冬は「雪」や「氷」だけが危険ではありません。
実は、気温が少し上がったときに発生する “泥濘（ぬかるみ）” が、転倒や事故の大きな原因になります。
雪が溶けた直後、日陰、道路脇、未舗装地では特に滑りやすく、
✔ 転倒骨折
✔ 車のスタック
✔ 長靴内の浸水
✔ 子ども・高齢者の転倒
など、災害級のケガにつながるケースもあります。
防災士として、冬の泥濘に潜む危険と、安全対策を徹底解説します。
■① 冬の泥濘は「転倒リスクが最大級」
泥濘はただの濡れた土ではなく…
- 雪と氷が混じった“シャーベット状”
- 表面は柔らかいが底は凍って滑る
- 凍結→溶ける→日陰で再凍結の繰り返し
- 表面に泥水が広がり滑りやすい
これが冬特有の“最悪の路面コンディション”。
乾いた氷よりも、
雪解け泥＋氷は転倒率が高い と言われています。
■② 泥濘が発生しやすい場所
冬の災害時・日常で特に要注意なのは次のポイント。
- 日陰の歩道（建物の北側）
- 山道・通学路
- 駐車場（未舗装地）
- 河川敷・公園
- 凍結した車道の端
- 住宅街の生活道路
雪が溶けてきたタイミングにこそ危険が増えます。
■③ 泥濘で転倒しない歩き方
防災士として現場でも推奨している歩き方です。
●① 歩幅は小さく
歩幅を半分にすると、重心がブレにくくなる。
●② つま先から着地しない
泥濘では かかと→足裏全体 の順で接地が安全。
●③ 手はポケットに入れない
ポケット歩きは転倒時に手が出せず骨折率が上がる。
●④ 荷物は前ではなく“背中側”に
重心が安定し、滑ったときの転倒を防ぐ。
■④ 冬の泥濘に強い靴とは？
以下の3条件が必須です。
- 深めの溝（ラグソール）
- 防水加工（ゴアテックス等）
- 足首まで覆う高さ
※スニーカーは泥濘に最も弱く、浸水して体温低下を引き起こします。
■⑤ 泥濘で“浸水”したときの危険性
冬に泥水が靴に入り濡れた状態で歩くと…
- 体温低下
- 足の感覚が麻痺
- しもやけ
- 低体温症
災害時や帰宅困難時は命に関わります。
靴下が濡れたら、
すぐに交換する のが鉄則です。
■⑥ 車の泥濘トラブル（スタック）の危険
車は泥濘で簡単に動けなくなります。
- タイヤが空転して余計に埋まる
- 車体が沈み腹がつかえる
- 積雪と泥が混ざり路面を見誤る
- 災害時の救急・救助ルートを妨害
スタックした車を強引に動かすのは非常に危険です。
■⑦ 泥濘に強い車用装備
冬の防災備えとして以下を常備推奨。
- 牽引用ロープ
- スタック脱出プレート
- スコップ
- タイヤチェーン
- タイヤエアダウン（※四駆向け）
車中泊や大雪通行止めが起きる地域は必須です。
■⑧ 冬の災害時の泥濘は“救助活動に影響”
大雪・地震・豪雨後の泥濘は救助の妨げになります。
- 救急車が滑る
- 消防車が進めない
- 歩行移動に時間がかかる
実際の現場では、雪解け後の泥濘によって
搬送遅延や救助活動の難航 を経験しています。
■まとめ｜冬の泥濘は“隠れた災害”と考える
泥濘は単なる汚れではなく、
転倒・浸水・低体温・車のスタックを招く“危険地帯”です。
結論：
冬の泥濘対策は、滑らない靴・正しい歩き方・浸水させない装備が基本。 雪解けの時期ほど、危険は増える。
防災士として言えるのは、
「雪よりも、溶けかけの泥の方が事故が多い」という現場の実感です。
日常の通学や通勤でも、災害時でも、
泥濘を“冬のリスク”としてぜひ意識してください。
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