【元消防職員が解説】防火衣ランとは?負荷は?きつい?初任科で崩れないための現実対策

消防学校や部隊訓練でよく出てくる「防火衣ラン」。名前の通り、防火衣(空気呼吸器含む場合あり)を着装して走る訓練です。
結論から言うと、きついです。ただし、目的と対策が分かっていれば“潰れる訓練”ではなく“現場で崩れない体を作る訓練”に変わります。


■① 防火衣ランとは何か|装備を着けたまま走る意味

防火衣ランは、防火衣・ヘルメット・長靴、場合によっては空気呼吸器(ボンベ)まで装着して走る訓練です。
目的はシンプルで、高温・高負荷環境での移動能力と安全確認を維持すること
火災現場は軽装で走る状況ではありません。重装備で心拍が上がる中でも、呼吸・声出し・確認を崩さないことが求められます。


■② どれくらいの負荷?|体重+装備で一気に心拍が跳ねる

一般的な防火衣一式は約10~20kg前後(構成により差あり)。
体重70kgの人なら、実質80~90kg超で走る感覚です。
負荷の特徴は次の通り。
・心拍数が急上昇しやすい
・熱がこもる(放熱しにくい)
・足が上がりにくい
・呼吸が浅くなりやすい
つまり「重い+暑い+呼吸が苦しい」が同時に来ます。


■③ きつい?正直どうなのか

正直に言えば、きついです。
ただし、きつさの正体は“体力不足”だけではありません。
・装備に慣れていない
・呼吸の使い方が未熟
・ペース配分ができていない
この3つで差が出ます。慣れと管理で“耐えられないきつさ”は“コントロールできる負荷”に変わります。


■④ 何を見られている?|速さより「崩れなさ」

防火衣ランで評価されるのは、タイムだけではありません。
・返事が出るか
・隊列が乱れないか
・安全確認が抜けないか
・途中で崩れないか
現場はマラソン大会ではありません。速い人より、最後まで安全に動ける人が強いです。


■⑤ よくある失敗|気合いで飛ばして後半で落ちる

初任科で多いのは、
・最初に飛ばしすぎる
・呼吸が荒れて声が出なくなる
・水分不足で足がつる
・熱中症寸前まで我慢する
防火衣は熱がこもるため、無理は一気に跳ね返ります。前半を抑え、呼吸を整えるのが基本です。


■⑥ 乗り切るコツ|呼吸とペースが命

防火衣ランのコツは3つです。
1) 最初は抑える(後半型が正解)
2) 呼吸を深く一定に保つ
3) 視線を下げすぎない(姿勢が崩れると一気にきつい)

特に呼吸。吸うより「吐く」を意識すると整いやすいです。


■⑦(一次情報)現場で本当に怖いのは“暑さ×焦り”

被災地派遣や実火災対応で感じたのは、重装備で焦ると事故が増えるという現実です。
暑さで心拍が上がり、呼吸が乱れ、確認が飛び、声が減る。そこに焦りが加わると一気に崩れます。
強い隊員は、きつい中でも呼吸を整え、確認を飛ばさない人でした。防火衣ランは、その“崩れない力”を作る訓練です。


■⑧ 不安を減らす考え方|「倒れない」が最優先

防火衣ランは、自分が潰れないことが第一。
無理を隠すのは評価になりません。
・異常を感じたら早めに申告
・水分と塩分を整える
・前日の睡眠を削らない
これだけで結果は安定します。


■まとめ|防火衣ランはきつい。でも意味がある

防火衣ランは確かにきつい訓練です。しかし目的は“いじめ”ではなく、重装備・高温・高心拍でも崩れない消防士を作ること
速さより継続、安全確認、呼吸管理。ここを押さえれば、不安は減ります。

結論:
防火衣ランは「体力テスト」ではなく「現場で崩れない力を作る訓練」。きついが、管理すれば乗り切れる。
元消防職員としての実感でも、最後に現場を守るのは、速い人ではなく“崩れない人”でした。

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