消防学校に入校する前は、誰でも不安になります。体力が持つか、厳しい雰囲気に耐えられるか、同期と上手くやれるか、叱責で萎縮しないか。頭の中で心配が膨らむほど、睡眠や集中力にも影響が出てしまいます。
だからこそ入校前にやっておきたいのが、メンタルを強くするのではなく「不安を扱える状態」に整えるトレーニングです。この記事では、今から始められて、入校後に確実に効くメンタルトレーニングを5つに絞って紹介します。
■① 不安の正体を言語化する「心配の棚卸し」
不安は、正体が分からないまま放置すると増えます。逆に、言語化すると小さくなります。やり方はシンプルで、「不安」を3つに分けて紙に書くだけです。
・自分で変えられること(例:睡眠、準備、体力づくり)
・自分では変えにくいこと(例:指導の厳しさ、同期の性格)
・起きるか分からないこと(例:怪我、想定外の出来事)
この棚卸しをすると、意外と「変えられること」が多いと気づきます。変えられるものに集中できると、焦りが減ります。
■② 1日1回の「呼吸ルーティン」で焦りを止める
消防学校では、緊張する場面が何度もあります。焦りが出ると呼吸が浅くなり、思考が狭くなります。そこで入校前から身につけたいのが、呼吸で自分を落ち着かせるルーティンです。
おすすめは、吸うより吐く時間を長くする呼吸です。
・鼻で吸って4秒
・口から吐いて6〜8秒
これを1日1〜3分でいいので毎日続けます。呼吸の型を作っておくと、当日も緊張の波を自分で下げられるようになります。
■③ 「できることだけ」で自信を積むチェックリスト化
メンタルは、気合いより「積み上げ」で安定します。毎日やることを小さく固定して、達成できた回数を増やすのが最も確実です。
例えば、入校前のチェックリストはこのくらいで十分です。
・就寝時刻を一定にする
・翌日の準備を前日に終える
・朝にストレッチ3分
・水分を意識する
・荷物の置き場所を固定する
小さくても「守れた」という実感が増えると、不安が減り、自信が育ちます。
■④ 叱責への耐性を上げる「受け取り方の型」を作る
消防学校では、指導が厳しく感じることがあります。ここで崩れやすいのは、叱責を「人格否定」と受け取ってしまう時です。
入校前に決めておきたいのは、受け取り方の型です。
・叱責=改善点の提示
・人格ではなく行動の修正
・次にどう直すかに意識を向ける
この型を持っているだけで、叱責のダメージは大きく減ります。落ち込む時間が減るほど、次の行動が早くなります。
■⑤ 当日を想定して整える「準備8割」のメンタル版
消防の世界で言われる「準備8割」は、メンタルにもそのまま当てはまります。入校当日に頑張るより、入校前に整えておく方が成果につながります。
メンタルの準備8割は、次の3つを決めておくことです。
・焦った時の戻り方(呼吸ルーティン)
・迷った時の判断基準(やることを1つに絞る)
・崩れた時の復帰手順(寝る・食べる・整える)
現場でも災害対応でも、強い人は「折れない人」ではなく「戻れる人」でした。戻り方を決めておくと、当日の揺れに飲まれにくくなります。
■⑥ 入校前にやってはいけない「不安を増やす習慣」
メンタルを整えるつもりが、逆に不安を増やす行動もあります。
・SNSや動画で厳しさ情報を延々と見続ける
・一気に追い込んだ体力づくりで怪我をする
・完璧主義で準備を増やし過ぎる
不安が強い時ほど情報を集めたくなりますが、情報は増えるほど心は揺れます。必要な準備だけに絞る方が、結果的に安定します。
■⑦(一次情報)災害現場で感じた「メンタルが崩れる瞬間」と対策
災害対応の現場では、疲労と緊張が重なるほど判断が荒くなり、言葉も強くなり、チームの空気が悪くなる瞬間があります。そうなると、個人のメンタルだけでなく組織の動きも鈍ります。
だからこそ大事なのは、普段から「戻る型」を持っておくことでした。深呼吸、手順に戻る、役割を確認する。たったそれだけで、現場の判断が整うことを何度も見ました。消防学校でも同じで、焦りをゼロにするより、焦っても戻れる状態を作る方が強いです。
■⑧ 5つのメンタルトレーニングを続けるコツ
最後に、続けるコツは「頑張らない仕組み」にすることです。
・やる時間を固定する(寝る前1分など)
・回数を小さくする(毎日1分でOK)
・記録は丸を付けるだけ
続くものが勝ちます。入校までに完璧になる必要はありません。毎日少しでも整える習慣が、当日の自分を助けます。
■まとめ|入校前のメンタルトレーニングは「強くなる」より「戻れる自分」を作る
消防学校入校前に今からできるメンタルトレーニングは、①心配の棚卸し、②呼吸ルーティン、③小さなチェックリスト、④叱責の受け取り方の型、⑤準備8割のメンタル版の5つです。これらは入校後もそのまま使える実戦的な整え方です。
結論:
入校前にやるべきメンタルトレーニングは、気合いで強くなることではなく、不安や緊張が来ても「戻れる型」を作ることです。
元消防職員として現場や災害対応を見てきた実感として、強い人は折れない人ではなく、乱れても戻れる人でした。入校前の今から、1分でもいいので戻る型を作っておくと、当日の不安は確実に軽くなります。
出典:総務省消防庁「消防学校教育訓練(消防人材の育成に関する情報)」

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