冬になると、救急も外来も混雑し、
「診てもらえない」「救急車が来ない」
といった声が全国で増えます。
これは単なる季節要因ではなく、
冬は年間で最も“医療崩壊リスク”が高くなる季節 だからです。
今回は、防災士として
「なぜ冬に医療崩壊が起きやすいのか」
「家庭でできる予防策は何か」
をわかりやすく解説します。
■① 冬に“医療崩壊リスク”が急上昇する理由
▼① 感染症(インフル・風邪・胃腸炎)が一気に増える
乾燥する冬はウイルスが最も拡散しやすい季節。
外来・救急に患者が殺到します。
▼② 持病が悪化しやすく、救急搬送が増える
寒さで血圧が上がり、
心筋梗塞・脳梗塞のリスクが増大。
→ 冬は搬送件数が年間で最も多い時期。
▼③ 転倒・骨折など外傷が増える
凍結路面・雪道で歩行事故が急増。
高齢者の場合は入院が必要なケースも多い。
▼④ 大雪・寒波で交通インフラが麻痺
医療スタッフが出勤できず、
医療体制が縮小。
その結果、患者だけが増えて悪循環に。
▼⑤ 停電・断水で在宅医療が機能不全に
在宅酸素・人工呼吸器・透析など、
電気依存の医療は停電に弱い。
→ 在宅医療の患者が一斉に受診し、救急がパンク。
■② 冬の災害が“医療崩壊”を早める理由
雪害・停電・通信障害など冬の災害は、
医療現場に追い打ち をかけます。
▼① 救急車がスタックし搬送が遅延
→ 呼吸困難・脳卒中・心疾患で致命的。
▼② 電気が止まり、命に関わる医療機器が停止
例:在宅酸素、CPAP、吸引器、人工呼吸器など。
▼③ 道路閉鎖で早期受診できず重症化
「行けないから市販薬で耐える」
→ 症状悪化後に病院へ → 医療負荷が急増。
▼④ 避難所生活で感染症が拡大
乾燥&密集でインフル・肺炎が広がりやすい。
■③ 家庭でできる「医療崩壊を防ぐための備え」
▼① 冬の“家庭用医療備蓄”を必ず準備
- 解熱剤
- 咳止め・のど薬
- 経口補水液
- 常備薬(2週間分)
- 体温計の予備電池
- カイロ・毛布
- マスク・アルコール
→ 軽症は自宅で対応、医療を逼迫させない。
▼② 持病がある人は冬前に受診・薬の調整
特に重要:
- 血圧
- 心臓
- 呼吸器
- 糖尿病
→ 冬は悪化しやすいため、早めの診察が命を守る。
▼③ 高齢者の“転倒リスク”対策
- 玄関マット
- 手すり
- 滑り止め靴
- 屋内の段差改善
→ 冬に急増する骨折は医療崩壊の大きな要因。
▼④ 電気依存の医療がある家庭は“停電対策”
- ポータブル電源
- 予備バッテリー
- 緊急時の連絡リスト
- 医療機器の停電マニュアル
- 在宅酸素はボンベ残量の確認
■④ 受診するか迷ったときの判断基準
▼✔病院に行くべき症状
- 息が苦しい
- 意識がぼんやり
- 高熱が続く
- 水分がとれない
- 胸の痛み
- 片側の手足が動きにくい
▼✔自宅で様子を見るべき症状(軽症)
- 37.5℃前後の軽い発熱
- 軽い咳・鼻水
- 食欲はある
- しっかり水分がとれる
▼✔迷ったら
- 小児:#8000
- 大人:#7119(地域による)
- 自治体の救急相談窓口
■⑤ 冬は“医療リスクが最も高い季節”。備えで生存率が変わる
冬は
感染症 × 寒さ × 持病悪化 × 事故 × 災害
が同時に起きるため、医療体制が非常に脆くなります。
だからこそ、
✔ 軽症は自宅で対応
✔ 常備薬の確保
✔ 早めの受診
✔ 停電対策
✔ 家庭内の転倒防止
この5つが、家族を守り、地域の医療崩壊を防ぐ力になります。
冬は備えが“命を左右する季節”。
今日からできる対策を、ぜひ一つでも取り入れてください。

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