特に高齢者は「寒さを感じにくい」ため、
周囲の家族が温度管理を代わりに行うことが重要です。
■③ 介護家庭の冬の非常持ち出し袋は“専用仕様”にする
介護が必要な家族の場合、通常の防災袋では不十分です。
必要な追加分:
- 常用薬(7日分)
- お薬手帳
- 血圧計
- 介護用おむつ
- お尻拭き
- 口腔ケアセット
- とろみ剤
- スプーン・ストロー
- 防寒着(ダウン・フリース)
- 毛布・ひざ掛け
- 手すり代わりになる杖
- 家族の緊急連絡先メモ
冬は避難所が寒く、
高齢者は体温が落ちやすいため 防寒具は最優先。
■④ 停電時の介護機器トラブルに備える
冬の停電は、介護器具の停止が大きな問題になります。
停止すると危険な器具:
- 電動ベッド
- 換気扇
- 電気ストーブ
- 吸引器
- 呼吸器・在宅酸素
- ポンプ式の医療機器
対策:
- ポータブル電源(最重要)
- モバイルバッテリー複数
- 代替手段(手動吸引など)
- 快適性より安全性を優先した暖房対策
「電気が止まったら命が危ない」家庭は、
冬だけでも電源確保を最優先にしてください。
■⑤ 冬は“トイレ問題”が悪化しやすい
災害時、介護家庭で最も困るのがトイレ。
- 断水
- 配管凍結
- 水量不足
- 冷えによる頻尿
対策:
- 非常用トイレ袋(多めに)
- 消臭袋
- 介護用簡易トイレ
- 防寒マット
- トイレットペーパー1か月分の備蓄
「トイレを我慢させる」は命に関わるため絶対NGです。
■⑥ 冬の避難は“移動困難”が最大の課題
雪・凍結道での移動は要介護者にとって非常に危険です。
準備すべきもの:
- 車いす用チェーンまたはスタッドレスタイヤ
- スロープ
- 介助ベルト
- 滑りにくい靴
- 夜間用ライト
- 玄関・外階段の融雪剤
避難先までの道を
事前に“冬用ルート”として確認しておくことが重要です。
■⑦ 介護家庭が最も注意すべき“感染症”
冬は感染症が爆発的に増えます。
- インフルエンザ
- ノロウイルス
- コロナ
- 肺炎
高齢者や要介護者は重症化しやすいため、
- マスク
- 手指消毒
- 部屋の加湿
- 体調管理ノート
- 早めの受診
これらを徹底してください。
避難所は乾燥して寒いため、特に危険があります。
■⑧ 家族・地域で“支援体制”を決めておく
介護家庭は「一家庭で抱え込む」と危険。
- 近隣の見守り協力者
- 親戚・子ども
- ケアマネージャー
- 民生委員
- 地域包括支援センター
- 障がい者支援避難所の場所
これらを事前に確認し、
“助けを呼ぶ先”を複数持つことが冬の防災では欠かせません。
■まとめ|冬の介護家庭防災は「命を支える環境づくり」
✔ 冬は要介護者の体調が急激に悪化しやすい
✔ 停電は命に直結するため“電源確保”が最優先
✔ 防寒対策は通常家庭の2倍が基準
✔ トイレ問題・移動困難を必ず対策
✔ 常用薬・医療情報は多めに備蓄
✔ 感染症対策は常に徹底
✔ 家族だけでなく地域の支援ネットワークを確保
結論:
冬の介護家庭は「災害=命の危機」につながりやすいため、事前準備が必須。防災士として最も優先して備えてほしい家庭です。

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