【防災士が解説】「命を守る」「命をつなぐ」|防災を“2段階”で考えると備えがブレなくなる

防災は「逃げる」だけでは終わりません。
大きな災害ほど、助かったあとに生活が長引き、体調や心が崩れていきます。

被災地派遣の現場でも、命は助かったのに避難生活で体調を崩す人を何度も見ました。
だからこそ防災は、「命を守る」と「命をつなぐ」の2段階で考えると、備えの優先順位がブレません。

この記事では、この2段階の考え方を整理し、家庭と地域で何を整えるべきかを具体化します。


■① 「命を守る」とは何か

「命を守る」は、発災直後の直接危険から生き残ることです。

・倒壊
・津波
・火災
・土砂災害
・有毒ガスや煙
・落下物

この段階は、とにかく時間が短く、判断が重いです。
行動が決まっている人ほど助かります。


■② 「命をつなぐ」とは何か

「命をつなぐ」は、助かったあとに生活を崩さず、体調と心を守り続けることです。

・断水や停電の長期化
・避難生活の長期化
・トイレ不足
・睡眠不足
・寒さ暑さ
・衛生悪化
・ストレス

災害関連死の多くは、この段階で起きます。
つまり命をつなぐことは、命を守ることの続きです。


■③ 2段階で考えると備えの優先順位が変わる

多くの家庭は「命を守る」だけに偏りがちです。

・ヘルメット
・防災バッグ
・水の備蓄

もちろん大事ですが、実際に崩れやすいのは「命をつなぐ側」です。

・トイレ
・寝具
・衛生
・体温
・薬
・情報

被災地派遣でも、ここが整っている家庭ほど生活が崩れにくかったです。


■④ 「命を守る」ための家庭の最小設計

命を守る備えは、道具より“行動の固定”が強いです。

・揺れたらまず身を守る
・玄関の予備靴でガラス対策
・夜間はライトを決めた場所に置く
・津波想定なら避難先を決める
・家族の集合ルールを決める

行動が決まっていると、初動が速くなります。


■⑤ 「命をつなぐ」ための家庭の最小設計

命をつなぐ備えは、「生活が回ること」を目標にします。

・簡易トイレ
・生活用水の発想
・毛布・マット
・暑さ寒さ対策
・衛生用品
・薬と処方情報
・充電と情報源

被災地派遣では、トイレと睡眠が崩れると体調が一気に落ちる場面を何度も見ました。
ここを最優先に整えるのが現実的です。


■⑥ 地域側の役割は「避難所の器」で命をつなぐこと

地域は、個人の努力だけでは補えない部分を整えます。

・トイレ
・生活スペース
・パーティション
・衛生設備
・要配慮者支援
・情報伝達

避難所の器が整うほど、体調不良が減り、混乱が減ります。
命をつなぐのは地域の設計でもあります。


■⑦ よくある誤解

誤解されがちなのは次の2つです。

・備蓄が多ければ大丈夫
・避難所に行けば何とかなる

実際は、備蓄があってもトイレや睡眠が崩れると体調が落ちます。
避難所も器が整っていないと生活が回りません。
防災は“量”より“回る仕組み”が強いです。


■⑧ 今日からできる最小行動

2段階を整える最小行動はこれです。

・家族の集合ルールを1つ決める(命を守る)
・簡易トイレを確保する(命をつなぐ)
・ライトの置き場所を固定する(命を守る)
・毛布とマットを見直す(命をつなぐ)

小さく整えるほど、現実に強くなります。


■まとめ|防災は「命を守る」と「命をつなぐ」の2段階で完成する

防災は、発災直後に生き残る「命を守る」と、避難生活で体調と心を守る「命をつなぐ」の2段階で成り立ちます。
備えがブレるときは、このどちらが弱いかを見直すと修正できます。
家庭は行動と生活基盤を、地域は避難所の器を整えることで、全体のリスクが下がります。

結論:
防災は「命を守る」だけで終わらず、「命をつなぐ」まで整えて初めて完成し、トイレ・睡眠・衛生・体温・薬を優先すると災害関連死のリスクが下がる。
被災地派遣の現場で実感したのは、命を守れた人ほど、その後の生活で差が出るという現実です。
防災士として、命をつなぐ備えは“贅沢”ではなく、命を守る備えの続きだと考えています。

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