【元消防職員が解説】声かけ避難とは?混乱する現場で「人を動かす」最も現実的な避難誘導

火災や地震の直後、人は驚いて固まりやすく、判断が遅れます。避難経路が分かっていても、動けない人が必ず出ます。そこで効果が大きいのが「声かけ避難」です。これは精神論ではなく、避難行動を“具体的な一歩”に落とす技術です。現場での混乱を減らし、逃げ遅れを防ぐために、声かけ避難の要点を整理します。


■① 声かけ避難とは何か

声かけ避難とは、避難が必要な状況で、周囲の人が明確な言葉で行動を促し、安全な方向へ誘導する避難支援の方法です。ポイントは「短い言葉」「具体的な行動」「繰り返し」です。人は抽象的な指示では動きにくいので、行動を一つに絞って伝えます。


■② なぜ声かけが効くのか(人は非常時に固まる)

非常時は、
・状況が理解できない
・情報が足りない
・恐怖で思考が止まる
ため、動けない人が出ます。声かけは、判断を代わりに作り、最初の一歩を軽くします。最初の一歩が出れば、人は流れに乗りやすくなります。


■③ 効く声かけの型(短く、具体的に、一つだけ)

声かけは長い説明が逆効果です。型はこれです。
・「こちらです!階段へ!」
・「走らないで!手すり持って!」
・「煙が来ます!口を押さえて!」
行動を一つに絞り、短く繰り返す。これだけで人の動きが揃います。


■④ 現場でよく起きる詰まり(出口より“途中”で止まる)

避難が止まるのは出口だけではありません。
・廊下の曲がり角
・階段の入り口
・段差
・扉の前
こういう場所で人が固まります。声かけ避難は、詰まりポイントで「止まらない動き」を作るのが効果的です。


■⑤ 役割分担すると強い(声かけは一人でやらない)

大勢の避難では、
・誘導(前へ進ませる)
・抑え(走らせない、押させない)
・確認(取り残し確認)
を分けると強いです。声かけ担当が複数いるだけで、現場は一気に整います。


■⑥ 被災地派遣(LO)で見た「一言で現場が動く」瞬間

被災地派遣(LO)の現場では、情報が少ないほど人は止まりがちでした。そんな時、短い一言で役割が割れて、現場が動き出す瞬間があります。避難所でも、導線が詰まると混乱しますが、「こちら通路確保してください」「ここは立ち止まらないで」と一言入るだけで流れが戻ります。声かけは、現場の判断を軽くし、混乱を減らす“最小の技術”だと実感しています。


■⑦ よくある誤解(大声=正解ではない)

声かけは大声で怒鳴ることではありません。
・落ち着いた低めの声
・短い言葉
・同じ言葉を繰り返す
これが効きます。怒鳴ると恐怖が増し、逆に固まる人も出ます。落ち着いた声は、それ自体が安心になります。


■⑧ 今日できる最小の練習(家族で“合図”を決める)

家庭でできる最小の備えは、合図を決めることです。
・「今は逃げる」
・「階段へ行く」
・「集合場所はここ」
合図があるだけで、子どもも大人も迷いが減ります。防災は道具より、迷いを減らす設計が効きます。


■まとめ|声かけ避難は「判断を一つに絞って伝える」ことで逃げ遅れを減らす

声かけ避難は、非常時に固まりやすい人の判断を軽くし、避難行動を具体的な一歩に落とす技術です。短く、具体的に、一つだけを繰り返すことで、人の流れが揃い、詰まりが減ります。役割分担と落ち着いた声が、混乱を抑える鍵です。

結論:
声かけ避難は、逃げ遅れを減らす最も現実的な方法。短い一言が、命を守る最初の一歩になります。
元消防職員として、被災地派遣(LO)の現場でも「一言で動きが揃う」瞬間を見てきました。声かけは、現場を整える最小の防災技術です。

出典:https://www.fdma.go.jp/

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