津波警報が出た時、多くの人が迷うのが「車で逃げるべきか、それとも徒歩がいいのか」です。結論から言うと、津波避難は原則として徒歩です。気象庁は、津波からの避難について、海辺で強い揺れを感じたり津波警報等を見聞きしたら、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難し、車を利用した場合は渋滞などにより円滑に避難できない場合があるため、原則として徒歩で避難するよう案内しています。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tsunami_flag/leaflet_tsunami_flag.pdf
ただし、これは「どんな場合も絶対に車を使ってはいけない」という意味ではありません。地域によっては、津波到達時間、避難場所までの距離、要配慮者の存在、地形の条件などから、やむを得ず車を使わざるを得ないケースもあります。だから大切なのは、「車か徒歩か」を感覚で決めることではなく、原則徒歩を土台にして、例外は事前に地域で決めておくことです。この記事では、その判断基準を現実的に整理して解説します。
■① まず結論として、津波警報時に最優先すべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、とにかく早く高い場所・津波の危険がない場所へ向かうことです。
津波避難では、「車か徒歩か」を長く迷っている時間そのものが危険です。津波は非常に速く、しかも繰り返し襲ってきます。だから、最初に考えるべきは移動手段そのものより、今すぐ動き始めることです。
元消防職員として感じるのは、津波避難で危ないのは「車を使ったこと」だけではなく、「迷って出発が遅れること」でもあるという点です。私なら、津波警報時は
まず高い場所へ向かう
次に徒歩で行けるかを見る
最後に本当にやむを得ない場合だけ車を考える
この順で考えます。
■② なぜ津波避難は原則徒歩なのか
理由は、車は渋滞や立ち往生で逃げ遅れの原因になりやすいからです。
気象庁は、車を利用した場合、渋滞などにより円滑に避難できない場合があるため、原則として徒歩で避難するよう示しています。津波は到達までの時間が短いことが多く、「乗ってしまえば速い」より「動かなくなる危険」の方が大きくなりやすいです。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tsunami_flag/leaflet_tsunami_flag.pdf
被災地派遣や現場の経験でも、災害時は道路状況が一気に悪くなります。信号停止、道路損傷、冠水、周囲の一斉移動が重なると、車は「速い道具」から「止まる箱」になりやすいです。だから、原則徒歩はかなり理にかなっています。
■③ 徒歩避難が向いているのはどんな時か
徒歩避難が向いているのは、避難場所までの距離が近く、津波到達までに十分間に合う時です。
特に、
・高台が近い
・津波避難ビルが近い
・避難路が歩きやすい
・道路渋滞が起きやすい地域
では、徒歩の方が安全で確実です。
私なら、海辺や川沿いにいる時は「車まで戻る」より、「今いる場所から一番近い高い所・堅固な建物」へ向かうことを優先します。その方が現実的です。
■④ 逆に、車を考えざるを得ないのはどんな時か
車を考えざるを得ないのは、徒歩での避難が明らかに難しい条件がある時です。
たとえば、
・高齢者や重い障害のある方がいる
・避難場所までの距離が長い
・徒歩での避難が地域的に困難
・自治体が事前に車避難を想定している
といった場合です。
実際、消防庁も、防災基本計画では津波発生時の避難は徒歩が原則である一方、自動車により避難せざるを得ない場合が想定される地域では、あらかじめ安全かつ確実に避難できる方策を検討しておくことを求めています。つまり、車避難は「思いつきの例外」ではなく、「地域で事前に整理された例外」であるべきです。
■⑤ 車で逃げるなら何に注意すべきか
車で逃げるなら、渋滞に巻き込まれた時点で計画が崩れることを前提に考える必要があります。
つまり、
・最初から海沿いの道路を使わない
・高台方向へ一直線に行ける経路を把握しておく
・途中で止まったら車を捨てて徒歩へ切り替える覚悟を持つ
ことが大切です。
元消防職員としては、車避難で一番危ないのは「車を手放せないこと」だと感じます。車に乗っていると、「まだ行ける」と粘りやすいです。ですが、津波避難では車を守るより命を守るが絶対に優先です。私なら、少しでも詰まったら徒歩への切り替えを考えます。
■⑥ 津波避難ではどこを目指せばいいのか
目指すのは、より高い場所、または津波の危険がない場所です。
気象庁も「より高いところ」を目指して逃げるよう案内しています。ここで大事なのは、「避難所」そのものにこだわりすぎないことです。津波避難では、まず命を守るための一時避難が最優先です。高台、津波避難ビル、津波避難タワー、堅固な高い建物など、今すぐ入れる安全な場所を選ぶ方が現実的です。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tsunami_flag/leaflet_tsunami_flag.pdf
私なら、「指定避難所まで行く」より、「今すぐ届く高い場所」を優先します。津波はその後で考える余裕を与えてくれないからです。
■⑦ 子どもや高齢者がいる場合はどう考えるべきか
子どもや高齢者がいる場合は、一番弱い人が間に合う方法を基準にすることが大切です。
小さな子どもは速く長く歩き続けるのが難しく、高齢者は坂道や階段で急にしんどくなることがあります。だから、「大人なら徒歩で行ける」だけでは足りません。逆に、車が必要な地域なら、平時から「誰をどう乗せて、どの道で、どこまで行くか」を決めておく方が現実的です。
被災地でも、一番危なかったのは「家族みんなで一緒に頑張る」ことで、一番弱い人の負担が見えなくなることでした。私なら、津波避難では一番弱い人が間に合う方法を基準にします。
■⑧ 迷った時の判断基準
迷ったら、次の順番で考えてください。
「今すぐ徒歩で高い場所へ行けるか」
「車を使うと渋滞や立ち往生の危険が高くないか」
「本当に徒歩では難しい事情があるか」
「車が止まったら徒歩へ切り替える覚悟があるか」
この4つが整理できれば、津波警報時に車か徒歩かを選ぶ判断としてはかなり現実的です。防災では、「速そうな手段」を選ぶことより「止まらない手段」を選ぶことの方が大切です。
■⑨ まとめ
津波警報が出たら車で逃げるか徒歩かで大切なのは、原則として徒歩で、より高い安全な場所へすぐ向かうことです。気象庁は、津波警報等を見聞きしたら海辺から離れ、より高い場所へ避難し、車利用では渋滞などで円滑に避難できない場合があるため、原則として徒歩で避難するよう案内しています。
私なら、津波避難で一番大事なのは「車の方が速いかもしれない」と考えることではなく「今すぐ止まらず高い場所へ行けるか」を見ることだと伝えます。現場でも、助かったのは移動手段にこだわった人より、早く高い所へ動けた人でした。だからこそ、まずは徒歩原則、次に本当に例外かを考える、最後に高い場所へ一直線。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tsunami_flag/leaflet_tsunami_flag.pdf(気象庁「地震だ、津波だ、すぐ避難!」)

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