【防災士が解説】“失敗しない備蓄”は収納から始まる|震災経験者が語る「使い切る・回す・守る」実践術

災害への備えは「量」よりも「運用」。
どれだけ備蓄しても、取り出せない・使い切れない・家族が場所を知らない——
そんな状態では命を守る備えとは言えません。

今回は、震災被災経験をもとに独自の収納術を確立し、
BJ-1グランプリを受賞した呉田さんの実践をヒントに、
家庭で再現できる“運用型備蓄収納”を紹介します。


■① 備蓄は「3階層」で考えると一気にラクになる

多くの家庭で起きる失敗は、
“備蓄をひとまとめにして押し入れへ入れる” こと。

これだと、いざという時に取り出せず、
賞味期限の管理も崩壊しやすくなります。

そこでおすすめなのが、備蓄を以下の3階層に分けること。

▼備蓄の3階層モデル

  1. 即時使用ゾーン(玄関・キッチン・寝室)
    停電・断水直後に使うもの。ライト、簡易食、飲料水など。
  2. 主備蓄ゾーン(押し入れ下段・クローゼット)
    1週間分をしっかり収納する“呉田式引き出し収納”。
  3. 補充・交換ゾーン(パントリー・物置)
    定期的に補填するストック群(箱買いの水・レトルト等)。

この分け方だけで、
「迷わない・取り出しやすい・賞味期限が管理しやすい」備蓄になります。


■② 呉田さんの“押し入れ引き出し収納”が優秀な理由

前回紹介した6つの区分収納は、実は防災理論にも合致しています。

▼分類の黄金比 = 6〜7カテゴリー

脳が一度に認識しやすい数は “7±2” と言われ、
防災教育でも収納分類はできるだけ絞るのが鉄則です。

呉田さんの場合は:

  • ごはん・パン
  • 麺・もち
  • おかず・スープ
  • 軽食・おやつ
  • 食事用品
  • 衛生用品

この6種類は“迷わない分類”としてほぼ完成形です。


■③ 「果物ゼリー」「ぜんざい」を入れる理由は“心の防災”

災害時、人は強いストレスにさらされ、
食べる量が減る or 甘いものが欲しくなる傾向が強まります。

呉田さんが“果物ゼリー”を多めに入れている理由は、
実際に被災したとき果物が食べられず、強い渇望を覚えたから。

▼甘味を備える心理的メリット

  • 不安の緩和
  • 子ども・高齢者が食べやすい
  • エネルギー補給が早い
  • 少量で満足感がある

防災備蓄は「心の回復」こそ本当の目的です。


■④ 賞味期限ラベル+月1点検=“生きた備蓄”になる

呉田さんの備蓄が機能している理由は、
運用の仕組みが組み込まれている から。

▼呉田式ルール

  • すべてに大きく賞味期限ラベル
  • 月1回の備蓄点検
  • 期限が近いものから食べる
  • 食べたら必ず補充する

ローリングストックの“理想的な形”です。

家庭で最も多い失敗は
「備蓄は買ったが、そのまま眠っている状態」。
彼女の方式は、それを完全に解消しています。


■⑤ 水が使えないときの“ミニマム衛生セット”を備蓄に追加

今回の記事後半で紹介した
● 少量の水で磨く方法
● 液体歯磨きで水ゼロケア
は、実際の避難所でも高く評価されているケア方法です。

▼収納に加えたい衛生ミニセット

  • 液体歯磨き
  • 歯みがきシート
  • ウェットティッシュ
  • 小さめ紙コップ
  • 個包装の綿棒・ガーゼ

これらを 透明ポーチ1つにまとめる と迷わず使えます。


■⑥ “備蓄は暮らしと一体化させる” が成功のコツ

呉田さんの備蓄収納に共通しているのは、

  • 家族全員が場所を知っている
  • 日常の延長で使える
  • 使う → 補充 の流れが自然

という“生活習慣化された備蓄”。

備蓄は特別な行動ではなく、
日々の暮らしに溶け込ませる方が圧倒的に長続きします。


■まとめ|収納の工夫が、備蓄を“命を守る仕組み”に変える

備蓄の本質は「持っている量」ではなく、
家族が安全に使い切れる運用ができるかどうか。

呉田さんの実践は、その理想形と言えます。

今日できる行動

  • 収納を3階層に分ける
  • 引き出し6分類を導入
  • 賞味期限ラベルを貼る
  • 月1点検の習慣をつくる
  • 水なし衛生ケアグッズを追加

防災備蓄のレベルは、今日から必ず上がります。
家族を守る“使える備蓄”を一緒に育てていきましょう。

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