冬になると「なんとなく体調が悪い」「疲れが抜けない」「風邪をひきやすい」
そんな状態の裏にあるのが “寒冷ストレス” です。
寒さそのものが負担になるだけでなく、
血圧・免疫・ホルモンバランスなど、体のあらゆる機能に影響を与えるため、
冬の体調不良の大半は寒冷ストレスによって起きています。
今回は、防災士として
寒冷ストレスの危険性と冬の災害時にも使える対策
をわかりやすく解説します。
■① 寒冷ストレスとは?|“寒さの刺激が体に負担をかける状態”
寒冷ストレスとは、
体が寒さによって強い負荷を受け、正常な機能が乱れてしまう状態 のこと。
特に冬は…
- 外気温
- 室内の温度差
- 冷気の隙間風
- 夜間の急激な冷え込み
これらが重なって、体にストレスが蓄積します。
災害で暖房が使えない状況では、一気に危険性が高まります。
■② 寒冷ストレスが引き起こす危険な症状
寒冷ストレスは“静かに進む”ため気づきにくいですが、影響は深刻です。
▼身体への影響
- 血圧が急上昇(ヒートショックの原因)
- 心臓への負担増加
- 免疫低下 → 感染症にかかりやすい
- 筋肉が固まり転倒しやすくなる
- 手足の冷えで眠れない・集中できない
▼メンタルへの影響
- やる気低下
- 不安感
- 冬うつ(季節性情動障害)
冬の体調不良の多くは、寒冷ストレスによって生まれます。
■③ 寒冷ストレスは「家の中」でも発生する
高齢者の冬の死亡原因にも関わるように、
寒冷ストレスは 屋内の温度差 で増大します。
特に危険な場所:
- トイレ
- 脱衣所
- 浴室
- 廊下
- 玄関
暖房の効いたリビングとの温度差が10℃以上ある家は要注意です。
■④ 冬の災害時は寒冷ストレスが“急増”する
大雪・停電・断水が起きると、寒冷ストレスは一気に危険レベルへ。
- 暖房停止 → 体温が急低下
- 水が使えない → 温かい飲み物が作れない
- 避難所が寒い
- 移動中に冷風を浴びる
災害弱者(高齢者・子ども・持病がある人)は特に危険です。
■⑤ 寒冷ストレスを減らす防災対策|今日からできる家庭術
✔① 首・手首・足首の“三首”を温める
→ 体温維持に最も効果的
- マフラー
- レッグウォーマー
- 手袋
- ネックウォーマー
✔② 断熱アイテムで「家の温度差」を減らす
- すきま風テープ
- 断熱カーテン
- 窓にプチプチ
- 玄関マット+ドア下シール
100均で揃うものでも効果抜群。
✔③ 温かい飲み物をこまめに
- 白湯
- スープ
- カフェイン少なめの飲料
体内から温めることで寒冷ストレスを軽減。
✔④ 部屋の湿度を40〜60%に保つ
乾燥は体温低下と免疫低下につながるため、
加湿器 or 洗濯物の室内干しが効果的。
✔⑤ 入浴は「脱衣所の暖房」が最重要
ヒートショック予防にも直結します。
■⑥ 災害時に役立つ“寒冷ストレス対策アイテム”
- 簡易カイロ(貼るカイロ)
- アルミ保温シート(エマージェンシーブランケット)
- 冬用寝袋
- レインウェア(風を止める)
- ポータブル電源・充電式ヒーター
避難所や車中泊でも、寒冷ストレス軽減に直結します。
■⑦ 高齢者・子どもへの特別な注意点
高齢者
- 体温調整が遅く、寒冷ストレスを“感じにくい”
- こまめに声かけを
- 夜間トイレや入浴は特に注意
子ども
- 体表面積が大きく、熱が奪われやすい
- 外出時は帽子・マフラー必須
- 手足が冷えやすいので二重靴下も有効
■まとめ|寒冷ストレスは“静かな災害”
寒冷ストレスは目に見えず進むため、気づいたときには体力が低下しています。
結論:
寒冷ストレス対策は、冬の命を守る“確実な防災行動”です。
家の断熱、三首の保温、温かい飲み物、脱衣所の暖房。
どれも今日からできて、効果が大きいものばかりです。
冬の体調不良を減らし、家族の健康を守るためにも
「寒さ対策=防災対策」として意識していきましょう。

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