「なんとなく焦げ臭い」「コンセントの近くが熱い気がする」
この違和感を放置するかどうかで、結果は大きく変わります。
住宅火災の現場で多いのが、コンセント周辺からの出火です。特に“トラッキング現象”は、静かに進行し、ある日突然炎になります。元消防職員として、初動対応と判断基準を整理します。
■① トラッキング現象とは何か|見えない“炭化の橋”
トラッキング現象とは、コンセントとプラグの間にホコリや湿気が入り込み、微弱な放電を繰り返して炭化し、やがて発火する現象です。
・長期間差しっぱなし
・家具の裏でホコリが溜まる
・結露や湿気がある
・キッチンや洗面所付近
最初は焦げ臭さや変色だけで、炎は見えません。
■② 危険サイン|“匂い+温度+変色”は要注意
コンセント火災の前兆は、次の組み合わせです。
・焦げ臭い匂い
・コンセントやプラグが熱い
・差込口が茶色や黒に変色
・パチパチという微小音
・ブレーカーが落ちる
1つでもあれば“様子見”ではなく行動が必要です。
■③ まずやること|安全側の初動対応
焦げ臭いときの初動はこの順番です。
1)可能ならブレーカーを落とす
2)コンセントを触らない(熱がある場合は特に)
3)可燃物(紙・布)を周囲から離す
4)煙や火花があれば119
「抜けば大丈夫」と素手で触るのは危険です。
■④ よくある誤解|“使えているから大丈夫”は危ない
実際の現場で多かった誤解がこれです。
・まだ電気はつくから問題ない
・少し焦げているだけ
・古い家だから仕方ない
トラッキングは“使えている状態”で進行します。
発火は突然です。
■⑤ やらなくていい行動|火を呼び込む対応
・濡れた手で触る
・延長コードをさらに足す
・焦げた部分にテープを巻いて使い続ける
・ブレーカーを何度も入れ直す
これは被害を拡大させる行為です。
■⑥ 今日できる最小行動|10秒チェック
月に一度でいいので、次を確認します。
・家具の裏のコンセント
・冷蔵庫・電子レンジ周辺
・洗濯機・エアコン周辺
・タコ足配線部分
ホコリが溜まっていれば掃除。
差しっぱなしなら一度抜いて状態確認。
これだけでリスクは大きく下がります。
■⑦ 現場で見た「焦げ臭さを放置した結果」
元消防職員として経験した住宅火災の中には、
「数日前から焦げ臭かった」というケースが少なくありません。
被災地派遣や現場調整(LO)でも、
“軽い違和感を後回しにした結果”が被害を大きくする場面を何度も見ました。
火災は突然ではなく、前兆があります。
匂いは、その最初のサインです。
■⑧ 結論|焦げ臭い+熱い=電源遮断が基本
コンセントが焦げ臭いときは、
「火が出ていないから大丈夫」ではなく、
「出る前に止める」が基本です。
煙や火花があれば迷わず119。
それ以外でも、電源を落とし、専門業者に相談するのが安全側です。
■まとめ|コンセントの違和感は“火災の前触れ”
トラッキング現象は静かに進みます。
焦げ臭さ・熱・変色があれば、様子見せず電源遮断。
早い行動が、住宅火災を未然に防ぎます。
結論:
焦げ臭いコンセントは“前兆”。電源遮断が最優先、煙や火花があれば119。
元消防職員として強く伝えたいのは、
火災は“違和感の段階”で止められるということ。
匂いを軽視しないことが、家族を守ります。
出典:総務省消防庁「電気火災の予防について」
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/denki_kasai.html

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