消防学校初任科で繰り返し聞く言葉の一つが「安全・確実・迅速」です。
ただ、言葉としては分かっていても、「結局どういう意味?」「どれを優先するの?」「迅速って急げってこと?」と曖昧なままになりがちです。
結論から言うと、この言葉は根性論ではなく、現場で事故を防ぎ成果を出すための“判断の順番”です。順番を取り違えないだけで、ミスと叱責が減り、あなたの判断が軽くなります。
■① 結論:「安全→確実→迅速」の順番は入れ替えない
この合言葉の本質は、三つを全部やれではなく「優先順位の順番」です。
現場は急ぎます。ですが、急ぐほど事故が起きます。事故が起きれば救助も消火も止まります。
だからこそ、最優先は安全。次に確実。最後に迅速です。迅速だけを先に取ると、結果として遅くなります。
■② 「安全」とは何か|自分と仲間と住民を“危険に近づけない”こと
安全とは、ただ慎重に動くことではありません。
・危険を先に見つける
・危険な手順を止める
・安全装備を省略しない
・声かけと確認を落とさない
このように、事故と二次災害を起こさない仕組みを守ることです。安全が崩れると全てが止まります。
■③ 「確実」とは何か|一回で終わるように“やり直しを消す”こと
確実とは、丁寧に時間をかけることではなく、やり直しを減らして結果を出すことです。
・指示を復唱して理解する
・手順を飛ばさない
・最後まで確認して区切る
・報告で次につなげる
確実ができると、作業が一発で決まり、隊全体が前に進みます。確実は、結果的に迅速を生みます。
■④ 「迅速」とは何か|焦ることではなく“迷わず動ける状態”を作ること
迅速は「急げ」ではありません。焦りはミスの原因です。
迅速の正体は、
・準備が整っている
・役割が分かっている
・確認の型がある
・迷ったら止まる基準がある
こういう状態です。つまり、迅速は日頃の準備と型の結果であって、気合いで生まれるものではありません。
■⑤ 初任科でこの言葉が効く場面|訓練の評価が上がる判断軸
初任科では、次の場面で「安全・確実・迅速」がそのまま評価になります。
・資機材の取り扱い
・隊列行動
・号令、復唱、報告
・夜間訓練
・搬送や救助の基本動作
ここで焦ると事故やミスが増えます。逆に、順番を守る人は“安心して任せられる人”になります。
■⑥ 行政側が言いにくい本音:迅速だけを求めると事故が増える
現場では住民の命がかかっているので、迅速は必要です。ただ、迅速だけを前面に出すと、隊員の事故や二次災害が増えます。
だから、教育の場では「安全・確実」を徹底して土台を作ります。土台が固い人ほど、最終的に本当に速くなります。これは遠回りに見えて最短ルートです。
■⑦(一次情報)災害対応で実感した「速い人」は焦らない
被災地派遣や災害現場では、時間のプレッシャーが常にあります。そこで本当に速い人は、走る人ではありませんでした。
・危険を先に見て止まる
・確認を短く入れてやり直しを消す
・役割を崩さず淡々と進める
こういう人が、結果的に現場を前に進めます。焦って動く人は、途中で事故や手戻りが起きて止まります。安全・確実が、最終的に迅速を作る。この感覚は現場で強く実感しました。
■⑧ 今日からできる「安全・確実・迅速」の練習法
訓練で意識するだけで、実力は上がります。
・安全:危険ポイントを声に出して共有する
・確実:指示を復唱してから動く
・迅速:動作の順番を固定して迷いを消す
この3つを毎回やるだけで、評価が安定し、怒られる回数も減りやすくなります。
■まとめ|「安全・確実・迅速」は現場で成果を出す“判断の順番”
消防学校初任科の合言葉「安全・確実・迅速」は、三つを全部頑張る精神論ではなく、現場で事故を防ぎ成果を出すための優先順位です。安全が最優先、次に確実、最後に迅速。この順番を守るだけで、手戻りが減り、結果として本当に速くなります。
結論:
「安全→確実→迅速」の順番を守る人が、最終的に一番速くて信頼される消防士になります。
元消防職員として災害対応の現場を経験してきた実感として、強い人は焦らず、確認を落とさず、隊として崩れない人でした。安全と確実を積めば、迅速は後から必ずついてきます。
出典:総務省消防庁「消防防災分野の教育訓練・安全管理に関する情報」

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