【元消防職員が解説】消防学校に入る前の体力はどれくらい必要か|持久力・筋力・柔軟性の判断基準

消防学校に入る前、多くの人がかなり気にするのが「自分の体力でやっていけるのか」という不安です。
「何km走れたらいいのか」
「腕立ては何回必要なのか」
「筋トレ経験がないと厳しいのか」
こうした疑問はとても多いです。

結論から言えば、消防学校に入る前に必要なのは、“トップレベルの運動能力”ではなく、“毎日続く訓練に崩れずついていける基礎体力”です。
しかも、その基礎体力は、瞬発力より持久力・自重を扱う筋力・柔軟性の3つで考えた方が現実に近いです。

消防庁の「消防学校の教育訓練の基準」では、初任教育の到達目標として、警防隊員として基本的な安全管理を理解し、自らの安全を確保しながら、災害現場で隊長の下命に基づく基本的な活動ができることが示されています。
また東京消防庁は、採用予定者が入校後の消防活動訓練に必要な体力を効果的に養うことを目的に、「消防学校入校前の体力トレーニング」資料を作成しています。
つまり、公式にも“入校前から体力を整えておくこと”自体が前提です。 (fdma.go.jp) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として率直に言えば、消防学校で苦しくなる人は、単純に体力が低い人だけではありません。
疲れても回復しながら、また次の日に動ける基礎がない人が崩れやすいです。
だから入校前は「何か一つだけ強い」より、「全体に崩れにくい体」を作る方が大事です。

■① まず前提として、“全国共通の合格体力ライン”はない

ここは最初に整理しておいた方がいいです。
消防学校に入る前の体力について、全国一律の“この数字が必要”という公式基準が公表されているわけではありません。
学校ごと、消防本部ごとに前提や訓練内容に差があります。

ただし、消防庁の基準では初任教育で安全管理や基本活動が求められており、東京消防庁も入校前の自主トレーニング資料を作っています。
つまり、公式に「腕立て何回」と一律に決まっていなくても、体力準備が必要ないという意味ではまったくありません。 (fdma.go.jp) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

防災士として見ても、ここで持つべき感覚は
「基準表を探すこと」より、
“継続する訓練生活に入れる体か”を見ることです。

■② 一番大事なのは“持久力”|長く動けるかが土台

消防学校前の体力で最初に優先したいのは持久力です。
理由は単純で、消防学校の負荷は瞬間的な1本勝負ではなく、日々の訓練・生活・座学が続くことにあるからです。

公開資料でも、岐阜県消防学校では初任教育の一環として体力強歩を実施し、消防活動に必要な体力・気力の錬成を目的としています。
富山県消防学校でも、初任科の強歩訓練として30.0kmの行程を雨天決行で行っています。
つまり、消防学校の体力は「短く速く」より、長く崩れずに動き続けることがかなり重要です。 (pref.gifu.lg.jp) (pref.toyama.jp)

元消防職員として率直に言うと、入校前の目安は、
30〜40分を会話できる強度で走る、または速歩できること
です。
これは公式の合格基準ではありません。
ただ、実務感覚ではこのくらいの有酸素基礎があると、かなり入りやすくなります。

■③ 次に必要なのは“自重を扱える筋力”|重い器具より基本動作

入校前の筋力で大事なのは、ベンチプレス何kgといった数字より、自分の体を安定して扱えるかです。
消防学校や消防活動では、走る・しゃがむ・押す・支える・持つ・引くといった動きが多く、土台は自重トレーニングでかなり作れます。

東京消防庁の体力評価研究では、消防職員向け体力評価として、握力、20mシャトルラン、上体起こし、長座体前屈などの項目が扱われています。
つまり、消防職員の体力は単なる筋肥大ではなく、持久力、筋持久力、柔軟性を含めた総合力で見られています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として現実的な目安を言うなら、入校前は
・腕立て伏せ
・スクワット
・プランク
・上体起こし系
を、反動なしで丁寧にこなせる方が強いです。

