冬は、年間で最も“ケガが増える季節”。
特に雪・氷・寒さは、普段なら大したことがないケガでも重症化しやすくなります。
今回は、防災士として 「冬に多いケガ」×「正しい応急処置」 を、
そのまま使える形で詳しく解説します。
■① 冬にケガが多発する理由
冬は次の4つの要因が重なります。
- 路面凍結による転倒
- 靴底が滑りやすく運動性が低下
- 手指のかじかみで反応が遅れる
- 寒さによる血流低下で治りが遅い
さらに、雪害や停電などの災害時には救急搬送が遅れ、
「最初の応急処置」=ケガの重症化を分けるポイント になります。
■② 冬に特に多いケガと応急処置
🔹1. 転倒による打撲・捻挫
転倒は冬の救急件数トップ。
● 応急処置(RICE処置)
- R:Rest(安静)
- I:Ice(冷やす) 10~20分
- C:Compression(圧迫)
- E:Elevation(挙上)
※ ただし、凍傷の危険があるため “冷やしすぎ” はNG。
氷をタオルで包んで使う。
🔹2. 床で滑って転倒し、手首をひねる
冬は家の中でもケガが増える。
● 応急処置
- 腫れがある → 冷やす(10分)
- 痛みが強い → 動かさない
- 三角巾がない場合 → ストールやタオルで固定
- 変形・強い痛み → 骨折の可能性大、救急受診
🔹3. 雪道での転倒による骨折(特に高齢者)
手首・股関節の骨折が非常に多い。
● 応急処置
- 患部を動かさない
- 固定できる物で添え木(雑誌・板・段ボール)
- 体温を奪われやすい → 毛布・カイロで保温
🔹4. すり傷・切り傷
冬は皮膚が乾燥して裂けやすい。
● 応急処置
- 水でよく洗う
- 出血が止まらない → 圧迫
- 低温で血流が悪いと止血が遅い → 5分以上圧迫
- ワセリン or 保湿剤で皮膚保護
- ガーゼ or 絆創膏を貼る
🔹5. 火傷(ストーブ・ヒーター・カイロ・鍋)
冬の火傷は隠れやすく、悪化しやすい。
● 応急処置
- とにかく“まず冷やす” 20分
- 衣服にくっついている場合 → 無理に剝がさない
- 水ぶくれ → つぶさない
- カイロ低温火傷 → 皮膚科受診が基本
🔹6. 凍傷(指・耳・ほほ)
冬の屋外作業・通学で増加。
● 応急処置
- こすらない(皮膚がちぎれる可能性)
- 室内でゆっくり温める(37~40℃のぬるま湯)
- カイロを直接当てない
- 色が白→青→黒なら病院へ
🔹7. 低体温症の兆候
災害時の停電・車中・外作業で要注意。
● 応急処置
- 濡れた服を脱がせる
- 毛布・アルミブランケットで包む
- 温かい飲み物(熱すぎない)
- 意識がもうろう → 119番通報
■③ 冬のケガに役立つ「応急セット」
冬は通常の救急セットに以下を追加すると最強。
- 使い捨てカイロ(貼るタイプ含む)
- アルミブランケット
- 湯たんぽ
- ホットパック
- ワセリン(皮膚保護)
- 厚手の手袋
- テーピング・包帯
- 冷感パック(打撲初期)
- 防寒インナー(応急時の体温保持)
■④ 冬のケガを未然に防ぐ方法
- 靴底の滑り止めを強化(スパイク・簡易チェーン)
- 手袋で手指の反応低下を防ぐ
- 夜道・早朝はゆっくり歩く
- 玄関や駐車場の段差に要注意
- 車にスコップ・長靴・毛布を常備
■まとめ|冬のケガは“処置が遅いほど重症化する”
冬の応急処置で最重要なのは 「体を冷やさない」 こと。
- 打撲 → 冷やす
- 骨折 → 固定
- 火傷 → 流水冷却
- 凍傷 → ゆっくり温める
- 低体温症 → 保温・飲み物
この切り替えが瞬時にできるだけで、
冬のケガは圧倒的に悪化しにくくなります。
防災士として断言します。
冬は“応急処置のスピード”が、生死を分けることがある季節です。
今日から、家族のために冬用の応急セットと処置手順を準備しておきましょう。

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