スマホの長時間使用によって起きる「急性後天性内斜視(いわゆるスマホ斜視)」。
物が二重に見える「複視」や遠近感の喪失は、日常生活だけでなく、災害時には重大なリスクになります。
災害発生直後は、数秒単位の判断が命を分けます。
被災地派遣やLOとして現場に入った経験からも、「視界が正常であること」は安全確保の大前提でした。
■① 複視が招く“標識の見間違い”
スマホ斜視になると、信号や避難誘導標識が二重に見えることがあります。
・赤信号を誤認する
・避難方向を間違える
・矢印表示を逆に理解する
夜間や停電時は視界そのものが悪化します。
その状況で複視が重なると、誤進路を取る危険性が高まります。
■② 障害物回避の失敗|立体感が消える
急性内斜視では遠近感が乱れます。
・割れたガラスが見えにくい
・瓦礫の高さを誤認
・段差につまずく
被災地では、夜間移動中に転倒する事例が少なくありません。
元消防職員として現場に立った際も、視界不良が原因の転倒事故は繰り返し起きていました。
■③ 運転中の判断遅れ
災害時は車での避難も発生します。
・信号が二重に見える
・前車との距離感が狂う
・ブレーキタイミングを逃す
片目を閉じると一時的に見やすくなりますが、両眼視機能が低下しているため全体判断は不十分になります。
運転判断の遅れは即事故につながります。
■④ 情報収集ができなくなる
災害時はスマホで情報を確認します。
・地図アプリがぼやける
・避難経路表示が読み取れない
・周囲の掲示板が見づらい
結果として孤立リスクが高まります。
被災地派遣・LO・元消防職員・防災士として感じたのは、
「情報を正しく見られる人」が落ち着いて行動できるということです。
■⑤ スマホ依存と防災リスクの関係
長時間の至近距離使用が続くと、目の内直筋が緊張し続けます。
若年層で増加傾向にあり、防災の観点でも無視できません。
平時の生活習慣が、有事のリスクを作ります。
■⑥ やらなくていい対処
・市販目薬でごまかす
・症状を放置する
・「若いから大丈夫」と過信する
複視は脳からの危険信号です。
■⑦ 今日できる目の防災
- スマホは30〜40cm離す
- 20分ごとに6m先を20秒見る(20-20-20ルール)
- 寝る前の暗所スマホをやめる
これだけで進行予防につながります。
■⑧ 結論
災害時に必要なのは、
正確に見えること。
瞬時に判断できること。
安全に移動できること。
スマホ斜視は、単なる目の問題ではありません。
目を守る習慣は、判断力を守る備えです。
被災地で実感したのは、「健康な体」が最大の防災資産だという事実でした。
日常の小さな習慣が、いざという時の安全を左右します。
出典
日本眼科学会 公開資料「斜視と複視について」

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