【防災士が解説】防災×冬×冬うつ|“光不足の季節”に心が落ち込む理由と、災害時のリスク

冬になると、気温の低下だけでなく
「冬うつ(季節性情動障害)」 が増えるのをご存じですか?

これは単なる気分の問題ではなく、
災害時の判断力・行動力を奪う“冬特有の防災リスク” です。

防災士の視点から、冬うつの危険性と対策をまとめます。


■① 冬うつとは?

正式には「季節性情動障害(SAD)」と呼ばれ、
日照時間が短くなることで脳の働きが低下する症状

● 主な原因

  • 日照不足 → セロトニン(幸福ホルモン)低下
  • メラトニン(眠気ホルモン)過剰
  • 自律神経の乱れ

冬場は曇天や雨も多く、深刻な“光不足”が起きます。


■② 冬うつが防災上のリスクになる理由

冬うつは、災害時の行動に直結する能力を奪います。

● 判断力が低下

避難のタイミングが遅れる。

● 行動力が落ちる

「面倒だから…」と避難をためらう。

● 不安が強くなる

誤情報に惑わされる。

● 体温調節がうまくいかない

低体温症・ヒートショックのリスクアップ。

冬うつは“災害弱者を生みやすい”季節性の危険要因なのです。


■③ 冬うつの主な症状

  • 朝起きられない
  • 気分が落ち込む
  • 食欲増加(特に甘いもの)
  • 眠気が強い
  • 人に会いたくなくなる
  • 疲れが取れない

これらは本人の努力ではコントロールしづらいものです。


■④ 冬うつが起きやすい人

  • 日中ほとんど外に出ない
  • 曇りや雨の日が多い地域
  • 夜勤・シフト勤務
  • 在宅ワーク
  • 高齢者
  • 子ども(特に思春期)

冬は誰でも発症リスクが上がります。


■⑤ 冬うつの対策(今日からできるもの)

● ① 朝10~20分の屋外光を浴びる

曇りでも効果あり。

● ② カーテンを朝一で全開

体内時計を強制リセット。

● ③ 室内照明を「明るめ」にする

特に朝は高照度ライトが有効。

● ④ 軽い運動(散歩・ストレッチ)

セロトニン分泌が増える。

● ⑤ 規則正しい睡眠

寝る直前のスマホを控える。


■⑥ 冬うつ時の“災害への備え”

冬うつ状態だと、避難判断の遅れや事故につながるため、
事前の準備がいつも以上に重要 です。

● やっておくと安心

  • 非常食・水の補充
  • 防寒具の整理
  • 懐中電灯・ランタンの準備
  • モバイルバッテリーを満充電
  • 避難先を家族と共有

気分が落ちると行動量も落ちるため、
元気な日に“備えを完了しておく”ことが大切。


■⑦ 家族に冬うつが疑われる場合のポイント

  • 朝の光浴びを促す
  • 一緒に軽い散歩
  • 部屋の温度を18~20℃に保つ
  • 無理矢理元気づけない
  • 気分の波を否定しない

特に子ども・高齢者の冬うつは見逃されがちです。


■まとめ|冬うつは“冬の見えない災害リスク”

冬うつは、気持ちだけの問題ではなく、

  • 判断力低下
  • 避難行動の遅れ
  • 不安増幅
  • 体調悪化

といった 命に直結するリスク をもたらします。

光を浴びる・体を動かす・防災準備を早める
この3つが冬の安全を大きく高めます。

冬うつ対策=冬の防災対策。
冬の心と身体を整えることが、災害から命を守る第一歩です。

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