冬は魚の活性が上がる時期でもあり、釣り愛好者にとって魅力的な季節。
しかし同時に 年間で最も釣行事故が多い危険なシーズン でもあります。
● 海の強風・高波
● 落水後の低体温症
● 凍結した桟橋・テトラでの転倒
● 渡船トラブル
● 冬特有の急変天候
防災士として、冬の釣行で実際に多い事故と防ぎ方をまとめて解説します。
■① 冬の釣りは“低体温症リスク”が最大の敵
冬の海水温は外気より高くても 10〜15℃前後。
この温度で落水すると——
✔ 5分以内に手足の動きが鈍る
✔ 10~15分で判断力低下
✔ 30分で意識消失の危険
低体温症は“静かに命を奪う”災害です。
【対策】
- ライフジャケットは自動膨張式より 固定式(浮力体) が安全
- 厚手インナー・防寒着・防水手袋で体温保持
- 落水したら体を丸めて熱を逃さない姿勢(HELP姿勢)
■② 冬の強風・高波は“海の地震”級に危険
冬の海は急に天候が変わり、
10分で高波・突風になることも珍しくありません。
釣り人の死亡事故の多くは
「風速12m/s以上の時の釣行」 が原因。
【対策】
- 出発前に風速を必ずチェック(基準:風速8mで危険)
- 防波堤の先端・テトラ上は冬は“立ち入り危険エリア”
- 荒天予報の前日は無理をしない
- 波しぶきがかかる場所には絶対立たない
■③ テトラ・堤防・桟橋は“凍結により転倒事故”が急増
冬のテトラ・桟橋は夜間や朝方に凍結し、
ちょっとした油断で転倒 → 海へ落下の重大事故になります。
【対策】
- 靴底は スパイクブーツ or フェルトスパイク
- 凍った場所は絶対に走らない
- ライトで足元照射して状況確認
- 一人釣行を避ける(冬季は特にNG)
■④ 冬の川釣りは“雪代増水”と“ヒートショック”が危険
冬でも雨や融雪の影響で川は突然流量が増えます。
また、防寒不足で体温が急低下し、意識を失う事故も多数。
【対策】
- 前日の雨量・積雪量をチェック
- 流心に近づかない
- 防寒着は“3層構造”(インナー・保温・防水)
- 無理に深場へ入らない
■⑤ 渡船トラブル・船釣りのリスク
冬は波・突風で渡船が転覆したり、船から落水する事故が増加。
【対策】
- 乗船前の救命胴衣着用は必須
- 船長の指示には絶対従う
- 荒天時の出船見合わせは“安全の証拠”
- デッキは滑るため、常に手すりをつかむ
■⑥ 冬の釣行で絶対に必要な装備
冬の釣りでは、装備は“命の道具”です。
- 固定式ライフジャケット
- 防寒ウェア(インナー2枚・中間着・防水アウター)
- 防水手袋・ネックウォーマー
- 予備の靴下・手袋(濡れたら交換)
- LEDヘッドライト
- ポータブルカイロ
- スマホ防水ケース
- ホイッスル(救助要請)
■⑦ 冬の釣行で見落とされやすい「重大な危険」
釣り事故の中で特に多いのが——
✔ 足場の“波返しテトラ”での転落
✔ 高波にさらわれる
✔ 濡れた服による体温急落
✔ 夜間の視界不良
✔ ひとり釣行中の事故で発見遅れ
冬は救助までの時間が長くなり、致命傷になりやすい季節です。
■⑧ 釣りを中止すべき判断基準(プロも守る基準)
防災士として釣り人に最も伝えたいこと。
「迷ったら帰る」
これが命を守る唯一の鉄則です。
以下の条件が1つでもある日は中止を推奨:
- 風速10m/s以上
- 波2m以上
- 寒波警報
- 大雨・高波注意報
- 足場が凍結
- 体調が悪い
- 単独釣行
釣りは逃げません。命の方が大切です。
■まとめ|冬の釣りは危険と隣り合わせ。“準備が命を守る”
冬の釣行は、
✔ 低体温症
✔ 強風・高波
✔ 凍結転倒
✔ 渡船事故
✔ 視界不良
など、他の季節より事故リスクが極めて高い行動です。
結論:
冬の釣りは「撤退判断」と「防寒・救命装備」が生死を分ける。
防災士として、冬の釣行では“無理をしない勇気”こそ最強の安全策だと断言します。
万全の準備で、冬の釣りを安全に楽しみましょう。

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