冬になると屋根の上から聞こえる 「ドサッ」「ゴゴゴ…」「バサッ」 という音。
これは、屋根に積もった雪が ズレる・割れる・滑り落ちる前兆 のことが多く、
場合によっては 命に関わる落雪事故のサイン です。
今回は、防災士として
・落雪音の正体
・危険な条件
・音がした時の安全行動
・家でできる予防策
をわかりやすく解説します。
■① 落雪音とは?
落雪音は主に次の現象で起こります。
【落雪音の正体】
- 風で雪が動く
- 気温上昇で雪の塊が割れる
- 屋根と雪の間に“すべり層”ができる
- 氷の塊が剥がれ落ちる
- 雨水が雪の下を流れて雪が浮く
これらの動きが重なると、
雪が一気に滑り落ちる“予兆” となる場合があります。
■② 落雪音が危険な理由
落雪は見た目以上に凶暴です。
【危険ポイント】
- 1m³の雪は300〜500kg → 人が直撃すれば致命傷
- 氷の塊が混じると刃物レベルの破壊力
- 玄関・歩道・駐車場で起きやすい
- 車の屋根やフロントガラスが一撃で破壊される
- 音がしてからの落下は“数秒以内”が多い
「音がした=その瞬間に落ちてくる可能性」 と考えて行動が必要です。
■③ 落雪音が特に増える条件
以下の条件がそろうと、落雪音が増え、落雪リスクが急上昇します。
【気象条件】
- 気温が0℃を超えた
- 日中との寒暖差が大きい
- 雨やみぞれが降った
- 強風が吹いた
- 屋根の雪が締まって重くなった
【屋根環境】
- 金属屋根(ツルツルで滑りやすい)
- 南向きの屋根
- 太陽光パネル設置の屋根
- 雪止めがない屋根
これらはすべり層ができやすく、落雪音が増えます。
■④ 落雪音がしたときの安全行動
音がしたら、たった数秒で命を守る行動を取る必要があります。
【歩行時】
- 屋根の真下に絶対に入らない
- 建物沿いではなく道路側を歩く
- 子ども・高齢者は手を繋いで誘導
【自宅敷地内】
- 玄関から出る前に屋根の雪を確認
- カーポートや倉庫の横も危険
- 屋根の下で立ち話しない
【車】
- 屋根下に駐車しない
- エンジンをかけての雪下ろしはNG(落雪直撃リスク)
- 朝の出勤時、まず車上の雪を確認する
■⑤ 落雪音が“続く”ときは特に危険
次のような状況は 落雪寸前 と考えてください。
- 「パキッ」「ミシッ」と金属音が続く
- 雪の塊が少しずつズレる
- テーブル状の雪がたわむ
- 雪の表面にヒビが入る
- 軒先の氷柱が揺れている
すぐにその場所から離れることが何より重要です。
■⑥ 家でできる落雪事故の予防策
家庭でも危険を大幅に減らすことができます。
【落雪対策】
- 雪止め金具を設置
- 太陽光パネル用の落雪ガードをつける
- 玄関上の屋根は定期的に雪下ろし
- 車は屋根下に絶対に停めない
- ベランダの屋根もチェック
【雪下ろし時の注意】
- 1人で作業しない
- ヘルメット・命綱必須
- 斜面作業は無理をしない
- 屋根に登れない場合は業者依頼
■まとめ|落雪音は“命のアラート”
落雪事故の多くは
「大丈夫だろう」
という油断から起きています。
しかし、落雪音は 自然が発する“警告音”。
「音がしたら近づかない」
「屋根下を歩かない、停めない」
「玄関上の雪を必ず見る」
これだけで落雪事故の大部分は防げます。
冬の災害は“気づき”で命を守れます。
今日から家族全員で安全行動を徹底してください。

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