冬の災害は、地震や台風とは違い、
「広域で同時に被害が起きる」 のが最大の特徴です。
・大雪
・路面凍結
・高速道路封鎖
・鉄道ストップ
・長時間停電
・断水
・物流停止
こうした複合災害により、
普段の生活が完全に止まる地域 が毎年のように出ます。
そのため「他県への避難」が現実的な選択肢になるケースもあります。
今回は、防災士として“冬の他県避難”の考え方を解説します。
■① なぜ冬は「他県避難」が必要になるのか
冬災害は、同じ市内・同じ県内でも被害差が大きく、
「自宅は無事でも、生活が全くできない」状況が発生します。
代表的な例
- 降雪量の偏りで 特定地域だけ交通マヒ
- 停電が 数日〜1週間続く
- 暖房が使えず 低体温症リスク増加
- 給湯器・水道凍結で 生活困難
- 食料・灯油配送ストップ
このような状況では、
近隣避難だけでは生活の維持が難しくなるため
他県避難も選択肢に入ります。
■② 他県避難が必要な“赤信号”の基準
次のどれか1つでも当てはまれば、他県避難の検討を。
✔ 暖房が使えず48時間以上の停電
→ 室内でも低体温症の危険。
✔ 食料・水・灯油が確保できない
→ 冬は数日で体調を崩す人が多い。
✔ 高齢者・乳幼児・持病者がいる家庭
→ 自宅待機は大きなリスク。
✔ インフラ復旧見込みが数日以上
→ 復旧目処が立たないほど危険。
✔ 交通が全面麻痺(除雪遅延含む)
→ 買い物・通院不可は“生活不能”。
■③ 他県避難のメリット
他県避難は決して大げさではなく、
命を守り、生活を継続するための“合理的な避難” です。
◎ 暖かい地域へ移動することで体調を守れる
九州・四国・関東南部など、雪の影響が少ない地域へ。
◎ 子どもの生活(学校・受験)を守れる
長期停電や交通麻痺中は学習環境が崩壊します。
◎ インフラの揃った場所で日常生活を再開
医療・食料・暖房が確保できるので安心。
■④ 他県避難の現実的な方法
✔ 家族・親戚宅に一時避難
最も安心・コストも最小。
✔ ホテル避難
高速道路や鉄道が動いている間なら可能。
✔ 新幹線利用(復旧が早い)
大雪でも新幹線は復旧が早く頼りになる。
✔ レンタカーより「公共交通優先」
冬の道路は事故・スタックリスクが大きい。
■⑤ 他県避難のための“事前準備”
✔ 家族と「避難先リスト」を作る
- 親戚宅
- 友人宅
- 暖かい地域のホテル候補
- 新幹線で行ける避難先
✔ 持ち出し袋に“冬装備”を追加
- カイロ
- 防寒シート
- 手袋・ネックウォーマー
- 充電器
- 重要書類のコピー
- 水・食料
✔ 車で行く場合の冬装備
- スタッドレスタイヤ
- スノーチェーン
- 牽引ロープ
- スコップ
- 毛布
- 予備食料
■⑥ 他県避難を「恥ずかしい」と思う必要はない
防災士としては、
“家に留まる=正義”という考えは冬災害では危険
と断言します。
雪害は自治体の支援が届きにくく、
“自助”の比重が大きくなるためです。
家族の健康と生活を守るための他県避難は、
最も賢い選択肢 です。
■⑦ 実際の事例に学ぶ(全国の雪害)
- 新潟:1週間停電 → 多くの家庭が県外宿泊
- 富山:24時間以上の交通マヒ
- 秋田:積雪で自宅の暖房故障 → 県外避難
- 北海道:断水・停電 → 子どもを札幌・本州へ避難
“移動できた人から生活を守れた” のが共通点です。
■⑧ 冬の災害は「体温」と「情報」が命を左右する
他県避難を考える判断材料は以下の2つ。
✔ 体温が守れるか
→ 暖房がないなら長期滞在は危険。
✔ 情報が得られるか
→ スマホ圏外・停電・基地局停止は “情報災害”。
この2つが揃わない場合は迷わず移動を。
■まとめ|冬災害は「逃げる方向」を増やすのが命を守る鍵
冬の災害は、行動が遅れるほど危険が増します。
・停電 ・雪害 ・交通マヒ ・物流停止
これらが重なると“自宅待機”はリスクの塊。
結論:
冬災害では「他県避難」も立派な命を守る防災行動。
“逃げる選択肢を多く持つ家庭ほど、災害に強い”のが現場での実感です。
防災士として、あなたや家族が安全に過ごせるよう
常に「逃げてもいい。逃げるべき時は逃げる。」
という考えを持っていただければと思います。

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