消防団は「地域防災の最後の砦」として欠かせない存在です。
しかし近年、団員数は全国的に減少し、災害多発化によって活動負担は増加。
そのため、国・自治体によって 処遇改善(報酬・手当の引き上げ) が急速に進んでいます。
今回は、元消防職員として、消防団員の処遇改善の内容・背景・今後の方向性をわかりやすく解説します。
■① 年額報酬の増額が全国で進んでいる
総務省消防庁は「非常勤消防団員の報酬等の基準」を示し、
多くの自治体が 年額報酬の引き上げ に踏み切っています。
主なポイント
- 階級(団長・部長・班長・団員)ごとに引き上げ
- 一般団員の例:3万円 → 3万6千円 に増額した自治体も
- 支給は10月と翌4月の年2回に分割
- 国の中間報告では4階級を対象に改善を推奨
報酬の増額は、団員自身だけでなく 家族の理解・協力度向上 にも効果があります。
■② 出動報酬の新設・拡充
従来の「出動手当」を見直し、
より実態に合った 出動報酬 として制度設計する自治体が増えています。
主な改善内容
- 出動内容別の報酬化(火災・災害・訓練など)
- 時間区分を設けて増額
- 火災現場:4,000円〜8,000円 の自治体も登場
- ベテラン団員向けの支給枠新設
- 出動・訓練ごとに個人へ支給
特に大規模災害の増加に伴い、活動に応じた 正当な評価 を行う形に進化しています。
■③ 団員減少への対策として不可欠
報酬改善は、団員減少という全国的課題への重要な対策です。
背景
- 団員数の減少(働き方多様化・人口減少)
- 災害多発化で活動範囲が拡大
- 火災だけでなく水害・風災・警戒・救急支援など
- 本業との両立が難しく、負担増大
そのため国と自治体は、
報酬改善+装備改善+制度改善の三本柱で支援を強化しています。
■④ 国の支援策(総務省の方針)
総務省は以下の支援策も拡大しており、処遇改善と並行して団員確保に取り組んでいます。
- 学生消防団認証制度
- 装備・車両の整備補助
- マイカー共済・公務災害補償
- 働きやすさ改善のガイドライン
- 団本部・詰所の環境改善
全国一斉ではなく、自治体の状況に応じて段階的に進行中です。
■⑤ 自治体の具体的な改善事例
君津市(令和4年〜)
- 基本報酬を増額
- 出動報酬に時間区分と職務区分を新設
- 災害活動の負担に応じて公平性を向上
名古屋市(平成27年〜)
- 全国に先駆けて階級別年額報酬を導入
- 団長:41,700円など、役職ごとに増額
こうした事例が全国へ波及し、改善が加速しています。
■⑥ 高市政権の「危機管理投資」との関連
高市政権が掲げる「危機管理投資」には、
国土強靭化・防災力向上・地域の危機対応力強化が含まれています。
消防団はその中心に位置づけられるため、
今後の期待される効果
- 地方交付金の拡充
- 防災予算の増額
- 団員処遇改善の後押し
- 装備・施設の近代化
ただし、現時点では“新施策”という形での明確な追加はなく、
総務省の現行方針を土台にした改善が続いている状況です。
■⑦ 処遇改善は団員の活動意欲を大きく高める
報酬は「労働対価」というだけでなく、
「地域のために活動する意義を認める社会的評価」 の意味を持ちます。
元消防職員として現場をみてきた実感では、
- 正当な評価
- 家族の理解
- 装備の改善
- 出動の安全確保
これらがそろって初めて、団員は安心して活動できます。
処遇改善は、その基盤を固めるための重要政策です。
■⑧ 今後の課題と展望
改善は進む一方で、以下の課題も残ります。
- 若年層の団員確保
- 本業との両立支援
- 災害の激甚化に伴う安全対策強化
- ICT活用による効率的な運用
- 女性団員・多様な団員の受け入れ体制整備
処遇改善だけでなく、組織運営そのものの進化が求められています。
■まとめ|消防団の処遇改善は「地域の安全」を守る投資
消防団の処遇改善は…
✔ 団員減少に対する最重要施策
✔ 地域の防災力を底上げする“危機管理投資”
✔ 国・自治体が継続して強化する流れにある
✔ 現場の安全確保と家族の理解に直結する
✔ 未来の団員確保に欠かせない取り組み
結論:
消防団の処遇改善は、地域を守る最後の砦を強くする“防災投資の核心”である。
元消防職員として、現場を支える団員の志と努力が正当に評価される社会を、強く望みます。

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