冬の外作業は、
ただ「寒い」というレベルではなく、
低体温症・凍傷・転倒・事故が増える“明確な災害リスク” を伴います。
特に建設現場、農作業、除雪作業、港湾作業、通勤前の屋外作業などは
冬になると事故報告が急増します。
ここでは防災士として、
冬の外作業に潜む危険と、今日から準備できる対策をまとめます。
■① 冬の外作業は「低体温症」が最も危険
冬の外気に長時間晒されると、体温が急速に奪われます。
【低体温症の初期サイン】
- 強い震え
- 指が動かない
- 手足の感覚が鈍る
- 思考が鈍くなる
- ぼーっとする
作業中の判断力が落ち、機械操作・高所作業が事故につながります。
■② 冷たい風が“体温を数倍早く奪う”
冬の外作業では 風冷効果(ウインドチル) が最大の敵です。
例:気温5℃ × 風速8m/s
→ 体感温度は–5℃以下
風が強い場所(屋上、港、ビルの谷間、山間部)は特に危険です。
■③ 外作業で起こる代表的な事故
冬は通常より事故発生率が上がります。
【よくある事故】
- 冷えで手がかじかみ、工具を落とす
- 雪や霜で滑って転倒
- 機械操作中に誤動作
- 除雪中の転落・埋没
- 外壁・屋根作業中の墜落
- 交通誘導中の被害(視界悪化)
どれも“寒さ”が引き金になっているケースが多いです。
■④ 冬の外作業で絶対に必要な装備
寒さから体を守る=命を守ることです。
【防寒の基本レイヤー】
- インナー: ヒートテック・メリノウール
- 中間着: フリース、ダウン
- 外側: 防風ジャケット・レインウェア
- 手袋: 防寒+防水タイプ
- 靴: 滑り止め付き、防水ブーツ
- 帽子: ニット帽や防寒キャップ
- ネックウォーマー: 体温流出が激減
特に「首・手首・足首」を温めると体の冷え方が大幅に減ります。
■⑤ 作業現場での“凍りやすい場所”
外作業中に足元を見落とすと大事故につながります。
- 日陰のアスファルト
- 段差・縁石
- 現場の鉄板
- トラック荷台
- 金属階段
- 橋・高架下
- 早朝・夕方の影部分
凍結は目で見えにくく、“黒氷(ブラックアイス)”は特に危険です。
■⑥ 冬の作業は「休憩の取り方」が命を守る
冬は無理に長時間作業すると事故率が跳ね上がります。
【安全な休憩の目安】
- 30〜45分ごとに暖かい場所へ
- 温かい飲み物(白湯・スープ)
- 手足を温める
- 濡れた手袋はすぐ交換
- ストーブの前で一気に温まらない(血圧変動に注意)
“冷えに気づいたときにはすでに遅い”のが冬の作業の特徴。
■⑦ 事業者・家庭での外作業ルール(超重要)
外作業は、準備によって事故の8割を防げます。
【事前準備】
- 気温・風速チェック(体感温度を把握)
- 足元凍結箇所の事前確認
- 作業時間を短く区切る
- 単独作業を避ける
- すべり止め散布(塩カル・砂・スタッド材)
- 夜間作業は照明を強化
■⑧ 冬の外作業での緊急時の行動
低体温症、転倒、凍傷のときは早めの対応が重要です。
【応急処置】
- 体を風から避ける
- 温かい飲み物で内側から保温
- カイロを「首・脇・腹」に当てる
- 濡れた作業着は速やかに着替える
- 指先の感覚がない → 作業中止
- 意識がもうろう → 救急要請
■まとめ|冬の外作業は“命を守る準備”が最優先
冬の外作業は、
✔ 低体温症
✔ 凍傷
✔ 転倒
✔ 機械事故
✔ 除雪事故
といったリスクが一気に増える季節です。
結論:
冬の外作業=準備と装備が命を守る“防災行動”である。
防災士として、あなたや周りの仲間が冬の現場で安全に働けるよう、
今日からできる防寒対策をぜひ実行してください。

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