火災で命を奪う主因は、炎ではなく 煙(有毒ガス) です。
実際、火災死亡の約7~8割は「煙による一酸化炭素中毒・視界ゼロによる転倒・迷い込み」が原因。
だからこそ避難訓練だけでなく
“煙体験訓練”が命を守る実践スキル になります。
この記事では防災士の視点から
煙体験訓練の重要性と、実際の火災で役立つ行動を解説します。
■① なぜ煙体験が必要なのか
煙は想像よりはるかに怖い存在です。
- 火より先に広がる
- 数歩先が見えなくなる
- 2〜3回吸うだけで倒れる
- 天井から一気に降りてくる
- 逃げ道を奪い、方向感覚を失わせる
訓練では体験できても、
本番では“初めての恐怖”が行動を止める
というケースが多いため、事前体験は非常に重要です。
■② 煙体験訓練で学べる命を守る動き
●姿勢を低く(煙は上に溜まる)
煙が充満すると、床付近だけがわずかに空気が残ります。
這うように移動するのが最も安全。
●口と鼻を覆う
ハンカチ・タオル・袖でOK。
実際の火災では濡れていなくても「覆うかどうか」で吸い込み量が大きく違います。
●視界ゼロでの移動
煙で前が見えないのが火災のリアル。
訓練では、
- 壁を伝う
- 角を手で確認しながら進む
- 非常口の位置を体感で覚える
これが生死を分けます。
●ドアノブを触る前に確認
火が裏側にあるとドアノブが高熱になり、開けた瞬間に炎が噴き出します。
手の甲で温度を確認するのが鉄則。
■③ 火災時に絶対にやってはいけない行動
- 立ったまま移動(最速で煙を吸う)
- 深呼吸してしまう
- 大声を出して走る(酸素消費&パニック拡大)
- エレベーター使用
- 方向を変えて迷い込む
煙の恐怖は、判断力を失わせる点にあります。
■④ 子ども・高齢者が特に煙に弱い理由
- 呼吸が浅く回数が多い
- 低酸素・有毒ガスに耐えられない
- パニックで立ち上がりやすい
- 方向感覚が失われやすい
家庭でも「煙を避ける姿勢」を教えておくと行動が変わります。
■⑤ 煙体験訓練で見落としがちなポイント
●非常口の位置を“感覚で”覚える
視界が奪われる火災では
非常口の表示は見えません。
●荷物は絶対に取りに戻らない
煙が広がるスピードは人間の走る速度より速い場合があります。
●誘導の声が聞こえない想定
火災現場ではアラームや悲鳴で声がかき消されます。
■⑥ 家庭でもできる“簡易煙避難訓練”
煙を使わない安全な方法でも練習できます。
- 部屋の電気を消して視界を奪う
- 低姿勢で出口まで移動
- 家族で非常口(玄関・ベランダ)までのルート確認
- 子どもでもできる「ハンカチで口を覆う」練習
これだけで日常の火災対策レベルが大きく上がります。
■まとめ|煙を知ることが命を守る
- 火災は煙が主な死亡原因
- 煙体験訓練は“パニックを減らす訓練”
- 姿勢・呼吸・方向感覚が最重要
- 家庭でも視界ゼロの練習だけで効果大
- 子ども・高齢者は特に注意
火災は想像以上に早く、そして静かに命を奪います。
だからこそ 「知識 × 体験」 の両方が必要なのです。
■防災士から最後に
訓練は「怖がるため」ではなく、
“怖くても動ける自分”をつくるため にあります。
煙体験訓練を経験しているだけで、
火災で助かる可能性は大きく上がります。
今日、家族と一度だけでも
「姿勢を低くして出口まで移動」
これをやってみてください。
それだけで火災への備えは一段レベルアップします。

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