【防災士が解説】不安なときに話してみることが心の防災になる理由

新しい学年や新しいクラスを前にすると、わくわくする気持ちがある一方で、不安になることもあります。友達ができるかな、勉強についていけるかな、先生はどんな人かな。理由がはっきりしなくても、なんとなく元気が出なかったり、気持ちが落ち着かなかったりすることもあります。

こうした不安は、特別なことではありません。子どもにとって、心がゆれることは自然なことです。大切なのは、「こんなことで悩んではいけない」と気持ちにふたをしないことです。心の中にしまい込みすぎると、つらさは少しずつ大きくなってしまうことがあります。

防災士として伝えたいのは、防災は地震や火事への備えだけではないということです。心が苦しいときに、早めに誰かに話すことも大切な備えです。心の防災とは、「苦しくなってから一人でがまんする」のではなく、「苦しくなる前や苦しいときに助けを求められること」だと私は考えています。


■① 新年度前は心がゆれやすい時期

学年が上がる前やクラス替えの前は、子どもにとって大きな変化の時期です。新しい友達、新しい先生、新しい勉強、新しい教室など、見た目には小さな変化でも、子どもの心には大きな負担になることがあります。

周りから見ると元気そうに見えても、本人の中では不安が大きくなっていることがあります。特に、まじめな子やがんばり屋の子ほど、自分の気持ちを外に出さずに抱え込みやすいです。

だからこそ、新年度前は「元気に見えるから大丈夫」と決めつけず、心がゆれやすい時期だと知っておくことが大切です。


■② 理由がはっきりしない不安もあっていい

不安や悩みというと、何かはっきりした理由があるものだと思われがちです。ですが実際には、「なんとなくしんどい」「気力が出ない」「ぼんやりする」といった、言葉にしにくい不安もあります。

こうした気持ちは、自分でも説明しにくいため、「大したことではない」とがまんしてしまうことがあります。しかし、心の不調は、いつも分かりやすい形で出るとは限りません。体がだるい、朝起きにくい、学校のことを考えると気が重いという形で出ることもあります。

防災士として現場で感じるのは、危険は大きく見えてから対処するより、小さい違和感の段階で気づくほうが強いということです。心も同じで、はっきりしない不安の段階で大人が気づいたり、本人が話せたりすることが大切です。


■③ 気持ちを話すことは弱さではない

悩みを話すことを、「弱いこと」だと感じてしまう子どももいます。ですが、実際にはその逆です。自分のつらさを言葉にして、誰かに伝えようとすることは、とても大きな力です。

家族、友達、先生、スクールカウンセラーなど、話す相手は誰でもかまいません。大切なのは、「一人で抱え込まないこと」です。話すことで問題がすぐ全部なくなるわけではなくても、心の重さは少し軽くなることがあります。

防災士として感じるのは、助けを呼べる人のほうが本当は強いということです。火事でも災害でも、早く知らせることが被害を小さくします。心のつらさも同じで、早めに伝えることがとても大切です。


■④ 話しづらいときは相談窓口を使っていい

身近な人に話したくても、うまく言えないことがあります。家族には心配をかけたくない、友達には話しにくい、先生には言いづらい。そんなときは、電話やSNSの相談窓口を使うことも大切な方法です。

相談窓口は、特別に大きな悩みがある人だけのものではありません。少し不安、ちょっとつらい、何となく話を聞いてほしい、そんな気持ちでも相談してよい場所です。話すことが苦手な子でも、電話や文字なら少し伝えやすいことがあります。

防災士として現場で見た“誤解されがちポイント”は、「相談窓口は最後の手段」という考え方です。実際には、最後までがまんするより、早めに使うほうが心を守りやすいです。


■⑤ 周りの大人は“気づくこと”がとても大事

子どもは、自分から悩みをはっきり言えないことがあります。だからこそ、周りの大人が変化に気づくことがとても大切です。元気がない、話す量が減った、表情が暗い、食欲がない、朝の様子が違う。こうした小さな変化には意味があることがあります。

「どうしたの?」と優しく声をかけるだけでも、子どもは安心することがあります。すぐに答えが返ってこなくても、「話していいんだ」と思えることが大切です。

防災士として感じるのは、守る力の第一歩は気づく力だということです。災害でも心の不調でも、早く気づけるほど支えやすくなります。


■⑥ 友達の変化に気づいたら一人で抱えない

もし周りに元気のない友達がいたら、そっと声をかけることはとても大切です。「大丈夫?」の一言だけでも、その友達の支えになることがあります。

ただし、友達だけで全部を背負わなくてよいことも大切です。悩んでいる友達がいたら、信頼できる先生や家族、学校の大人につなぐことが必要です。優しさだけでは支えきれないこともあるからです。

防災士として伝えたいのは、助け合いには「つなぐ力」も大切だということです。自分だけで何とかしようとするより、大人につなげることも立派な行動です。


■⑦ 心の防災は“平気なふり”をやめることから始まる

心がしんどいとき、多くの人は平気なふりをしてしまいます。周りに迷惑をかけたくない、心配をかけたくない、これくらいならがまんしよう。そう思ってしまうのは自然なことです。

でも、本当に苦しくなってからでは、言葉にするのがもっと難しくなることがあります。だからこそ、少しでも「なんだかつらいな」と思ったときに話してみることが大切です。

防災士として感じるのは、防災の基本は早めの行動だということです。心の防災も同じで、平気なふりを続けるより、小さなサインのうちに助けを求めることが大事です。


■⑧ 話を聞いてくれる人は必ずいる

一番つらいのは、「誰にもわかってもらえない」と感じることです。ですが実際には、話を聞いてくれる人は必ずいます。家族、先生、友達、スクールカウンセラー、相談窓口の人。すぐ近くにいなくても、つながれる相手はいます。

大切なのは、最初の一歩を一人で完璧にやろうとしないことです。少し話す、少し書く、少し相談してみる。それだけでも十分です。全部をきれいに説明できなくても大丈夫です。

防災士として感じるのは、助けを求める力は、生きる力そのものだということです。話せること、つながれること、それ自体が心を守る備えになります。


■まとめ|不安なときに話すことは心を守る大切な備え

新年度の前は、期待と一緒に不安も大きくなりやすい時期です。友達、勉強、クラス、理由のはっきりしないモヤモヤなど、子どもの心にはさまざまな揺れが起こります。そのとき大切なのは、気持ちにふたをせず、誰かに話してみることです。

話す相手は家族でも先生でも友達でも、相談窓口でもかまいません。周りの大人や友達も、小さな変化に気づいて声をかけ、必要なら信頼できる大人につなぐことが大切です。心のつらさは、一人でがまんするより、誰かと分け合うほうが軽くなりやすいです。

結論:
不安なときや悩みがあるときに誰かに話すことは、心を守るための大切な防災行動です。
防災士として感じるのは、心が苦しいときに早めに助けを求められることは、とても大きな力だということです。災害でも心の不調でも、早くつながることが被害を小さくします。だからこそ、不安なときはぜひ話してみてほしいと思います。

出典:
文部科学省「子供のSOSの相談窓口」

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