火傷(熱傷)は、家庭内・アウトドア・災害・火災など
あらゆる場面で発生する身近なケガです。
しかし実際の現場では、
「軽いと思って放置した火傷が重症化する」
というケースを何度も経験してきました。
火傷は“見た目の軽さ”では判断できず、
皮膚の中で進行する損傷 であることが最大の危険です。
元消防職員として、火傷の危険性と症状をわかりやすく解説します。
■① 火傷(熱傷)とは?
火傷とは、熱や蒸気、炎、熱湯、化学物質などにより
皮膚や組織が損傷すること。
家庭でも、災害でも、火災でも非常に発生しやすく、
重症化すると命に関わることもあります。
ポイントは
外見と実際の損傷が一致しない
ということ。
見た目が軽くても深部まで損傷していることがあります。
■② 火傷の症状は「3段階」で判断する
火傷は症状により、
1度 → 2度(浅達・深達) → 3度
の段階に分類されます。
症状が軽く見えても、
分類を誤ると危険な状態を見落とします。
■③ 1度熱傷の症状(軽度)
皮膚の表面だけが損傷した状態。
主な症状
- 赤くなる(発赤)
- ヒリヒリ痛む
- 晴れ(軽度)
特徴
- 水ぶくれはできない
- 数日で治る
- 日焼けと同じレベル
【例】
・お湯が軽くかかった
・日焼け
・軽い接触火傷
■④ 2度(浅達性・深達性)熱傷の症状
最も多いのが2度熱傷。
皮膚の奥まで損傷するため、適切なケアが非常に重要です。
●浅達性(浅い2度熱傷)
症状
- 水ぶくれ(水疱)ができる
- 強い痛み
- 赤みと腫れ
特徴
- 適切な処置で治りやすい
- 火傷の典型的な症状
●深達性(深い2度熱傷)
症状
- ただれ(びらん)
- 白っぽくなる
- 触っても痛みが弱い(神経が損傷)
危険性
- 放置すると瘢痕(跡)が残る
- 感染症リスクが高い
- 症状の見分けが非常に困難
■⑤ 3度熱傷の症状(重度)
皮膚の全層が損傷した状態で、非常に危険です。
症状
- 皮膚が白色・黒色・褐色になる
- 乾燥し革のような質感
- 痛みが少ない(神経が破壊されているため)
- 腫れが急激に広がる
危険性
- 感染症・ショック状態
- 大量輸液が必要なほどの身体ダメージ
- 命の危険性が極めて高い
【例】
・火炎に直接触れた
・高温の蒸気や油による火傷
・火災時の高温暴露
■⑥ 火傷の重症度は「広さ」で変わる
症状の深さだけでなく、
身体全体の何%を火傷したか(熱傷面積) も重要です。
目安として「9の法則」があり、
- 成人:20%以上
- 子ども:10%以上
は命に関わる重症熱傷です。
【例】片腕全体 ≒ 9%
【例】足全体 ≒ 18%
広範囲の火傷は救命率が下がります。
■⑦ 火傷で絶対にやってはいけないこと
火傷の応急処置はとてもシンプルですが、
多くの人が誤った対応をして悪化させます。
やってはいけないNG行動
- 氷で冷やす(血行障害で悪化)
- 油・歯磨き粉・薬を塗る
- 水ぶくれをつぶす
- タオルや布を当てる
- 服を無理に脱がせる
すべて火傷を悪化させる原因です。
■⑧ 火傷を起こしたときの正しい応急処置
消防の現場でも徹底しているのはこれだけです。
✔ 1)流水で冷やす(最低15分)
皮膚の深部の熱を取ることが最優先。
痛みが引くまで続ける。
✔ 2)服の上から冷やしてOK
貼り付いている服を無理に外す必要はありません。
✔ 3)清潔なラップで覆う
乾燥を防ぎ、細菌を防ぐため。
✔ 4)痛みが強ければ必ず病院へ
2度以上の火傷は自己判断では危険です。
■まとめ|火傷は「見た目より深い」損傷として扱う
火傷は軽く見えても、
皮膚の奥で大きなダメージが進行している
ことがよくあります。
- 1度:赤いヒリヒリ
- 2度:水ぶくれ・強い痛み
- 3度:白・黒くなり痛みが弱い
- 広範囲の火傷は命に関わる
- 間違った応急処置は悪化させる
- 冷やす・覆う・病院へ が基本
結論:
火傷は“見た目で判断せず、深部損傷として扱うこと”が命を守る最重要ポイントである。
元消防職員として、火傷は「初期対応で予後が決まる」と痛感しています。
正しい知識を持つことで、家庭でも災害時でも命を守る行動ができます。

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