冬の災害(大雪・寒波・停電・地震)では、人だけでなくペットの避難場所(ペットシェルター)の確保が非常に重要になります。
特に寒い季節は、犬・猫・小動物は低体温症に陥りやすく、避難の遅れがそのまま命に直結します。
防災士として、冬こそ「ペットをどう守るか」を家族で事前に話し合っておく必要があります。
■① 冬は“ペット避難”が難しくなる理由
冬災害では、ペットの命を脅かす要因が一気に増えます。
- 外気温が低く、移動中に低体温症
- 豪雪で移動困難、車での避難も危険
- 停電で暖房停止 → 自宅に残すと危険
- 避難所が満員でペット受け入れが制限
- ペット同伴エリアが寒く設備が不足
つまり、冬災害では避難判断がより早く必要になります。
■② ペット同伴避難の基本ルール(国・自治体指針)
多くの自治体では「同行避難(ペットと一緒に避難)」が原則ですが、
- 避難所の建物内は“専用エリアのみ”
- 人と同じスペースでは過ごせない
- ケージ・クレートが必須
- 吠え・噛みつき・脱走対策が求められる
—などのルールが冬でも変わりません。
しかし冬は、
屋外や未加温エリアが極端に寒い
という重大な問題が発生します。
■③ 冬のペットシェルターで起きやすい問題
避難所のペットエリアは、体育館の端・玄関横・屋外テントが多く、
- 室温が10℃以下
- すきま風が強い
- ぬれ毛が乾かない
- 夜間は凍える温度まで低下
- 小動物は命の危険レベル
防災士として現場で感じるのは、
「ペットエリアが寒すぎて命に危険」
というケースが非常に多いことです。
■④ 冬のシェルターに必要な“防寒セット”
避難する際は、最低限以下を持参してください。
●ペット用防寒アイテム
- 毛布・フリース2枚
- 使い捨てカイロ(低温やけどに注意)
- ペット用湯たんぽ
- ペット用コート・服
- クレートの上から掛ける断熱カバー
- アルミ保温シート
- 肉球クリーム(乾燥対策)
●クレートの底は断熱が必須
- 銀マット
- 断熱材
- タオル3層
冷たい床に直置きは即体温が奪われます。
■⑤ 事前に“ペット受け入れ避難所”を必ず調べておく
冬の避難では、
「どこに避難できるか」が命を左右します。
チェックすべきポイント:
- 自治体の同行避難マップ
- ペット同伴可能の避難所一覧
- 夜間や休日も受け入れ可能か
- ペット専用スペースが加温されているか
- 車中避難が可能な駐車場があるか
福岡県の場合、自治体ごとに指針が違うため、
住んでいる市町村に事前確認が必要です。
■⑥ “車中避難”が冬は効果的な理由
避難所のペットエリアが寒い場合、
車中避難のほうが安全なケースも多い です。
メリット:
- 暖かく保てる
- 鳴き声やストレス軽減
- 感染症対策としても分離しやすい
ただし、
- 一酸化炭素中毒(エンジンつけっぱなし)
- 雪で排気口が埋まる
- 朝方の急冷
には最大注意が必要です。
■⑦ 冬のペットシェルターで起こる“健康リスク”
- 低体温症
- 肺炎・気管支炎
- ストレス性下痢
- 水を飲まない → 脱水
- 肉球のひび割れ
- 老犬・老猫は心臓病が悪化
冬の避難は、
ペットの体調を毎時間チェック するくらいの意識が必要です。
■⑧ 自宅が寒すぎて避難が必要なケース
次のような状態は「避難すべき状況」です。
- 停電で暖房が使えない(6時間以上)
- 水が凍るほど室温が低下
- ペットが震え続けている
- 呼吸が浅くなる
- 食事や水を取らない
冬の災害は、
“寒さが家の中の命を奪う”災害
と考えてください。
■まとめ|ペットこそ“冬災害の弱者”。避難を最優先で考えるべき
冬の災害では、
✔ ペットシェルターは寒く設備不足
✔ 水が凍るほどの寒さは命の危険
✔ 避難判断は人より早く
✔ 車中避難の方が安全な場合も
✔ 防寒セットは必ず常備
✔ 自治体の受け入れ情報を事前確認
結論:
冬こそ「ペット避難の準備」が家族の命を守る最重要ポイント。
防災士として、冬災害では“人より先にペットが危険に陥る”ことを何度も見てきました。
だからこそ、
「どこに避難させるか」
を今すぐ家族で話し合っておいてください。

コメント