【防災士が解説】道路から考える防災・減災|首都直下地震に備えるために必要な“国土の強靭化”とは

2024.03.07

関東大震災から100年。さらに能登半島地震が元日に発生し、災害への備えが避けられない日本。
そんな中、「道路」を切り口に防災・減災、そして国土強靭化を考える座談会が開かれました。

登壇したのは、
● 国土技術研究センター理事長・徳山日出男氏
● 歴史学者・磯田道史氏
● 国土交通省 関東地方整備局長・藤巻浩之氏

この記事では、彼らの議論から見えてきた“日本が今すぐ取り組むべき防災の本質”を、防災士としてわかりやすくまとめます。


■能登半島地震が示した“想定外”の現実

磯田氏は、能登半島では1729年にもM7級地震が起きていたと指摘。
しかし今回はM7.6と過去を上回り、「想定外は常に起こり得る」という歴史的事実を示しました。

徳山氏も、想定はあくまで「何万通りもあるシナリオの一つ」に過ぎないと強調。
行政も住民も “自分ごと化” して備える必要があります。

また藤巻氏は、能登で救助が遅れた一因として
幹線道路の脆弱性
を挙げ、道路ネットワークの整備が命綱になると語りました。


■道路は“延焼を止める線”であり“命を運ぶ線”である

日本の道路網は古代から現代まで発展し、世界的にも珍しいほど細密なネットワークを持っています。

しかし維持には限界がある。
だからこそ、災害時には特に以下の道路が重要になります。

● 避難ルート
● 救助ルート
● 消防・医療の輸送路
● 緊急車両の展開スペース

磯田氏は、江戸の大火や関東大震災などの歴史を挙げながら、
「手痛い災害を経験すると、道路や橋の必要性に気づく」
と語りました。

つまり、道路は日常のためではなく、“非常時に命を守るためにある”という視点が欠かせません。

藤巻氏は、首都直下地震の際には
八方向作戦(道路啓開計画)
によって救援ルートを確保する必要があると言及。

道路をあみだくじのように多方向へ接続することで、災害後の“詰まり”を防ぐことができます。


■行政は「できること」ではなく「すべきこと」を優先せよ

磯田氏は行政の役割として、
「CAN(できること)」ではなく「MUST(すべきこと)」を考えるべき
と明言しました。

● 幹線道路の整備
● 緑地帯の確保(延焼防止帯)
● 津波避難施設の配置

こうした投資は、経済合理性だけで判断するべきではありません。

災害時の命に直結する“公共性の高い投資”として位置づけることが不可欠です。


■備えるべきは「最初の20秒」|生き残るための行動

能登半島地震では建物倒壊による被害が大きく、徳山氏は
「最初の20秒を生き残れるかどうかで生存率が大きく変わる」
と強調しました。

● 備蓄は“生き延びた後”の話
● まずは“倒れない家に住むこと”
● 家具固定・耐震補強は必須
● 昭和55年以前の建物は特にリスクが高い

磯田氏も、地震発生時にどう動くかの訓練を個々人が行うべきと述べています。

歴史学者ならではの視点として、曽祖父が津波常襲地での“伝承”を聞いていたため、地震発生後すぐ高台へ逃げ、家族全員が助かったエピソードも紹介されました。

これはまさに
“心を揺さぶる防災が人を動かす”
ことの象徴です。


■自助・共助・公助の未来|本当に必要なのは「事前の公助」

3氏の共通認識は明確でした。

● 自助 → 個人差が大きい
● 共助 → 地域によりバラバラ
● 公助 → 事後より“事前”の整備が重要

公助とは、被災後に助けに来ることだけではありません。

● 耐震化
● 道路整備
● 防火帯・避難場所
● 情報伝達インフラ
● 公共施設の耐震化

これらを災害前に整備することが、最も大きな命の差を生みます。

藤巻氏は「能登の教訓を関係者と共有し、未来へつなぐ」と語り、
徳山氏は「人の心が揺さぶられない限り防災行動は進まない」と指摘しました。

つまり、
“防災を自分ごと化する社会”をどう作るか
が、これからの鍵になります。


■まとめ|道路は防災の“血管”であり、国土のレジリエンスを決める

今回の座談会で浮き彫りになったポイントは以下の通りです。

● 災害は必ず起きる(100年に一度でも起きる)
● 想定外に備えることこそ防災
● 道路整備は命を守るための投資
● 首都直下地震では道路ネットワークが救助の鍵
● 最初の20秒を生き残るための対策が必須
● 公助は“事前整備”こそが最大の効果を持つ
● 自助・共助・公助をつなぐのは「心を揺さぶる伝承」

道路は、ただのインフラではありません。
人を救い、都市を守り、未来をつなぐ“防災の血管”です。

私たち一人ひとりが、自分の街の道路・避難ルートを見直し、
家族を守る“行動できる防災”を育てていきましょう。

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