【防災士が解説】危機管理マニュアルにテレワーク対応はどう入れる?在宅勤務で止まらない会社にする判断基準

危機管理マニュアルを見直す時に、今は「出社できない前提」を外せません。地震、豪雨、台風、感染症、交通途絶が起きると、会社へ人を集めること自体がリスクになります。内閣府の事業継続ガイドラインでも、事前対策の一つとしてテレワークのための環境整備が挙げられており、在宅勤務用パソコン、リモートアクセス環境、情報セキュリティ対策などを平時から準備する考え方が示されています。厚生労働省のテレワークガイドラインでも、テレワーク導入時には労務管理、情報通信環境、作業環境、費用負担などをあらかじめ明確にしておくことが望ましいとされています。 oai_citation:0‡防災科学技術研究所

つまり、危機管理マニュアルのテレワーク対応で大切なのは、「在宅勤務ができる」と書くことではなく、誰が、どの業務を、どの手段で、どこまで在宅で継続できるかを具体化することです。この記事では、その現実的な判断基準を整理して解説します。 oai_citation:1‡防災科学技術研究所

■① まず結論として、テレワーク対応で最優先にすべきことは何か

結論から言うと、最優先にすべきことは、“出社しないとできない仕事”と“在宅で回せる仕事”を分けることです。

危機管理マニュアルで失敗しやすいのは、「必要に応じてテレワークを実施する」とだけ書いて終わることです。ですが、実際には、営業、経理、顧客対応、承認業務、システム運用などで在宅移行のしやすさは違います。内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務を維持するために代替手段や業務拠点の分散化を考える中で、テレワーク環境整備を位置づけています。私は、危機管理マニュアルでは
まず在宅で継続する業務
次に最小出社で回す業務
最後に一時停止する業務
この3つに分ける方が現実的だと考えます。 oai_citation:2‡防災科学技術研究所

■② なぜ危機管理マニュアルにテレワークを書き込む必要があるのか

理由は、災害時に“出社できない”こと自体が主要リスクになっているからです。

台風や豪雨では交通遮断、地震では建物安全確認、感染症では接触低減が必要になり、平時どおりの出社前提が崩れます。内閣府のBCP事例集でも、災害発生前に迅速な帰宅判断を行い、その後在宅で業務を継続した企業事例が紹介されており、テレワーク環境があることで事業継続性が高まることが示されています。 oai_citation:3‡防災科学技術研究所

元消防職員としても、危機管理では「来られる人で何とかする」より、「来られなくても止まらない」を作る方が強いと感じます。だから、テレワークは福利厚生ではなく、危機対応手段としてマニュアルへ入れる方が現実的です。 oai_citation:4‡防災科学技術研究所

■③ まず見直したい項目① 発動条件

最初に明確にしたいのは、いつテレワークへ切り替えるかです。

たとえば、
気象警報や公共交通機関の計画運休時
大規模地震発生後の安全確認期間
感染症拡大時
庁舎・オフィスの使用制限時
などです。

厚生労働省のテレワークガイドラインは、テレワークを制度として導入・実施する場合、労使で十分に話し合い、運用ルールを明確にすることを求めています。つまり、危機管理マニュアルでも「状況に応じて判断」だけでなく、発動基準を持つ方が混乱を減らせるということです。 oai_citation:5‡厚生労働省

■④ 見直したい項目② 対象業務と対象者

次に大切なのは、誰がテレワーク対象で、誰が代替出社対象かを分けることです。

内閣府のBCP事例では、全社員対象の在宅環境があっても、職種によって裁量や紙帳票依存が異なり、実施しやすさに差があることが紹介されています。つまり、マニュアルでは一律の在宅勤務ではなく、業務特性別に対象を分ける設計が必要です。 oai_citation:6‡防災科学技術研究所

私なら、
完全在宅可能
一部在宅可能
現地対応が必要
の3区分で整理します。その方が発災時に迷いません。 oai_citation:7‡防災科学技術研究所

■⑤ 見直したい項目③ 通信・端末・アクセス権

ここはかなり大事です。テレワーク対応は、制度より先に環境が必要です。

内閣府の事業継続ガイドラインでは、テレワーク環境として在宅勤務用パソコン、リモートアクセス環境、情報セキュリティ対策を平時から整備する必要があるとしています。つまり、危機管理マニュアルに「在宅勤務へ切替」と書いても、端末不足、VPN未整備、権限不足なら止まります。 oai_citation:8‡防災科学技術研究所