ここでも大事なのは、回数を盛ることより、フォームを崩さず繰り返せることです。

■④ 柔軟性は軽視しない方がいい|ケガ予防に直結する

意外と見落とされやすいのが柔軟性です。
消防学校前というと、走ることや筋トレばかり意識しやすいですが、実際には股関節・足首・肩まわりの硬さがあると、訓練でかなり不利になります。

東京消防庁の体力評価研究でも、長座体前屈が評価項目に含まれています。
つまり、柔軟性は“おまけ”ではなく、消防職員向け体力の一部です。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員として強く言えるのは、消防学校でつまずきやすいのは「筋力不足」だけではなく、硬くて動きがぎこちないことです。
柔軟性が低いと、走る・しゃがむ・ロープを扱う・器具を運ぶといった動作が全部きつくなります。
だから入校前から、毎日5〜10分でも
・股関節
・ハムストリング
・ふくらはぎ
・肩甲帯
を伸ばす習慣を持っておく方がかなりいいです。

■⑤ 入校前の現実的な目安は“続けられるかどうか”で見る

ここで大事なのは、見栄を張って高い数字を目指しすぎないことです。
入校前の実務的な判断基準は、次の3つです。

・30〜40分くらい、無理なく有酸素運動を継続できる
・腕立て、スクワット、体幹を週3〜4回続けられる
・ストレッチを毎日少しでも続けられる

これは公式の必須条件ではありません。
ただ、元消防職員として見ると、この3つが回り始めている人はかなり入りやすいです。

逆に、
・運動がゼロ
・いきなり週1回だけ追い込む
・筋トレだけやって走らない
・柔軟をまったくやらない
この状態だと、入校後かなり苦しくなりやすいです。

■⑥ 簡単な入校前トレーニング例は“週4日”で十分

消防学校前に何をやればいいか迷うなら、最初はこれで十分です。

A日
・軽いジョギングまたは速歩 30〜40分
・腕立て伏せ 10〜20回×3
・プランク 30〜60秒×3
・ストレッチ 5〜10分

B日
・ジョギングまたは速歩 20〜30分
・スクワット 15〜25回×3
・上体起こし系 10〜20回×3
・ストレッチ 5〜10分

これを週4日、
A-B-休み-A-B-休み-休み
くらいで回すイメージです。

東京消防庁が入校前の自主トレーニング資料を作成していること自体が、「特別な器具がなくても、入校前から準備する価値がある」ことを示しています。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)

元消防職員としても、最初から専門的にやりすぎる必要はありません。
むしろ、地味でも続くメニューの方が強いです。

■⑦ よくある失敗は“試験の体力”で止まること

消防採用試験を通過した人の中でも、入校後に苦しくなる人はいます。
その理由の一つが、採用試験対策の体力で止まってしまうことです。

採用試験の体力と、消防学校で毎日続く訓練は少し違います。
消防学校では、走る、整列する、筋トレする、座学する、また翌日も動く、という継続負荷があります。

元消防職員として強く言えるのは、消防学校前に必要なのは
「試験で点を取る体」より、
“毎日崩れない体”です。
ここを勘違いしない方がいいです。

■⑧ まとめ

消防学校に入る前に必要な体力は、全国一律の数値基準ではなく、“毎日続く訓練に崩れずついていける基礎体力”です。
消防庁の初任教育基準では、警防隊員として基本的な安全管理と活動ができることが求められており、東京消防庁も入校前の体力トレーニング資料を作成しています。
また、各消防学校で体力強歩や長距離の歩行訓練が実施されていることからも、持久力・筋力・柔軟性の総合力が重要だと分かります。 (fdma.go.jp) (pref.gifu.lg.jp)

元消防職員として強く言えるのは、入校前に本当に大事なのは「最初から強いこと」ではなく、走る・押す・支える・伸ばすをコツコツ続けられることです。
迷ったら、まずは30分動ける体、次に自重トレ、そして毎日のストレッチ。
この3本柱で整えると、かなり入りやすくなります。

出典:東京消防庁「消防学校入校前の体力トレーニング」

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