災害・事故・急病——最初にそばにいるのは、消防でも救急でもありません。
“その場に居合わせた人”です。
だからこそ、家庭・学校・職場での応急手当訓練は、もっとも身近で強力な防災力になります。
■① 応急手当訓練が必要な理由
救急車の到着には全国平均で約10分、災害時には20〜30分以上かかります。
しかし、人の生死はこの「到着前の数分」で決まるケースが非常に多いのが現実です。
特に以下のケースでは、一般市民の応急手当が決定的役割を果たします。
- 呼吸停止・心停止
- 大量出血
- 窒息
- 重度のやけど
- 意識障害
訓練は「助ける準備」ではなく、
“助かる命を逃さないための防災習慣” です。
■② 応急手当の基本プロセス(3つだけ覚えればOK)
応急手当に必要なのは、高度な技術ではありません。
まず覚えるべきは次の3つです。
- 観察(意識・呼吸・出血を確認)
- 通報(119番で状況を簡潔に伝える)
- 応急処置(止血・冷却・固定・心肺蘇生など)
この3つだけで、多くの命が救われています。
■③ 状況別:最低限できるべき応急手当
●大量出血
- 清潔な布やタオルで 強く圧迫
- 心臓より高く上げる
- 圧迫を途中でやめない(命に直結)
●骨折
- 無理に動かさず、その場で 固定
- ダンボール・雑誌・タオルで代用OK
●やけど
- 10〜20分間しっかり 流水冷却
- 氷・保冷剤はNG
- 服を無理に剝がさない
●意識障害
- 呼吸確認
- 呼吸なし → 胸骨圧迫+AED
- 呼吸あり → 気道を確保して横向きに寝かせる(回復体位)
■④ AED訓練が必須な理由
AEDは「誰でも使える救命機器」です。
- 電源を入れれば音声が誘導
- パッドを貼る位置は胸の右上・左下
- 電気ショックが必要かどうかは機械が判断
AEDを扱える人がひとりいるだけで、救命率は 2〜3倍 変わります。
訓練で恐怖心をなくすことが最も重要です。
■⑤ 家庭でできる応急手当訓練
高額な道具は不要です。
家庭でできる訓練は次の通りです。
- 家族で「観察の練習」
- 三角巾の代用としてタオルで巻く練習
- ダンボールで腕を固定する練習
- 119番の通報ロールプレイ(非常に効果的)
家族の安全は、家庭内訓練が守ります。
■⑥ 学校・地域での応急手当訓練の重要性
地震・水害・火災では、
「子ども」「高齢者」「地域住民」が自分たちで助け合わなければならない状況が確実に起きます。
訓練は地域の防災力そのものです。
- 避難所運営での負傷者対応
- 子どものけがへの早期対応
- 集団行動中の事故発生時の初動
地域の連携と訓練が、被害を大幅に減らします。
■⑦ 子ども・高齢者への対応ポイント
●子ども
- 変化が急
- 呼吸・熱・意識に注意
- 小児モード付きAEDを使用
●高齢者
- 骨折しやすい
- 誤嚥リスクが高い
- 脱水・意識障害に注意
年齢に応じた観察が生命線になります。
■⑧ 訓練が生む“防災力”
応急手当訓練の本当の価値は、
「行動できる自分」 をつくることです。
- パニックが減る
- 自信が生まれる
- 周囲を守れる
- 災害時の行動がスムーズになる
- 家庭・職場の安全度が上がる
「訓練している人」と「していない人」では、災害時の行動に大きな差が出ます。
■まとめ|応急手当訓練は“すべての防災の土台”
応急手当訓練は、防災の中でももっとも実践的で、もっとも人の命に直結するスキルです。
- 救急車到着前の行動が救命率を決める
- 観察・通報・応急処置の3つで十分戦える
- 家庭・学校・地域で訓練をするほど強くなる
- AEDは誰でも使える(訓練必須)
- 子ども・高齢者ほど初動の差が命に関わる
結論:
応急手当訓練は“誰かの命を救う力”であり、もっとも身近な防災行動である。
元消防職員として現場を経験した立場から言うと、
適切な応急手当が行われていた現場ほど「助かる確率が明らかに高かった」です。
あなたの1分の行動が、確実に命をつなぎます。

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