私なら、マニュアルには
使用端末
接続方法
利用できるシステム
権限者と承認フロー
まで書きます。現場では「働く場所」より「アクセスできるか」が先に問題になるからです。 oai_citation:9‡防災科学技術研究所

■⑥ 見直したい項目④ 情報セキュリティ

テレワーク対応で外せないのは、情報セキュリティを危機管理の中へ入れることです。

内閣府ガイドラインは、テレワーク環境整備の中で情報セキュリティ対策を明示しています。つまり、在宅勤務は単なる場所の変更ではなく、情報管理の前提も変わるということです。業務データの保存先、私物端末利用の可否、印刷物管理、通信経路の安全性を決めておかないと、災害時に別の事故を生みやすくなります。 oai_citation:10‡防災科学技術研究所

私は、危機管理マニュアルのテレワーク対応では「業務を続ける」だけでなく、「続けながら情報事故を出さない」までセットで書く方が現実的だと考えます。 oai_citation:11‡防災科学技術研究所

■⑦ 見直したい項目⑤ 労務管理と健康管理

見落としやすいのが、在宅勤務時の労務管理です。

厚生労働省のテレワークガイドラインでは、労働時間管理、費用負担、作業環境、安全衛生などについて、使用者があらかじめ明確にしておくことが望ましいとされています。つまり、危機管理マニュアルでも、「在宅へ切替」だけでなく、始業終業の報告方法、連絡手段、長時間労働防止、作業場所の安全確認を入れておく方が安心です。 oai_citation:12‡厚生労働省

元消防職員としても、危機時は「動ける人へ仕事が集中する」傾向があります。だから私は、テレワーク対応では業務継続と同時に、働きすぎを防ぐルールも必要だと考えます。 oai_citation:13‡厚生労働省

■⑧ 見直したい項目⑥ 紙と押印の代替

実務で止まりやすいのは、紙帳票と押印前提の業務です。

内閣府のBCP事例でも、経理や給与など一部の間接部門では、紙帳票や承認印が在宅勤務拡大の課題として残っていたことが示されています。つまり、危機管理マニュアルにテレワーク対応を書くなら、紙と押印が必要な業務を洗い出し、どこまで電子化・代替化できるかを整理した方が現実的です。 oai_citation:14‡防災科学技術研究所

私は、ここを放置すると「テレワーク対応済み」と言いながら、最後は出社前提に戻ると感じます。だから、紙・押印・現物確認が必要な業務は、危機時の代替手順まで一緒に決めます。 oai_citation:15‡防災科学技術研究所

■⑨ どこまで書けば“使えるマニュアル”になるのか

最低限、次の項目があればかなり使いやすくなります。

発動条件
対象業務・対象者区分
使用端末・接続方法
連絡手段・報告ルール
情報セキュリティ注意事項
労務管理ルール
紙・押印の代替手順

内閣府がBCMとして示す考え方では、策定した内容は訓練・見直しを通じて実効性を高める必要があります。だから私は、危機管理マニュアルも分厚い冊子より、この7項目が一目で見える形の方が現場で強いと考えます。 oai_citation:16‡防災科学技術研究所

■⑩ 迷った時の判断基準

迷ったら、次の順番で考えてください。

「出社しないとできない業務と、在宅で回せる業務を分けられているか」
「発動条件と対象者が明確か」
「端末・回線・権限・セキュリティまでつながっているか」
「訓練して見直せる運用になっているか」

この4つが整理できれば、危機管理マニュアルのテレワーク対応としてはかなり現実的です。防災では、「在宅勤務できると書くこと」より「出社できない日に止まらないこと」の方が大切です。 oai_citation:17‡防災科学技術研究所

■⑪ まとめ

危機管理マニュアルにテレワーク対応を入れる時に大切なのは、発動条件、対象業務、端末・接続方法、情報セキュリティ、労務管理、紙・押印の代替までを一体で決め、出社できない前提でも業務が止まらない形へ直すことです。内閣府の事業継続ガイドラインでは、事前対策としてテレワーク環境整備が明示されており、厚生労働省のテレワークガイドラインでは、労務管理・作業環境・費用負担などを明確にして制度運用することが求められています。 oai_citation:18‡防災科学技術研究所

私なら、危機管理マニュアルのテレワーク対応で一番大事なのは「在宅勤務できる会社に見せること」ではなく「出社できない日に、本当に止まらないこと」だと伝えます。現場では、制度の有無より、誰がどう切り替えるかが全てです。だからこそ、まずは業務を分ける、次に環境を整える、最後に訓練する。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline202303.pdf(内閣府「事業継続ガイドライン」)

コメント

タイトルとURLをコピーしました