冬の寒波・大雪・氷点下が続くと、
灯油缶（ポリタンク）が凍結し、給油できなくなるトラブルが毎年発生します。
特に寒冷地や北部地域では、
「朝ストーブをつけようと思ったらポンプが動かない」
「灯油が固まって出てこない」
といった声が多く、暖房が使えないことは命に関わる重大リスクです。
ここでは防災士として、
灯油缶凍結の理由・対策・保管のコツをわかりやすくまとめます。
■① 灯油缶が“凍結”する仕組み
灯油そのものはマイナス40℃以下にならないと凍りませんが、
実際に凍るのは 灯油缶の口・ポンプ・残った水分 です。
●① ポンプ内部の水が凍る
給油ポンプの中には微量の水分が残りやすく、
氷点下で固まると
→ ポンプが押せない
→ 灯油が吸い上がらない
●② 灯油缶の「口」部分が凍りつく
灯油缶のキャップ周りの水滴が凍結し、
→ フタが回らない
→ 密閉部が氷で固まる
●③ 灯油缶の底に溜まった水が凍る
灯油缶内部に入った微量の水分が底で氷の膜に。
→ 灯油の流れが悪くなる
→ 異物混入でストーブ故障の原因にも
“水の凍結”が全トラブルの原因です。
■② 灯油缶を凍らせないための防災ポイント
●① 室内（玄関・物置・廊下）に保管する
屋外に置くと、
・雪
・氷点下
・結露
により凍結リスクが急上昇。
玄関内の冷暗所が最適。
●② 灯油缶を直に床へ置かない
床が冷えるため、底の水分が凍結しやすい。
→ すのこ・段ボール・断熱マットの上に置く。
●③ 灯油ポンプは使用後に“逆さ向き”で乾燥
内部の水分をなくすのが最重要。
・中の灯油を抜く
・逆さにして完全乾燥
・ポンプは屋内に保管
これで凍結の9割を防げます。
●④ 氷点下ではポンプを屋内に避難
夜間外に置きっぱなしはNG。
翌朝カチコチに凍って動きません。
●⑤ 灯油缶は赤い公式ポリタンク一択
安価な青・透明のタンクは耐寒性が低く
→ ひび割れ
→ 変形
の危険があります。
●⑥ 水滴をつけたまま保管しない
結露が凍ってフタが開かなくなります。
拭き取ってから収納しましょう。
■③ 凍ってしまった時の対処法（安全版）
※ 熱湯は絶対NG（変形・破損・火災の危険）
●① 玄関や浴室など暖かい場所に移動
自然解凍が一番安全。
●② 凍ったキャップ周りを“タオルの温め”で解凍
・ぬるま湯で温めたタオル
・カイロ
でゆっくり解凍する。
●③ ポンプは手のひらで温める
乾電池式ポンプは特に凍りやすいので
→ 室内で温めてから使用。
●④ 氷が溶けたら、水が混ざらないように処理
ストーブに異物混入すると故障の原因になります。
■④ 灯油缶×冬トラブルの“本当の怖さ”
灯油が使えないと、冬は命に関わります。
●暖房が使えない → 低体温症リスク
氷点下の夜は室温が5℃以下になる家も多い。
●高齢者・乳幼児は危険度が高い
体温調節が弱く、短時間で危険温度に。
●停電＋凍結の“ダブルアウト”
電気暖房が使えない状態で灯油まで使えないと
→ 避難を検討するレベル。
灯油管理は「暖房管理」＝「生命維持」です。
■⑤ 今日からできる冬の灯油対策まとめ
✔ 灯油缶は屋内（玄関・廊下）に保管
✔ すのこ・段ボールで底冷え対策
✔ ポンプは完全乾燥＆屋内保管
✔ 水滴・結露は拭き取り
✔ 氷点下ではポンプを室内に避難
✔ 凍ったら自然解凍（熱湯禁止）
✔ 灯油ストーブは“冬の生命線”と考える
■最後に｜冬の灯油管理は「命を守る行動」
灯油缶の凍結は、
「ちょっとの油断」で誰にでも起きる冬の典型トラブルです。
しかし、今日からできる小さな対策で
ほぼ100％防げます。
冬の停電・寒波・大雪に備えるために、
あなたの灯油缶・ポンプ・保管場所を
今すぐチェックしておきましょう。
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