【防災士が解説】防災×クマ問題|韓国でも深刻化する“クマ被害と処理問題”から考える日本の課題

韓国でも“クマ問題”が大きな社会問題となっており、
日本のクマ被害ニュースは韓国で大きく報じられています。

「日本は大変ですね」「軍隊も動員されたらしい」
そんな声が多く、さらに話題になるのが——

「駆除されたクマをどう処理しているのか?」

漢方薬として利用されてきた「熊胆(ゆうたん)」の存在が背景にあります。
今回は、韓国のクマ事情と日本が向き合うべき課題を、防災士の視点から解説します。


■① 韓国でもクマ被害と“クマ処理問題”が深刻化

韓国では野生のクマはほぼ絶滅状態ですが、
「熊胆(ウンダム)目的」の クマ飼育業者が多数存在 していました。

しかし近年になって動物福祉の観点から、
来年からクマ飼育が全面禁止へ。

全国1000頭以上いた飼育熊は、現在は242頭に減少。
業者は処分や補償を巡って政府と対立しています。

日本と同様、クマに関する問題は “人間社会の影響”が大きい のが現実です。


■② 「熊胆」とは? なぜ高価なのか

熊胆(ゆうたん)はクマの胆のうから採取される生薬で、
胃腸薬・鎮痛剤・強壮剤などに使われてきた伝統的漢方。

しかしその採取方法には残酷なものもあり、
韓国では「生きたクマに管を挿して胆汁を採る」
といった行為も問題視されてきました。

こうした背景から飼育禁止が決まり、
供給が激減 → 代替方法の模索が急務 となっています。


■③ 韓国で出ている “日本から輸入しては?” の声

韓国メディアでは日本のクマ駆除ニュースを受けて、
「日本では駆除後の処理に困っているらしい」
「安く輸入できるのでは?」
といった意見も出ています。

しかし日本側は、

  • 感染症リスク
  • 流通管理の問題
  • 動物福祉の観点
  • 国内処理の安全性確保

など、簡単には応えられない課題があります。

“処理に困っているなら輸出すればいい”
という話ではなく、より複雑な問題です。


■④ 日本のクマ被害急増と「処理問題」は表裏一体

日本も年間1000頭以上が駆除され、
クマ肉の活用や肥料化などの試みが続く一方で、
自治体は処理コスト・保管場所・人員不足に悩まされています。

クマ被害の背景には、

  • 人里へ降りるほど森林に餌がない
  • 中山間地の人口減少で“緩衝地帯”が消滅
  • 温暖化で冬眠期間が短縮
  • どんぐりの不作
  • 農地管理や山林整備の遅れ

など、構造的問題 が積み重なっています。


■⑤ 日韓で共通する“野生動物と人の境界問題”

韓国と日本の共通点は次の通りです。

  • 野生動物の生息域が人間社会と重なりつつある
  • 山林管理の担い手が減少
  • 都市部に動物が近づくリスクが増加
  • 駆除後の処理が社会問題化
  • 一時的対策では根本的に解決しない

野生動物問題は 防災・環境・人口問題が絡む複合災害 と言えます。


■⑥ 私たちができる実践的対策

✔ 住宅周辺の「クマ寄せ対策」

  • 生ごみ・果樹の管理
  • 住宅周囲の雑草・藪を刈る

✔ 登山・散策時の安全行動

  • 鈴やラジオ
  • 早朝・夕方は山に近づかない
  • 足跡・糞・爪痕を見つけたら即撤退

✔ 地域での防災意識

  • 見かけたらすぐ通報
  • 住民メール・アプリで情報共有
  • 子ども・高齢者への周知

冬はクマが冬眠しますが、
暖冬時は冬眠が短くなり遭遇リスクがあるため油断できません。


■まとめ|クマ問題は“環境災害”であり、人間社会全体の課題

韓国のクマ飼育禁止問題も、
日本のクマ被害急増も、
共通して言えるのは——

「人と自然の境界が崩れている」 という現実です。

結論:
クマ問題は単なる動物被害ではなく、人口減少・森林管理・気候変動が重なる“社会的な防災課題”である。

元消防職員・防災士としての経験から言うと、
こうした“静かな環境リスク”こそ、後手に回ると大きな災害につながります。

地域・行政・個人の三位一体で、
早めの対策と情報共有を進めていくことが何より重要です。

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