【防災士が解説】防災×冬×キャンプ火災 ― 冬キャンプで起きる“見えない火災リスク”と命を守る対策

冬キャンプは焚き火・ストーブ・ランタンなど、火を使う場面が多くなります。
しかし防災士として強く伝えたいのは、
「冬キャンプの火災は、住宅火災より発見が遅れ、逃げ場が少ない」
という現実です。

特に冬は乾燥・強風・暖房器具の使用で火災リスクが急上昇します。
この記事では、冬キャンプで起こりやすい火災と具体的な防災対策を解説します。


■① 冬キャンプ火災の最大原因は「強風+乾燥」

冬は空気が乾いており、落ち葉・テント・薪がよく燃えやすい状態です。

さらに危険なのが
✔ 風による火の粉の飛散
✔ 焚き火台の火が横に流れる
✔ テントの布へ火が移りやすい

特に“突風”が一番の敵。
火の粉は 10〜20m先まで飛ぶ ことがあり、隣のテントや草地が一気に火災になります。


■② テント火災は一気に燃え広がる(逃げる猶予は10秒)

テント生地は燃え広がりが非常に速いです。

・ポリエステル
・ナイロン

これらは火が付くと 溶けて穴が広がり、数十秒で全焼 します。

夜間なら
・周囲が暗い
・寝袋で動きにくい
・靴が脱いである
ため逃げ遅れるリスクが急上昇。


■③ 一酸化炭素中毒→火災の複合事故が多い

・石油ストーブ
・ガスストーブ
・炭の調理

冬キャンプで人気ですが、
テント内使用は一酸化炭素中毒 → 倒れる → 火災
という最悪の流れにつながります。

特に
✔ 換気をしない
✔ 一酸化炭素チェッカーがない
✔ 睡眠中に使う

これらは非常に危険です。


■④ 焚き火が原因の“延焼火災”が多い

冬キャンプで多いのが、焚き火からの延焼。

具体的な原因
✔ 火がついた薪が転がる
✔ 火の粉が乾いた草に落ちる
✔ 不完全消火
✔ 子どもが近づく

焚き火シート+耐熱グローブ+火消しツボ は必須装備です。


■⑤ ストーブ・ランタンの倒れ事故

キャンプ火災の典型例
✔ 石油ストーブの転倒
✔ ガスランタンの落下
✔ ガス缶が熱されて爆発

テントは狭いため、少し触れただけで転倒するケースが少なくありません。

防災士の視点では、
「倒れた瞬間に引火するものが多い」
と覚えておくべきです。


■⑥ 着火剤・ガス缶・灯油は“危険物”

冬キャンプは燃料が増えるため、管理方法が命を守ります。

注意すべきもの
✔ ストーブの灯油
✔ OD缶・CB缶
✔ 固形燃料
✔ アルコールストーブ燃料
✔ 着火剤

直射日光・焚き火の近く・車内高温での放置は非常に危険です。


■⑦ 冬キャンプ火災の予防チェックリスト

冬キャンプへ行く前に必ず確認してください。

✔ テントは焚き火から5m以上離す
✔ ストーブを使うときは常時換気
✔ 一酸化炭素チェッカーを使用
✔ 焚き火シートは必須
✔ 寝る前に“完全消火”を確認
✔ ガス缶を熱源の近くに置かない
✔ 火気は子どもの手の届かない場所へ
✔ 火の粉が飛びやすい風向きを読む


■⑧ 冬キャンプ×防災は「撤収判断」が命を守る

冬キャンプは、
✔ 風速10m以上
✔ 乾燥注意報
✔ 体調不良
✔ 装備不足

こういう状態なら 中止・撤退が防災行動 です。

キャンプは逃げられますが、火災は逃げられない場面が多い。


■まとめ|冬キャンプの火災は“予防こそ防災”。火の扱いは登山レベルで慎重に

✔ 冬は乾燥+強風で火災リスクが急上昇
✔ テントは10秒で全焼する
✔ 一酸化炭素中毒→火災の連鎖が多い
✔ 焚き火の飛び火が最大の原因
✔ 燃料・火気の管理は徹底
✔ “安全第一で撤収”が防災行動

結論:
冬キャンプの火災は「油断」と「装備不足」で起きる。火の扱いは消防現場と同じ緊張感で。

元消防職員としての意見:
火災は“火が大きくなる前に防ぐ”のがすべてです。
冬の夜間は一度火がつくと逃げ場が少なく、助からない事故も多い。
キャンプを楽しむためにも、火気の安全管理だけは、絶対に妥協しないでください。

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